戦場のメリークリスマスをみて
実家の帰省で母からデヴィッド・シルビアンが推しすぎるって話をされて、その際に『禁じられた色彩』という曲を聴いた。
https://youtu.be/cosFBMbfvCQ?si=a9m4h8ZX2QhG6H34
この曲なんか聴いたことあるメロディーだな~って思ったら坂本龍一さんという方のピアノの曲でコラボしたものみたいで。この方の曲は知っているけど、この曲の作品知らないな~ってところでみてみたけど、すごかった
久しぶりに身震いする感覚のある作品。知らなかったけど知れて良かった。
簡潔に言うと、第二次世界大戦中の日本軍の捕虜収容所のお話。
非人道的な扱いに対して連合国側の捕虜たちが悲惨な状況の中でも人間性は失わないそれぞれの東洋と西洋の価値観のぶつかり合いの作品だった。
このお話に登場するのが、作曲家の若かりし坂本龍一さん。
あとビートたけし。
たけしは自分の演技が下手すぎて滅入ってしまったらしい。
でも他キャストさんはたけしが全部持って行ったと言っているくらいラストの笑顔が狂気的な微笑みとこの坂本さんの曲で締めくくられるなんとも言えない気持ちになる作品。人を選ぶので、すすめるというものではないけれど、このセンチメンタル感がすごく個人的に刺さりまくった。
坂本さんはこの作品のフィルムを監督からみせてもらって、この作品の曲を書き下ろしたみたいだけど、天才すぎて震える。
この作品の言語化できない部分がこの曲になっているとしか言いようがなくて個人的にここ最近みた作品で一番刺さりすぎて今もなお呆然としている。
内容ざっくり。
坂本龍一さん演じたヨノイ大尉は、「2・26事件」の直前に異動させられ、同士とともに志しをまっとうできなかった後悔を抱えている。一方、デビッド・ボウイさんが演じた英国人捕虜・セリアズも、その階級意識から弟がいじめのようないびり行動に遭っているのにも関わらず助けなかったことを悔やんでいる。
・ふたりとも死に場所を求めていたこと。
・異なる背景の中で2人が、戦争中の捕虜収容所という特殊な状況下で出会ってしまったことによるいびつな関係部分
・それぞれ役者というわけではないので、役を演じるというよりそのままの等身大で挑んでいる感じが妙にリアルな生生しさで、この過酷な状況下の人間の雰囲気にあっていた
・戦争を描いた作品であるのに戦争部分はなく内面に焦点があたっていること、日本軍の非人道的な部分や全体主義的な負の側面もしっかり描いている
・綺麗な死を美徳にしていた日本の無駄死に対してもリアルに嘘なく描かれている。
この状況下の中で人種も違うふたりが出会い、どこか似たものを感じて、それが恋愛感情に近いもの(BL要素と言われているらしい)。
結果的に成就しないにしてもそれが、このテーマソング「Merry Christmas Mr. Lawrence」で感じとれる。なんだか不思議な作品だった。
『正しいものはいない』 戦争の勝敗で左右される。
ラストをみるとなんだか人間が歴史の一部でしかなくてなんだか命が儚いものだなとか、うまくいえない感情が溢れてくる。
あ~~。ラストのたけしがすべて持っていく。
wiki調べで、なんかこの作品が公開時には女子高生など若い女性客が、ボウイや坂本、たけしを目当てに映画を鑑賞する“戦メリ少女”と呼ばれる現象が生まれたようで戦メリ少女達からのファンレターが寄せられたみたい。中でも「セリアズ、ヨノイ、ハラそれぞれが自分の思いを伝えられずにいる」という女子中学生からの感想の手紙が、東洋と西洋の対立といった海外の反応や評論家よりも、よっぽどこの映画の本質を捉えているように感じられたと大島監督は言ったそうで。
この作品の根幹に若者の方が敏感だったのかな~。なんて言っていいかわからないくらい感情が揺さぶられまくってしばらく放心できるくらい没入できる作品で本当に良かった・・・。
見るのはかなりエネルギーがいる作品だけど、すべて坂本さんの曲が浄化してくれる。
https://youtu.be/z9tECKZ60zk?si=4a5A6K7hq2mjtzrK