この”声掛け”やってたら要注意! 伝わった様で伝わりづらい「自分がされたらどう思う?」の難しさ
小学校にあがるまでは難しい”相手の立場”になって考えること
子育て世代のパパママから絶大な信頼を寄せられているカリスマ保育士のてぃ先生は、自身のYouTube動画の中で「誰かに対していけないことをした幼児に”自分がされたらどう思う?”といった注意の仕方をしても、ほとんど意味がない」と解説しています。てぃ先生曰く、「相手の気持ちになってそれを自分に置き換えて考えることができるようになるのは早くても小学校中学年あたりから」なのだそうです。
親の問いにきちんと答えられているのは単なるオウム返し
例えばお友達と玩具の取り合いになって、おもわず相手を叩いてしまった子どもがいるとします。叩かれて泣き出すお友達の様子に慌てたママが自分の子供を叱ります。「自分が叩かれたらどう思うのっ。イヤでしょ!」。子どもは母親に更に叱られるのを避けるために母親が発した言葉をオウム返しに使って返事をします。「イヤだと思う…」。それを聞いた母親は、子どもがちゃんと相手の気持ちを理解できたと勘違いして、ちょっと安心してしまうのです。
世の中を見渡すと、幼い子供に対してこうした注意の仕方をしている親御さんは結構見かけますし、下手をするとまだ経験年数の浅い保育園の先生など、やってしまっている例はあるかもしれませんね。しかしそれは子どもがちゃんと大人の問いかけに答えられているように見えているだけで、子どもが「イヤだと思う」と正解を答えられたのは、たいてい親の言葉の受け売りか、そう答えればよいということを以前叱られた経験から覚えているだけなのです。
子どもは「自分の身近な人の気持ち」を考えることはできる
結局、問いかけの本質を理解できていない子どもは、叱られたことの意味を理解できていませんから、またどこかで同じ悪戯をしてしまうということになります。そこでてぃ先生は「自分がされたらどう思うかを尋ねるのではなく、自分の大好きな(大事な)ママ(パパ)がされたらどう思うかと尋ねるとよい、と指摘しています。子どもは、自分の大事な人が叩かれたら(自分が)いやだから、人を叩くことは悪いことなんだというふうに学習するというわけです。その際、語り方として良いのは子どもに分かる言葉で具体的に話すこと。「ママだったら叩かれたら悲しいよ」というふうに具体的にママの思いを伝えることで、子どもは相手の気持ちを理解することができ、反省することもできるようになります。
うまくできたときはしっかり褒めてあげることを忘れずに
そしてもっとも大事なこと。叱ったあと子どもがちゃんとお友達にごめんねが言えた時、玩具を貸してあげることができたときには「ちゃんと謝れたね」「お友達に貸してあげたんだね、偉いね」「お友達に優しくできてかっこいいね」というふうに、しっかり褒めてあげることを忘れずに。人は誰でも叱られるよりも褒められた方が物事をしっかり習得していきます。そして自分なりに考えながら、相手のことを思いやれる行動がとれるようになっていくのです。