世界一周21〜35日目log ニュージーランド/北島
※後半、写真の量が多いのでデータ通信量にご注意ください。
所感
私は今ニュージーランドにいる。
この国はとても快適だ。心の底から満喫している。
のんびりしていて親切な人々。
豊かな自然。
美味しくて衛生的な食事。
可愛い羊。
西洋的な雰囲気でありながら、マオリ文化の痕跡を至る所で見ることができるし、大切にされているのを感じる。
日本だと、沖縄でシーサーを見る感覚に近いだろうか。
玄関や家の門、あるいは街のそこかしこにマオリの彫刻が施されている。
ニュージーランドが誕生した歴史的な場所であるワイタンギも観光したが、ワイタンギ条約に英語とマオリ語両方があるのが感慨深かった。
現存する資料は大切に保管され、そこには500を超える族長の名前が記されていた。
再現映像も見たが、武力によって一方的に結ばれた契約ではなかったようだ。
直前に訪れたオーストラリアと比較してしまう。こちらは平和的に結ばれてよかった。そのおかげで今の穏やかな国民性があるのだろうか……。
と、感心したのも束の間。そこはさすがの大英帝国。
翻訳にはいくつか問題点があり、今も議論が続いているという。
例えば、マオリ語版では「主権を共有する」になっていたのが英語版では「主権を英王国に譲る」となっていたとか。かなりの超訳だ。
そのせいで両者の間ですれ違いが起き、長い戦争が起きたこともあったという(※意訳です。あまり信用しないでください。詳しく知りたい方はワイタンギor関連書籍へGO)
悪名高き三枚舌外交が、現在の中東に大変な問題を引き起こしているけれども、ここでもか。
こうなると最初に感動した、2つの言語を残したことに嫌らしさすら感じてくる。
主観の話なのでほどほどにしておくけれど、
性善説の立場から見れば誤訳による不幸なすれ違いで、
性悪説の立場から見れば後々武力で抑えることを見越した不平等な条約……。
改めて、世界各地であくどいことをしておいて、よく英語が公用語と言われるまでに生き残っていると思う。憎まれっ子世にはばかる、とはいうけれど。
イギリスにはどことなく憧れがあったけれど、移民の歴史がある土地を訪れるとあまり良い感想を持てない。
西洋化された美しい町並みに癒されながらも、彼らがいなければこの国は今どんな姿だったのだろう、と想像してしまう。詮無いことだが。
私は大学受験で世界史を選んだが、植民地や移民の歴史は暗記するだけで、そこに何の感情もなかった。
現地を訪れることで、肌でわかることがたくさんある。
自分の中にさまざまな感情が巡る。
旅に出て良かったと思う。
頭の痛くなる話はここまでにして、ここからは観光の話をしていこう。
北島(ノースアイランド)観光log
北島ことノースアイランド。旅程はこんな感じ。
1〜3日目 オークランド
4〜8日目 パイヒア、ワイタンギ、ケープレインガ・99マイルビーチ
9〜11日目 オークランド→ワイトモ鍾乳洞・ロトルア
12〜14日目 ウェリントン
のんびり屋なので、旅程は到着してから組み立てている。
宿には最低でも2泊して、気に入れば延泊する。
自己流だが、これが世界一周の最も良いやり方な気がしている。
もちろんもっといたい気持ちもあるが、円安パンチの影響を考えるとこの辺りが私には妥当だ。
1泊では絶対に物足りないが、2泊あれば心に余裕ができる。
1日目は、周辺の観光地の詳細を調べる日。
2日目以降に街を観光して、あとどれだけここにいたいかを考える。十分楽しんだ、と思ったら次に行く街をざっくりと調べ始める。
観光地へ向かうツアーが出ている場所を、次の滞在先に決めることもある。
発着地となる場所は大抵そこそこ盛えた街で、観光地も周囲にいくつかあるから、不便も退屈もしない。滞在にもってこいだ。
宿はAgodaとBooking.com。ツアーはベルトラとGet Your Guideを使って調べている。
ちなみに最低2泊のルールは、高校の時の先生の影響によるものだ。
雑談と旅好きな先生で「2泊しないとその県に行ったとは認めない」とよく言っていた。
教師になった友人の話を聞くたび、先生が定年近くになってもまだ47都道府県を制覇できていなかった理由がよくわかる。教師の働きすぎ問題がなんとかなればいいのだが。
ここからは写真を載せていく。データ容量を食いそうなので制限がある方はお気をつけください。
ところで、ニュージーランドはスリルを求めたアクティビティが多い気がする。
宿には絶叫している人の写真が必ずといって良いほど貼ってある。
バンジージャンプ、ヘリコプター、スカイダイビング、マウンテンバイク、絶景ハイキング、ジェットクルーズ、エトセトラ。
のどかな国民性に似合わないが、こういうところでストレスを発散してバランスを取っているのだろうか。
海外からの観光客にも人気のようだが、私は極度の高所恐怖症なので穏やかな観光を楽しんでおります。
オークランド
まずはニュージーランド最大の都市、オークランドから。
満喫している様子がお分かりいただけただろうか。
フィッシュアンドチップスとラムシャンクは地元で長く愛されてきたというレストランで頂いた。
実は3カ国目にして初めて、1人で海外のレストランに入った。
大変緊張したが、店員さんの印象がとてもよかったので連続で通った。
2日目に気づいたことがある。
注文する時はランダムだが、料理を運んでくるのは1日目も2日目も、私と同じモンゴロイド系の見た目の店員だった。
それとなく観察していると、他のテーブルでも、見た目の特徴の近い人が料理を運んでいる。
この店ではそういうルールなのだろう。もちろん店員は全員親切ではあった。
うーん。区別されるのは少し違和感があるが、確かに親近感を抱いて話しやすくなるので難しいところだ。
いや、でもやっぱり良くないんじゃないかな。
確かに自分に似ている人に会えるのは嬉しいが、偶然の出会いでないとありがたみを感じない。
誰が作ったルールか知らないが、そういうところだぞ、と思う。
連続で行かなければ気づかないことだったろう。
パイヒアとワイタンギ
マオリ語で「ここはいいところ」という意味のパイヒアと、その目と鼻の先にあるニュージーランドの成立の地と言われるワイタンギ。
パイヒアからワイタンギトリニティグラウンドまでは無料のシャトルバスが出ている。
ニュージーランドの博物館は総じてレベルが高いという印象を抱いた。
全ての展示がわかりやすく、誰でもとっつきやすいよう工夫されている。
また、思わず心ときめくほどにデザインも洗練されていて、潤沢な予算を感じる。
日本もこうあれば良いのに。その前に学芸員の待遇改善か……。
ケープレインガと99マイルビーチ
北島の先端、レインガ岬とその近くにある99マイルビーチ。
どちらも天国のように綺麗な場所だった。
99マイルビーチの鏡面のような反射を見た時はウユニ塩湖を思い出した。
ここに行けばわざわざ地球の裏側まで行かなくて良いかも、と思ったが、まあ実際に行かなければわからないか。
ワイトモ鍾乳洞とホビット村
有数の土ボタルの生息地として有名なワイトモ鍾乳洞とホビット村を観光。
ワイトモ鍾乳洞の中はほとんど撮影禁止だった。ぜひ肉眼で見てほしい。
暗い場所の土ボタルは星のように青白く発光していて、ライトで照らされた姿は蜘蛛の糸のようでこの世のものとは思えないほど幻想的だった。
特に洞窟内を小舟で進むツアーは必見。
水の音だけが静かに響く静寂の中で、満点の星空のような土ボタルにきっと心打たれるだろう。
ホビット村はここでは収まりきらないくらいの写真を撮ってしまった。
映画は一応最後まで見たが、内容はあまり覚えてない……その程度のライトなファンだった私だが、細部までこだわった村に感激。
本物の野菜、本物の洗濯物、夕方になれば煙突から煙。
家には作り置きのパイやクッキー、乾燥ハーブに書斎、風呂、トイレまであるし、酒場では本物のビールが飲める。
確実に隠れてホビット族が暮らしていると思う。
ホビット村の写真集があれば買いたいくらい。日本に戻ったら探してみよう。
ウェリントン
ニュージーランドの首都ウェリントン。街中にアートなオブジェがたくさんあった。
オークランドより落ち着いているが、街も人も洗練された雰囲気。
すぐそばにあるマウントヴィクトリアはロードオブザリングの撮影地にもなったそうだ。
見てみたがよくわからなかったので写真は割愛。
北島観光は以上。
ニュージーランドは3週間滞在する予定で、南島を中心に回るつもりだったのだが、気づけば北島で2週間過ぎていた。
ウェリントンでは名高い芸術に触れたかったが、駆け足で街を巡って終了になった。
かかった費用は約15万円。内訳は、
宿泊費:38,407
移動費(主にInterCity) : 19,050
ツアー:57,194
食費:36,000くらい
食事に想定外にお金をかけてしまった。
パイもジェラートも美味しくてつい。後悔はしていない。
ビューティフォー!兄貴
北島で最も印象的だった人は、パイヒアのレストランで出会ったビューティフォー!兄貴だ。
見た目は少し髭を生やしたオーランドブルーム。最初のパイレーツオブカリビアンくらいのイメージ。
牡蠣がリーズブルで美味しいと聞いて入った店だったが、この日は状態が良くないからと別のものをおすすめされた。
ガッカリしながらも、それとビールを頼んだ。
少ししてまずビールが運ばれる。
飲んでいると、彼が「どう?」と聞きにきた。
まだ私には英語に対する照れがある。
小声で、なんとか笑顔を作り「Great!」と答える。
すると彼は微笑み、息を吸い込み、大きな声で、
「ビューーーゥゥティフォー!!!!」
と言った。
驚いた。オーランドブルームが突然おもしろ兄貴になった。
しばらくして食事が運ばれてきた。
何の貝かは忘れたが、バジルのソースがとても美味しく、貝も旨みがたっぷり。
食べていると、再び兄貴が「どう?」と聞きにきた。
「パーフェクト!」と答えると、彼はまた深く息を吸って、
「ワァァァンダフォーーーー!!!!」
と言った。
言う前に一瞬、間をとるのも面白い。
他のテーブルの客にも同じことをしていたので、特別なサービスではないらしい。
しかしその勢いに、自然とみんな笑顔になってしまっている。
英語の会話を躊躇して、ついつい小声で自信なく話してしまう私は、兄貴の姿勢に感銘を受けた。
今後、言葉に詰まったら兄貴のように、元気よくシンプルに答えていきたいと思う。