教員を辞めたい...。教員から転職をした人の末路。
お久しぶりです。
新卒で東京都の高校数学教員になって、もうすぐ8年。
昔は教育について考えるのが好きでブログやnoteを更新していましたが、最近はそんな余裕もなく音沙汰なしになってしまいました。
中堅のポジションを任されるようになり忙殺される毎日を過ごしています。
正直、教員を辞めたいと考えています。
今回は30代に差し掛かる中で感じている教員としてのキャリアへの葛藤を書いていこうと思います。
辞めたい人で溢れる教員不足の現場
朝早くに校門を開けて夜遅くまで、授業の準備、生徒指導、部活動、保護者対応...。息つく暇もないほど忙しい毎日。
6時半出勤:校門や教室を開けて朝練の生徒を向かい入れる
7時:提出物のチェック、授業準備
8時:朝の打ち合わせ
8時半:朝のホームルーム
9時〜16時:授業、生徒指導
16時〜17時:職員会議
17時〜19時:部活指導
19時〜21時:翌日の授業準備、テスト作成、採点作業
21時〜23時:保護者対応、昼にできなかった事務作業
こんなハードスケジュールが平日は毎日続き、土日は部活動、大会、補習、学校説明会などの行事で休む暇がありません。
そして、長時間労働は単に時間の問題だけではありません。
あまり大きな声で言いたくはないですが、モンスターペアレントという方も多くおり、常に気を張り詰めて生徒や保護者と向き合い、他の先生との人間関係にも気を配る必要があります。
疲労がたまっても「生徒のため」と我慢を重ね、自分の健康や私生活を後回しに…。休日も仕事のことが頭から離れず、リフレッシュできないまま新しい週を迎える。
そんな日々の繰り返しに、やりがいよりも疲労感のほうが大きくなっていきました。
「教育に携わる喜び」「教育を変える」という想いを胸に抱きながらも、同時に「このペースでずっと続けていけるのだろうか」という不安や疲れを感じるようになりました。
月の残業時間は200時間を超えて、朝起きると胸が痛い、頭が痛いといった身体的な疲労に悩まされ、「本当にこの道でいいのだろうか」と自問自答する日々。
はっきり言います。私の学校では教員の定数が1/3足りていません。
産休代替や講師の数も足りておらず、「周りに良い人いない?」と副校長に聞かれることも多くあります。
教員を辞めたいと思った瞬間
最近では転職をする先生も多く、教員から転職をして幸せそうな人もいます。別に教員から転職をした人が全員幸せになるかというと必ずしもそうではないと分かってはいますが、どうしても隣の芝が蒼く見えてしまう毎日。
教員から転職をした人の話を聞いて愕然としました。
残業をしたら残業代が出るのが当たり前
そして、民間企業の友だちに聞いてみても同じことを言われました。
え…?教員って残業代出ないの?やば…おかしくない?
教員という職業には、確かに大きなやりがいがあります。生徒の成長を間近で見守り、その人生に影響を与えられる喜びは何物にも代えがたいものです。しかし同時に、自分自身の人生や幸せについても考えずにはいられなくなりました。
そんな日々に嫌気がさして、この夏休みで思いっきり有給を使ってみました。
20日連続の有給です。
副校長に何て言われるかドキドキしながらの提出。
新婚旅行だとか上手く言い訳をして何とか取得しました。
あ…実は最近結婚をしました(笑)
民間で働いている妻に言われた言葉も私を後押ししています。
「そんなのやりがい搾取じゃん」
何とか時間を手にした私は
「このまま教員を続けるべきか」
「新しいキャリアに挑戦すべきか」
とにかく調べてとにかく考えていきました。
教員を辞めた後の転職先を考えてみた
私は教員からの転職で何を成し遂げたいのか
ワークライフバランスの改善
「休日にゆっくり過ごしたい」
「奥さんとの時間や趣味、自己啓発の時間が欲しい」
キャリアアップの可能性
「教育以外の分野でも自分の能力を試してみたい」
「新しいスキルを身につけたい」
経済的な安定
「将来の生活設計を考えると、もっと収入を増やしたい」
心身の健康
「このままでは鬱になってしまう」
「もっと自分らしく生きたい」
しかし、転職を考えると同時に様々な不安も押し寄せてきます。
「教員以外の仕事に適応できるだろうか」
「今までの経験が無駄になってしまうのでは」
「生徒たちを置いていくことになる罪悪感」
「周囲の反応や世間の目が気になる」
転職を考えることは、決して「逃げ出す」ことではない。
むしろ、自分の人生と真摯に向き合い、より良い未来を模索する勇気ある行動なのだ。
そんな風に自分を奮い立たせながら、教育への情熱を持ちながらも、自分自身の幸せや成長を大切にしていきました。
そのバランスを取ることが、結果的に周りの人々にも良い影響を与えると信じて!
調べていく中で教員から転職からの転職先事例が割とある事に気がつきました。
教育関連企業
人材育成・研修
塾講師
大学職員
公務員・行政職
児童福祉関連
IT・テクノロジー企業
私にも教員として活かせる能力があるのではないか…
そんな想いで教員として培った能力を考えてみました。
コミュニケーション能力:生徒や保護者との対話で培った傾聴力や説明力
プレゼンテーション能力:授業で磨いた人前での話す力
企画力・構成力:授業計画や学校行事の運営で身につけた能力
リーダーシップ:学級経営や部活動指導で発揮した統率力
問題解決能力:日々の生徒指導で培った柔軟な対応力
教員としての経験は決して無駄にしない。自分の持つスキルや経験を客観的に見つめ直し、新たな可能性を探っていきました。
やはり教員からの転職は難しい
ただ、残念ながら、現実はそれほど甘くありません。多くの教員が転職を考える際、直面するのは厳しい現実です。私も同じでした。
限られた選択肢
教育現場以外での経験がないため、多くの企業は教員出身者の採用に慎重です。特に、専門性の高い職種や管理職への転職は難しいのが現状です。
年齢のハンデ
特に30代以降の転職は、新卒並みの待遇でしか採用されないケースも多く、経済的な面で大きな不安があります。
狭い視野
教育現場だけで過ごしてきたため、他の業界の動向や求められる能力について知識が不足しがちです。
低い初任給
教員としての経験年数が考慮されず、他業種への転職では大幅な収入減となる可能性が高いです。教員って意外に給料も高いのでギャップは大きいかもしれません。
現実的に考えられる転職先としては
学習塾や予備校の講師
教育関連企業の営業職
人材業界の法人営業
コールセンターのオペレーター
などでしょうか。
もちろんこれらの職種でも、教員経験者だからといって特別優遇されるわけではありません。
むしろ、ビジネススキルの不足を補うために、他の転職者以上の努力が求められるという現実に私の足は止まりました。
教員から転職ってこんなに難しいんだ…。
改めて自分の置かれている状況を正確に理解することができました。
教員を辞めた後の退職金を計算してみた
転職を考えるに当たってもう一つ大切なことは退職金でした。
定年まで働くと2000万円ほどもらえると言われているなかで、30歳だといくらくらいもらえるのだろうか。
これに関しては実は計算をすることができるので実際に計算をしてみた。
東京都公立高校
30歳男性
勤続8年
一般教諭
結論を先に言うと
150万円ほどの手取り額
皆さんはこれに対してどう感じるでしょうか。
後30年頑張れば2000万円なのに…?
私の率直な感想は
あれ?思ったよりも貰えるんだな!
でした。
これであれば
転職初年度の年収が例え100万円減ったとしても2年目までで頑張って取り返せればどうにかなるのでは?
退職金を数えたことで私の中で気持ちが少し前向きになりました。
ちょっと頑張ってみようかな!
教員が本気で転職活動してみた
教員から企業への転職は、決して容易な道のりではありませんでした。
しかし、不可能というわけではありません。ここでは、実際にやった転職プロセスと、直面した課題についてご紹介します。
自己分析
自分の強みと弱みを客観的に分析した
教員として培ったスキルを棚卸しした
業界研究
興味のある業界について徹底的に調べた
その業界で求められるスキルや資格を把握
スキルアップ
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)の取得
簿記2級の取得
TOEICの勉強→これは550点で挫折しました(笑)
情報収集
転職サイトに登録し、情報収集を始めた
転職エージェントと面談をしてみた
応募と面接:
履歴書・職務経歴書の作成(教育現場での経験を企業目線で表現)
面接対策(教員経験をどのように企業でいかせるか説明できるようにする)
ここまで書くと順調に進んでいるのかな?
と思われがちですが、実際には全然上手くいきませんでした。
書類選考の壁
企業が求める「即戦力」の定義に合致しない
教育現場での経験を企業向けにうまく翻訳できない
低い初任給
教員としての経験年数があまり考慮されず、新卒並みの待遇に
職場文化の違い
利益を重視する企業文化に馴染めない可能性
競争的な環境に戸惑うことも
スキルギャップ
ビジネス特有のスキル(営業、マーケティングなど)
ITリテラシーの低さが障壁
キャリアパスの不透明さ
転職後のキャリアアップの道筋が見えにくい
専門性を活かせる職種が限られる
メンタル面での負担
教員をやりながら転職活動が大変すぎる
「教員を辞めた」という後ろめたさや罪悪感
最初の壁は書類作成でした。
「教員しか経験がない」という事実に落胆。
中途採用では基本的に「即戦力」を求められます。
書類審査で100以上の企業に「お見送り」をいただきました…。
ということで一連の転職活動をした結果…
またもや挫折しました(笑)
実際に転職活動をしてみて分かったのは1人じゃ絶対に無理だということ。
教員から転職をした人が周りにいない
職場はもちろん周りに相談できる人がいない
有給を取らないと面接できない
教員をしながら転職活動がとにかくしんどい
転職を決意したのが8月
転職活動を挫折したのが10月
今年度はもう無理かな…。
そんな気持ちで一旦私の転職活動生活が終了しました。
とある元教員ブログとの出会い
夜遅くまで仕事をしていた帰り道、何気なく「X」(旧Twitter)を開いていた時のことです。
「#教師のバトン」を追っていくうちに「ゆとり転職」というブログの投稿に出会いました。
▼その時の投稿がこちらです!▼
運営者のあさひさんは元高校教師で30歳、現在は教育関連のベンチャー企業で働いているとのこと。彼の率直な体験談に、私は自分の姿を重ね合わせ、胸が熱くなりました。
この方のブログには教員からの転職体験やノウハウが載っていて、私の他にも教員から転職をした人がいたんだ!と感動したのを覚えています。
▼特に履歴書のテンプレートは丸パクリしちゃいました(笑)
ゆとり転職|教員からの転職
このブログを見たのが11月に入った頃。
転職をするなら来年度の4月からなので退職は年度末。
まだ間に合うか…?
でもまた挫折してしまうのではないか…。
どうしよう…。
Xやブログを見ながら情報だけ収集していく毎日。
いっそのことブログの人に相談してみようかな…!
教員を辞めると決断をする
今考えたら結構やばいですよね(笑)
見ず知らずの人に人生の相談なんて…。
でもそれくらい切羽詰まっていたんです。
私は思い切ってあさひさんにDMを送ってみました。
返信をいただいたときの嬉しさは今でも覚えています。
Zoomで相談に乗ってくださり、私の状況を丁寧に聞いてくださり、具体的なアドバイスをたくさんくださいました。
その中で特に印象的だったのがゴールを決め切ること!
その時の私は何となく転職できたらいいなというテンションで転職活動をしていました。
そうではなく
3月末で転職をすると決める
正直、断言するのがとても怖かったです。
でも私は決めました!
次の日、昼休みに校長室へ行きました。
教員を辞めます!
校長先生からは
次の転職先のこと
今のクラスのこと(実は2年生の担任でした…)
についてどうするつもりなのかと聞かれました。
正直何も決まっていなかった私は
とにかく辞めますということだけを伝えてきました。
そして校長に伝えた次の日に退職届を出しました。
さあ、もう後戻りはできません。
ブログの情報を参考にして転職活動を再開しました。
教員以外の選択肢を広げるために
転職活動を進める中で、今までいかに自分が無知だったのかを痛感させられています。
これを書いている現在は1月です。
ちなみにまだ一つも内定が決まっていません。
焦りが半端ないです。
ただ転職活動をする中で自分のレベルが確実に上がっていると実感しています。
やっぱり教員のままの方がいいかな?
何度思ったことでしょうか。
でも私は教員から転職をします。
理想の人生を過ごすために。
教員としての経験は決して無駄ではない。
むしろ、それを強みに変えて新しいフィールドで活躍できる。
そう信じて、一歩ずつ前に進んでいこうと思います。
皆さんは今の仕事に本当に満足していますか?
編集後記:無事に教員を辞めて転職できました!
皆さん、最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この記事を書き始めたのは、まさに私が転職を考え始めた頃。
当時は、自分の気持ちを整理するために、ただ文章にしていただけでした。まさか、こんなに長くなるとは…。
そして今、私はこの編集後記を、転職を成功させた後に書いています。
1年越しの追記です(笑)
現在は人材業界でキャリアアドバイザーとして働いており、以前とは違った形で教育に携わっています。
え…?教育じゃないって?
確かに子どもの教育では無くなりました。
子どものキャリア教育から、大人のキャリア支援へとステップアップしたんです。
幅広い年代の方々の人生に寄り添える今の仕事に、大きなやりがいを感じています。
正直に言えば、転職1年目は年収が100万円ほど下がり、不安もありました。しかし、2年目には元の年収に戻ることができ、今では以前よりも充実した日々を送っています。
前述した通りですが退職金は154万円でした!
なのでプラマイ0!
そして何より、土日も働くことがほとんどなくなり、家族との時間を大切にできるようになったことが、私にとって何よりの幸せです。
振り返れば、あの時の不安や葛藤、そして一歩を踏み出す勇気が、今の私を作ってくれたのだと感じます。
もちろん、全ての方に私と同じ道を勧めるわけではありません。しかし、もし今、岐路に立たされているのなら、可能性に耳を傾けてみる価値は十分にあると思います。
この記事が、誰かの背中を押すきっかけになれば幸いです。そして、どんな選択をするにせよ、あなたの人生がより豊かなものになることを心から願っています。
最後になりましたが、私の転職を支えてくれた家族、そして「ゆとり転職」のあさひさんに、この場を借りて感謝の言葉を伝えたいと思います。ありがとうございました。
これからも頑張ります!