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【翻訳】プロテクションについての正しい考え方【セオリー】GTOWブログ.116

Paul the Protectorが200bb持ちのキャッシュゲームで、SBからA♠A♣をオープンしたとしよう。BBがコールし、フロップは8♥6♦4♥である。彼はここで75%ポットのCbetをしたくなるかもしれない。ベットすることで「ウェットボードでフラッシュドローにプレッシャーをかけ」、「ストレートドローからハンドをプロテクトする」ことが出来るからである。彼のハンドはこれらのドローハンドをブロックしていないし、相手にチェックビハインドされ、♥、7、5といった不利なターンの「フリーカード」を見せたくはないだろう。しかし、Paulはこのハンドは均衡ではピュアチェックに近く、75%ポットをベットすると平均してポットの7%程度の期待値を失うと知ると驚くかもしれない。

この記事では、このシナリオを掘り下げ、プロテクションのためにベットするべき時とそうでない時についてさらに詳しく検討していく。また、プロテクションの概念が、フロップCbet戦略における頻度やサイズにどのような影響を与えるかも明らかにしていく。




プロテクトしないとき


では、上記の論理はどこで破綻するのだろうか?BBはPaulの75%ベットに対して、フラッシュドローやストレートドローでディフェンスするが、これらのドローはA♠A♣よりも純粋なエクイティでは劣っている。しかし、これらのドローはそのインプライドオッズにより比較的高いEVを持っている。彼らはヒットした時にAAからバリューを引き出すか、ミスした時にAAをブラフして降ろすことが出来る。BBがコンティニューし、ランアウトにスケアカードが落ちた場合、PaulのAAはブラフキャッチャーになることが多く、彼が作ったポットのEVはゼロになる。PaulがAAでベットして相手のレンジを狭め、AAが0EVのブラフキャッチャーに変身すると、それまでポットに投入した金額は事実上すべて失ってしまったことになる。これでは、フロップ時に非常に高いエクイティを持つハンドとしては理想的な結果とは言い難い。

また、相手のコンティニューするレンジをブロックしない事も問題がある。ポールが6bbのポットに4.5bbをCbetしたとき、A♠A♣がコールされたときの期待値は11.19bbである。この数字はスタート時のポットサイズと彼のCbetサイズをほとんど上回っていないため、彼のハンドはBBにコールされたとき、フォールドされたときと比べてわずかに高いEVを享受するだけである。別の言い方をすれば、コールされたときのAAのEVの変化(EV-フロップ貢献)は6.69bbであるのに対し、BBがフォールドしたときのEVの変化は6bbである。フォールドされることはコールされることとほぼ同じであり、このハンドがバリューベットとしていかに効果的ではないかを浮き彫りにしている。

チェックにはもう一つ隠れた利点がある。PaulがOOPでチェックした場合、BBがチェックバックする保証はない。このボードテクスチャは彼らのレンジにとって比較的有利であるため、彼女はQ♦9♠やK♣2♣のようなハンドでスタブしてくるだろう。これらのハンドは、PaulのAAに対してほとんどドローイングデッドでありながら、75%のベットに対しては簡単にフォールドされてしまうだろう。


一般に、ベットはドローのないハンドからコールされたときの方がライブアウツやインプライドオッズのあるハンドにコールされた時よりもより大きな価値が得ることが出来る。8♥6♦2♣でA♠A♣をCbetした方が許容されやすいのはこのためである。ボードがドライな場合、BBはより多くのノーペア・ノードロー(静的なエクイティ)タイプのハンド、主にバックドア付きのオーバーカードでディフェンスすることが要求される。8♥6♦2♣では、これらのハンドの37%が75%のCbetに直面した時にコンティニューするのに対し、8♥6♦4♥では22%である。AAの場合、862rでKQにコールされる方が、864ttで76にコールされるよりずっと良い結果である。

プロテクションを気にしすぎると、高い代償を払うことになる。8♥6♦4♥で、GTOに基づくCbet戦略はポットから2.77bbのEVを獲得する。Paulがオーバーペアをプロテクションが必要だと考え、ベットしすぎ、ストレートやセット、ペア+ドローを、プロテクションが不要と考え、ベットしないとしよう。彼をこの戦略にノードロックすると、彼は2.7bbしかEVを獲得できず、0.07bb(7bb/100)程度エクスプロイトされることがわかる:

PaulのCbetレンジは比較的狭く、オーバーペアが密集しすぎていて、200bbを喜んで入れるには弱すぎる。このSBのレンジの脆弱性により、BBはレイズ頻度を5%から21%に上げ、リポットサイズでレイズを行う、ツーペア以上を常にレイズし、必要なブラフを加えることで攻撃することが出来る:

実際、Paulにとってはるかに堅実な戦略は、レンジ全体でチェックすることだろう。彼にはポジションのアドバンテージがなく、BBのレンジは全体的なエクイティだけでなく強いハンド(ツーペア以上)という点でも競争力がある。この戦略はEVを2.75bbを獲得し、GTOにかなり近い上に、BBがスタブし過ぎればGTO戦略を上回るかもしれない。


プロテクトする場合


ポーカーにおいて、ベットやレイズは、エクイティの低いハンドにコールさせ、エクイティの高いハンドにフォールドさせることでEVを得る。これまで述べてきたように、エクイティー高いドローに値付けする目的でフロップのCbet戦略をデザインするのは賢明ではない。むしろ、「バリューハンド」でベットする第一の目標は、ドローイングデッドに近いハンドからコールをもらうことであるべきだ。逆に、「ブラフ」でベットする目的は、可能な限り多くのエクイティをフォールドさせることであるべきだ。

薄いバリューハンドがディフェンス側のレンジの一部(ガットショット、オーバーカード、バックドアドローなどを含む)をブラフをさせたりエクイティを否定することが出来る場合、プロテクションのためにベットすることができる。

例えば、BBに対するシングルレイズドポットで、A82rに対するBTNのCbet戦略を考えてみよう。BBはプリフロップで9以上のカード2枚を持つほぼ全てのオフスーツ(およびスーテッド)ハンドをディフェンスしている。BBはKと9の間の2枚のカードのコンボを100以上持ってフロップを迎え、それらは彼らのレンジの30%近くを占めている。その結果、BTNは8xで小さなベットをして、これらのハンド(最大6つのアウツがある)をフォールドアウトし、77-33のようなハンド(最大でも2つのアウツがある)からバリューを引き出す強いインセンティブがある:

大きなベットはさらに多くのオーバーカードハンドをフォールドさせるかもしれないが、8xで大きいサイズを使ってしまうとAxのような強いレンジに対して孤立することになるため、コールされた場合にあまり良い結果にならない。BTNが33%サイズでCbet戦略を行った場合、70%以上の頻度で8xをベットすることが出来る。BTNに小さいサイズと同じ頻度で75%サイズのCbetを使わせると、100ハンドあたり6bbのEVを失う。

薄いバリューハンドでプロテクションのためにベットするインセンティブがある場合、これらのハンドが頻繁にベットできるようにするには、より小さなサイズを使う必要がある。

次のセクションでは、プロテクションとフロップでCbetされる頻度とサイズの関係をさらに深掘りしていく。


頻度とサイズ


集合分析機能を使って、SRPにおけるBTNのCbet戦略 vs BBを見てみよう。ボードはAx2レインボーで、xはKから3の間のカードである:

次のような明確な2つの戦略を観察する事が出来る。BTNの主なサイズは、Xがブロードウェイカードである場合は125%、そうでない場合は33%である。前者の場合、セカンドペアに対するオーバーカードは少なく、ブロードウェイガットショット(BBはすべてのオフスーツのコンボを持っている)が存在するため、BTNのメイドハンドのエクイティは減少する。その結果、BTNはセカンドペアでプロテクションベットをしたがらないので、BTNは主に強いトップペア+とブラフからなるポラライズドレンジで大きめのCbetをする。(オーバーベットのサイズは多くのブロードウェイガットショットをインディファレントにさせる)。後者の場合、セカンドペアに対するオーバーカードが多く、BTNはセカンドペアとアンダーペアでのプロテクションベットを積極的に行いたいので、主なベットサイズは小さくなる。


まとめ


フロップでの強いドローはEVが高く(多くのメイドハンドよりも高いことが多い)、ほとんどの 「標準的な 」Cbetサイズに対してコンティニューする。フロップでCbetするときは、これらのハンドに「料金を課す」することに焦点を当ててはいけない。その代わりに、次のようなヒューリスティックを考慮したい:

  • OOPで大きなレンジアドバンテージがないときは、頻繁にチェックすること。

  • リバーまでに『事実上のナッツ』を作ることができるハンドは、他の多くのメイドハンドと比べてもEV/EQRが高い。(『事実上のナッツ』の分類はスタックの深さに大きく依存する)。

  • 今後のストリートでも、バリューベットやバリューレイズを継続して行える可能性が高く、ブラフキャッチャーに変わりにくいハンドでより頻繁にベットする。ブラフキャッチャーに劣化するのではなく、このようなハンドはしばしば 「高いエクイティリテンション 」または 「堅牢なエクイティ 」を持つと言われる。

  • 両方のレンジにおけるオフスートのハンドに注意を払い、このようなハンドはそれぞれ12コンボを持つ事を考慮する。

  • フォールドエクイティの価値に注意すること。相手がフォールドする頻度だけでなく、相手がフォールドするハンドの種類も重要である。

  • もしあなたのシンバリューベットが、あなたに対して多くのアウツを持つハンドをフォールドさせるのであれば、フォールドエクイティを狙うインセンティブが高まる。広いマージドレンジで小さくベットすることを検討しよう。

  • もしあなたのシンバリューベットが、エクイティの高いドローやそれ以上のハンドにコールされながら、ドミネイトしているハンドをほとんどフォールドさせてしまうのであれば、薄くベットするインセンティブは少なくなる。このような状況では、より極端なベッティング戦略を選ぶべきである。

  • ガットショットが相手のレンジの大部分を占めている場合、オーバーベットはこれらのドローの多くをインディファレントにさせる。



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