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脳出血。衝撃と戸惑い、何かしなくちゃという焦り...唯一「生きていてほしい」とそれだけが願いだった。

いつもの変わらない朝。何の前触れもなかった。

ほんの少しでも何かが違っていたなら....私は気付いてあげることができたのだろうか。

「本当に仲がいいよね」

お友達からはいつも言われていたけれど、30年間ずっとそばにいて、その時が忍び寄ってきていることに....悲しいけれど私は気付けませんでした。

「今日もいい波かな...」二人で笑いながら、台風後の良い波が来ていると信じて海に出発しました。

家を出るときに主人が私に言いました。

「いつもありがとう。」

「何言ってるの....あたりまえでしょう。ありがとうなんていわないで、やりたくてやてるんだから。」と内心少し嬉しいなと幸せな気持ちになりながら家を後にしたことを覚えています。

気付けなかった....これが前触れだったのかもしれません。

夫は今では珍しくなってきているかもしれませんが亭主関白。お家の中では王様でした。お前がしたいんだからさせてやってるという勢いでお家の中のことは全て私任せ。その分外では一生懸命仕事をして家族を支えてくれました。こんな夫から死ぬ前にありがとうって言ってもらうのが私の夢だと冗談半分、本気半分でよく言っていました。

もっともっと頑張って、ありがとうって最後に言ってもらいたい....

まだまだ先の話だったありがとうの言葉....聞きたくなかった。聞いて喜んでしまった自分にこれほど悔いた事はありませんでした。

気付いてあげたかった。

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