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死ぬまで愛されるとは思ってなかったけどさ、死ぬまで愛したいって思ってたよ。

わたしは、ちゃんとかわいい彼女だったんだろうか。
細い眉毛が好きだと言われたら細くした。髪型も、好きだと言っていた髪型にした。外に出るときはちゃんとメイクしてと言われたらした。やめてと言われたことも、できるだけ直した。
そもそも、君はかわいい彼女なんて求めていなかったのかもしれない。おだやかな子と付き合いたかったと話した君にとって、わたしが目指していた"彼女像"は180度違っていたのかもしれない。
それでもわたしは、"かわいい彼女"でありたかった。

少しずつ日常を取り戻してきて、"恋に堕ちてメタモルフォーゼ"だったんだなって思った。わたしは、わたしの考える"かわいい彼女"に、恋に堕ちて変身していたのだ。でも、もう変身魔法は解けてしまった。プリキュアだって、戦いが終わったら普通の女の子に戻ってしまう。

"あなたはあたしの愛しい人ではもうありません"
わたしが洗濯物を干して幸せに浸っているとき、この曲を流した君は何を考えていたんだろう。もう、終わりを決めていたんだろうな。勝手に終わりを決めてしまうなんてズルい。あの時も、あのキスも、あのハグも、全部最後だってわかっていたってことでしょう?わたしは何も知らずに、無邪気に喜んで、次もあるんだと思って、記憶にもしっかり残らないあやふやな"最後"。
ふたりで始めた物語なんだから、最後だってふたりで決めたいよ。これが最後だって、身体の隅々に刻みつけて、そして痛いくらいに傷つけてよ。

浮ついてピンクに塗った足の爪が、秋風に吹かれて肌寒い。嫌でも季節は変わり始めている。一緒に乗り越えていけると思っていた、嫌いな秋も冬も、わたしは一人で乗り越えなければいけない。
手編みのバッグをさげて、手編みのうさ耳ボンネットをかぶって、冷えた手をぎゅっと繋いでデートがしたかった。見たことがないと言っていた綺麗な夜景を見せてあげたかった。この先、もう誰とも見に行かないで。わたしだって、君のせいで二度と行けそうにないよ。他の人と行ったって、やっぱり君と行きたかったって、思ってしまうと思うんだ。こう思うのも、今だけなのかな。5年、10年って経ったら平気なのかな。でもわたしって、結構、未練残っちゃうタイプなんだよね。未練がましいの、嫌だよね。できるだけ、早いとこ平気になれるようにするからさ、だから"最後"はちゃんと自覚させてよ。頭が理解できたって、身体が追いついてやくれないんだよ。

昨日は大学時代の友だちが慰め会を開いてくれた。こういうときに、すぐ駆けつけてくれる友だちがいるだけでわたしの人生、いいものだったなと思える。わたしって、何よりお友だちが大好きだから。こうやってすぐ駆けつけるのは、わたしに人望があるからだよって言ってくれて、お世辞でも嬉しかった。与えた分だけいつか返ってくるって、許した分だけいつか許されるって、わたしは信じているから。
ここ2日くらいまともにご飯も食べられなくて、久しぶりに美味しいものを食べた。適当に注文してよって言ったらわたしの好きなものばっかりで、やっぱり食の趣味が合うのいいなって思って、そういえば君も適当に頼んでってお願いしたら、いつもわたしの好きなものばっかだったなって思い出して、ちょっと悲しくもなった。
2杯くらい飲んでおわりにして、ちょっと海風に当たって帰ろって散歩して帰った。本当はそこだって君と行きたかったけど、来なくてよかったなって、ちょっと思っちゃった。ここまで呪われてしまったら、わたしは行けるところがなくなってしまう。友だちの家に泊まる予定なんてなかったけれど、もう今日は朝までしゃべり明かそうよって言ってくれたから泊まって帰ることにした。コンビニでお酒とおつまみを買って帰って、いろんな話をした。ほとんどわたしが一方的に話していたけど、そうだね、そう思えるならよかったねって、たくさん話を聞いてくれて助かった。自分を卑下したら、それは違うと思うってちゃんと言ってくれて、あーほんと、持つべきものは友だちよ!!って思った。3時過ぎくらいまでおしゃべりして昼まで寝て、コーヒーを淹れてもらったのを飲んでタバコを吸って解散した。この箱が空いたらタバコやめようって思っていたのに、気づいたらもう2本しか残っていなくて、まだしばらくはやめられないなって苦笑いした。15時前なのに外はちょっと涼しくて、昼間に動くの暑いから泊まらせてって言い訳、ちょっと苦しかったかもなって思ったけど、泊まっていいよって言ったのは君なんだからさ、ちゃんと自分の言葉に責任持ってよね。そう言わないとゆうちゃん拗ねるからとか、わたしのせいにしたら怒るからね。自分の意思をしっかり持って、言葉に責任を感じて、なんでも軽々しく言葉にしないで。

フットワーク軽いみたいに、言葉も軽々しいの嫌だった。軽率に後先考えずになんでも言えちゃう無鉄砲な若さが刺さって痛かった。でも、そんなことろでさえ愛しかった。君はわたしに直してほしいところをたくさん言ってきたけど、わたしはどっこも直してほしくなかったよ。今まで君がつくりあげてきた"君"を、まるまま愛おしいって思えたんだ、本気で。おかしいかもしれないけど。人を変えるのって、本当に難しい。わたしは変わりたかったから頑張ったつもりだったけど、終わっちゃったってことは変われていなかったんだろうな。でもさ、長期的な目で、見てもよくない?今さらこんなこと思ったって、無駄なんだけど。

疲れちゃったってことは、それだけわたしとちゃんと向き合ってくれていたってことだよね。わたしは、ちゃんと君と向き合えていたんだろうか。浮かれて、舞い上がって、楽しくなって、美味しいとこだけすくって味わって、君の「しんどい」って言葉の意味だって、ちゃんと分かっていたのに、目をそらしてごまかしてしまっていた気がする。そういうところが、ダメだったんだよね。でもさ、察してほしいなんて、烏滸がましいよ。何のために、口ついてるの?言葉にするの苦手って、逃げないで。もっと、ちゃんと言ってほしかったよ。「しんどい」じゃなくて、「今は一緒にいたくない」って、たとえわたしを傷つけるとしても言ってほしかったよ。そのくらいの傷、わたしがつけた傷と比べたら大したことないんだから。こうやって君が見れないnoteにこんなこと書いて、直接言わないのも卑怯なんだろうか。でもさ、お別れするときに喧嘩したくないし。言い訳がましいけど、わたしだって、もうちょっと自分に余裕があったら君の言葉にできない気持ちも、ちゃんと察してあげられたんじゃないかなって思うんだ。わたし、誰かとちゃんと向き合うには、まだ幼かったみたいだよ。

良い意味でも、悪い意味でも等身大の恋だった。無理に背伸びすることもなく、自分の欲望に真っ直ぐで、全力で君のことが大好きだった。起きたらいつもはいちばんに別れたことを思い出して悲しくなるのに、今日はさ、君の笑顔が、次から次へと思い浮かんできたんだよね。君にはわたしは、どんな風に映っていたのかな。自分ではあまり笑わない方だって思っていたけど、君はよく、ゆうちゃんよく笑うよねって言ってくれていたよね。君の記憶にも、笑顔の私が残っているのかな。そうだと、嬉しいんだけどな。記憶に残ると言えばさ、お風呂上がりに眼鏡かけるの、君は似合ってへんからっていつも言っていたけど、あの黒縁の眼鏡、すごく似合ってたしわたしは大好きだったよ。お風呂の後に、ふたり並んで歯を磨いて、換気扇の下で一緒に吸うタバコが大好きだったな。この先誰かと換気扇の下で肩を並べてタバコを吸うことがあったって、わたしの心の中にはきっと君がいるよ。君も、誰かと肩を並べて吸っているのかな、それとも1人で吸っているのかな。タバコはもう、やめちゃったかな、とかさ。きっと、きっとだよ。

初めての人だから、こんなに記憶に残るのかな。それとも、2人目、3人目って思い出を重ねていったら、いつか色褪せて忘れていってしまうのかな。わたしは、死ぬまで忘れたくないって、これも今だから思うのかな。1年とか経ったら、もうどうでもよくなっちゃうのかな。死ぬまで一生愛されるとは思っていなかったけど、死ぬまで一生愛しぬく覚悟は、わりとあったよ、わたし。

いつか君の呪いが解けるまで、わたしは呪われ続けて生きていくよ。君は、わたしの呪いなんて跳ねのけて、幸せになって。わたしの知らないところで、呑気に笑っていてよ。バンドだってさ、わたしがファンになったんだから大成功するよ。音源が公開されたら毎日毎日聴いてやるって決めてるんだ。絶対にトップリスナーになるんだから。見てろよ!!わたしは有言実行する女だからさ。
ライブもさ、CD出したら買いに行くよ。それまでにほっそり痩せて、服やメイクも大人っぽくしてさ、別人みたいになって会いに行くから、ただのファンみたいに接してサインしてよ。そんで「名前はどうしますか?」って聞いてきてさ、こいつ本当にファンになったんだって、呆れて出禁にしてよ。なんならストーカーです!って警察に突き出しちゃえばいいんだ。わたしはさ、出会った人たちみんな、たとえ地獄だろうとどこまでも着いて行っちゃうんだからね。わたしと出会ったのが運の尽きってね。

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