小道具としての位牌について
現在(2024年8月)フジテレビ系月曜9時のドラマ「海のはじまり」。
このドラマには位牌が第7回まで映り続けました。
おおまかなあらすじは
月岡夏は大学時代、
あるきっかけで付き合うようになった
同級生・南雲水季と
幸せな日々を送っていました。
しかし就職活動を迎えようとしていたある日、
突然、彼女から別れを切り出されます。
それから7年。
新しい人生を歩んでいた夏は、
大学時代の友人からの連絡で水季が
亡くなったことを知ります。
別れて以来一度も会っていなかったこともあり、
水季の死に実感が湧かないまま葬儀へ向かう夏。
彼はそこで出会った
「海」という名の幼い少女が、
水季と自分の子供であることを知って驚きます。
ドラマはこの「海」ちゃんと
夏を含めた大人が関わっていくストーリーです。
第1回目では、その葬式の場面があるのですが、
その位牌に書かれた文字が
「ずいぶんと特徴のある文字で書かれている」
と気になっていました。
たいていドラマは葬儀の装飾。
つまり祭壇はストーリー展開するため、
「誰かが亡くなった」と
視聴者にわからせるための
キッカケの場面であって
それ以上の意味は持ちません。
だから、位牌も
視聴者が違和感をもたないように祭壇をつくり
位牌も「ちゃんと戒名が書いてある」
ということを認識させるだけの
意味しか持ちません。
ご存知かと思いますが
戒名の文字数は
檀家として貢献している度合いによって
文字が増えます。
男性なら居士や信士、女性なら大姉、信女
いわゆる院号居士というものです。
あと、戒名の基本は名前の一文字が
必ず入れるということが基本です。
私も若い頃は知りませんでしたが
父が亡くなった時、
その生き方や信念、人柄なども
考えて決めるということに
気付かされました。
ちなみにドラマでは
南雲水季の戒名は「清浄季鏡信女(之霊位)」
と書いてありました。
と、位牌についてくどくどと書いていましたが
1シーンだけの葬儀なら、戒名は
小道具担当の助監督が考えるということです。
・「位牌がある」と認識させる。
・「戒名が書いてある」とわからせる。
視聴者に違和感なく葬式だと思わせるための
アリバイ的な意味合いです。
いかに視聴者にリアルに思わせ
違和感なく”葬式感”を出すか
これが映像の作り手の気持ちです。
ただ、これが「海のはじまり」では、
ストーリー展開で何度も
遺影といっしょに出てきます。
助監督や小道具担当が考えるのではなく、
デザイナー(美術監督)が考え
特徴的な文字にしたのでしょうね。