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全国通訳案内士「一般常識(時事問題)」の勉強法

全国通訳案内士の勉強法については、以前の記事で紹介しました。そこに書いた方法で一般常識も合格できましたが、勉強方法が分からないし、勉強していても手応えがまったくなく不安でした。この記事では、2024年度受験の実体験を元に勉強法を紹介します。


勉強を始める前に

Step1 試験範囲を確認する

受験年度の全国通訳案内士試験ガイドラインで、試験範囲を確認しましょう。JNTOのサイトで公開されます。2024年度は5月10日に公開されました。ガイドラインの公開より早く勉強を始めている場合は、前年度のガイドラインを参考にしてください。

試験は、現代の日本の産業、経済、政治及び文化についての主要な事柄(日本と世界との関わりを含む。)のうち、外国人観光旅客の関心の強いものについての基礎的な知識(例えば、試験実施年度の前年度に発行された「観光白書」のうち、外国人観光旅客の誘客に効果的な主要施策及び旅行者の安全・安心確保に必要となる知識、並びに新聞(一般紙)の1面等で大きく取り上げられた時事問題等)を問うものとする。

全国通訳案内士試験ガイドライン

特に「外国人観光旅客の関心の強いものについての基礎的な知識」というキーワードは頭に入れておきましょう。

Step2 過去問で問題の傾向をつかむ

JNTOのサイトで直近5年分の過去問を見ることができます。一般常識は時事的な問題が出るため、解き直しをする必要はありませんが、どのような問題が出るのか傾向を掴みましょう。

ここで把握した問題の傾向を元に勉強を進めていきます。ピントがズレていると暗記する対象を間違えたり、読み飛ばせるところを読んでしまい効率が悪くなったりします。

勉強を始める前の大切な準備になるので、疎かにしないようにしてください。

Step3 作戦を立てる

一般常識は50点中30点以上で合格です。2024年度の問題数は17問で、2点×1問と3点×16問でした。どのように17問中11問正解するのかを考えます。

表は2024年度の問題から作りました。

2024年度の問題を分析すると、上の表のようになります。正解に◯が付いている問題は、勉強して確実に正解したい問題です。備考欄には何を勉強すれば正解できるかを書きました。「観光白書」「観光庁ホームページ」「日経キーワード」は対策可能です。「知識」は普段からの知識が問われるため、対策が難しいです。「地理」は全国通訳案内士の「地理」の勉強で学んだことが問われました。

勉強方法の詳細は次に記載しますが、とにかく◯がついている問題は勉強することで確実に正解できるようにします。これで29点なので、残りの7問から1問当てれば合格です。これなら勘で選んでも1問くらいなら当たりそうに思えます。

一般常識の勉強方法

1. 観光白書

試験範囲を確認したときに分かったとおり、試験実施年度の前年度に発行された「観光白書」から出題されるので、国土交通省から発行されている観光白書を読みます。2024年度に受験したときは、令和5年度版を読みました。令和4年の観光の動向などが記載されています。

数字やグラフに注意しながら、問題に出そうなとこところを探すようにして読んでいきます。このときに、勉強を始める前に「Step2 過去問で問題の傾向をつかむ」が生きてきます。

そして、自分で出そうだと思ったことは暗記カードに書きます。例えば、令和6年度の観光白書を読んでいるのであれば、暗記カードの表面に「2023年の世界全体の実質経済成長率」と書いて、裏面に「3.2%」と書きます。

2. 観光庁のホームページ

観光庁のホームページには、観光に関するニュースが載っているので、問題に出そうなトピックを選んで読みます。出そうなことは暗記カードに書きましょう。

例えば、いま(2024年11月24日)観光庁のホームページを見てみると、新着情報に『「ベストツーリズムビレッジ」に新たに2地域が選ばれました! ~山形県西川町(にしかわまち)、鹿児島県天城町(あまぎちょう)が認定~』というニュースが載っていました。

これは出そうです。暗記カードに、ベストツーリズムビレッジに新たに認定された2地域はどこか、すでに認定されている6地域はどこか覚えられるように書きます。

どの期間の記事を読むかは難しいのですが、一般常識は時事問題という側面もあることから、前年の1月から試験がある年の5月頃まで1年5ヶ月分くらい読めば十分(そこまで分析できて無いので適当です)だと思います。

3. 日経キーワード

最新版の日経キーワードを読みます。(2025-2026版は2024年12月5日に発売されるようです。)出そうなところは暗記カードに記載します。

外国人観光旅客の関心の強いものについての基礎的な知識が問われることを念頭に読みます。明らかに外国人観光客には関係ないようなところは飛ばします。

注意点として、出そうなトピックは受験前に最新情報も調べておいてください。2024年度に受験したときは、2024-2026版の日経キーワードを読みました。そこで、気候変動枠組条約締約国会議(COP)について、2022年にエジプトで開かれたCOP27について記載されていましたが、試験問題に出たのは2023年11月30日にアラブ首長国連邦で開かれたCOP28についてでした。

日経キーワードは12月上旬に発売されることから、11月30日の出来事は記載が間に合わなかったのでしょう。このように、発売から全国通訳案内士の試験作成までの期間も空いていることから、出そうだと思ったら、必ず最新情報が更新されていないのか調べるようにしてください。

ここまでの勉強で、先程の表の◯がついている問題が正解できます。残りは7問中1問当てればいいだけです。ただ、◯がついている問題を間違えることもあるため、時間がある方は次章の勉強をしておくとより合格率が高まると思います

試験まで時間がある人のための勉強

僕は試験まで2ヶ月程度しか時間が無い状態で勉強していたため、実体験ではありませんが、先ほど紹介した3つの勉強に加えて、こんなことをしておけば点数を取りやすいだろうと思うことを紹介します。

1. 過去問の答えの根拠を調べる

過去問に記載されている文書や根拠を調べることで、周辺の知識や最新情報を拾い集めるようにします。

例えば、2023年度の10問目はいじめ防止基本方針に関する問題でした。この問題であれば、いじめ防止基本方針を調べてみて、正解選択肢の根拠を探します。また、根拠を探しながら、他に出題されそうなことがあれば暗記カードに追加します。

話が逸れますが、(確かめていないので分かりませんが)正解選択肢とほとんど同じ文言が見つかると思います。出題者は間違えた問題を出さないように、文書の中から引用する形で問題を出題していると思います。また、不正解選択肢は、文書の中の文言を変更することで不正解にしているのではないでしょうか。

さて、本題に戻ると、根拠を探した後はこのトピックの最新情報がないかどうか調べます。過去問の出題時から状況が変わっている場合には、再度出題される可能性もあります。

これらの勉強をしておくことで、同じトピックから出題された場合に正解できることはもちろん、出題者の問題の出し方も理解することができます。

2. ニュースを見る

毎日ニュースを見ることは、一般常識の勉強法として正攻法だと思います。自分がいつも見ている媒体でニュースを見て、出題されそうなトピックは深堀りすると良いでしょう。

僕が受験した2024年度の問題では、愛知県名古屋市で開催予定の「第20回アジア競技大会」の競技種目を問う問題がありました。なんとか消去法で正解できたものの、テレビのニュースを見ている人なら、自信を持って当てられそうだとも思いました。

3. その他の参考書とYouTube

「公務員の時事問題」
僕が勉強していたときに読みました。内容は「日経キーワード」と被るものの、5月発売で出版時期が異なるのが良いところです。気候変動枠組条約締約国会議(COP)のトピックだと、きちんとCOP28の内容が記載されています。また、問題形式になっているので取り組みやすいです。

「ハロー通訳アカデミー」
ハロー通訳アカデミーのYouTubeチャンネルでは、無料で講義を聞くことができます。動画の概要欄からダウンロードできる「2024年度受験用<一般常識>の傾向と対策資料」などは参考になると思います。

4. 他の科目の勉強をする

他の科目で勉強したことが出ることがあるので、一般常識は後回しにして、他の勉強を進めることも有用だと思います。

2024年度には、天守が国宝に指定されている国宝五城が分かっているか問う問題がありました。これは、地理を勉強する中で身につけていた知識だったので正解できました。

他にも、七五三について問う問題がありました。(唯一、不正解だった問題がこれでした。)こういった日本文化に関する常識を問う問題は、英語の勉強を通じて身につけることができそうだと思いました。外務省が運営している「Web Japan」では英語で日本の文化などを学ぶことができます。

「Web Japan」
https://web-japan.org/

まとめ

勉強方法が分からなくて一番不安だったのが一般常識でした。対策しにくい科目ではありますが、やるべきことをやって、残りは勘でも6割に到達することはできると思います。少なくとも勉強したところは取りこぼさないようにする意識を持って、しっかりと暗記するようにしましょう。

僕が実際に受験したときのことは下記の記事に書きました。2ヶ月間の勉強のスケジュール、使った参考書、5つの暗記方法などについても記載しています。ぜひ参考にしてください。

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