【J1昇格PO準決勝展望】山形に恐れを抱くのをやめましょう【展望?】
明日の試合に向けての盛り上がりは、この上ないものを感じています。
全員で勝つというメッセージ、それを基にした各種発信、グレイソンの帰還…。
魂を揺さぶられ、昇格への思いをまた一つ強くし、この試合に向かおうとしています。
同時に目にしていたのは、一言で言えば山形優位という下馬評。
9連勝、完成度、勢い…そこにフォーカスされ、岡山がどう出るのか、どう戦うのかという視点の意見を目にすることはそうなく、岡山サポも一部「山形優位」を受け入れたうえでの「それでも勝つ」と見えるような発信を目にしてきました。実際は少数なのかもしれませんが。
山形へのリスペクトとは別の、恐れ、不安のようなものを感じていました。
果たしてそうなのか?と思っています。
精神的なものを除いたとして、岡山には勝つ可能性がそんなにないものなのでしょうか。
山形の試合を見たうえで言います。
勝ちます。岡山は。
今言うな、もっと早く言え、こんなnote出してうねりに水を差すのかと、言われるのはわかります。
それでも、勝利は縋るものではなく、勝ち取るものだと思っています。
そのために必要なものは、勝てる確信を持って試合へ望むこと。
一人でも多くの人が明日の試合に、前向きに望んでもらえるならと思い、書きました。
※山形に関しては36節熊本戦、37節水戸戦を観たうえでのお話となっています。
※執筆にあたり、ファジサポさんのnoteを拝読しました。先日のゼロファジさんのスペースも拝聴し、また一部POに向けた展望に関する動画も拝見しています。
一部意見がかぶるところがあるかもしれません。もっともその意見を流用している意図はなく、一方でその意見があったからこそ自分の主観に確証を持つこともできています。ありがとうございます。
山形の攻撃面より展望
山形のシステムは4-2-1-3、このうち「2」を担う高江・小西と「1」を担う土居が流動的にポジションを入れ替えてきます。土居が低い位置に降りれば、その代わりに高江が土居のいた高いポジションをとる、みたいなイメージですね。
土居の役割はフリーでボールを持つ、もしくは相手の守備を引き出すことかな、と思って観ていました。スペースに顔を出してボールを引き出し相手を混乱させること、または相手のマークを引き付けることでスペースを作り、そこにWボランチの二人、もしくは左WGの國分が侵入してチャンスを作り出すことを意図しているように見えました。できたスペースで前を向いて、裏へ走るCFディサロやWGイサカ、あるいはSBの川井、山田を走らせ決定機を作ろうとします。
中盤のパスの受け手になる3人(高江・小西・土居)をできれば抑えたいです。ただシステム上、岡山は中盤にボランチの2人しかいないですから、そこにフォローに入る前線の動きがほしいところです。
H山形戦での岡山は一美がボランチにピッタリマークにつく手にでました。これで中盤は3枚にできるので、もう一人のボランチを藤田・田部井のどちらかが前へ出て対処できればひとまず易々とパスを通されることはないはずです。この試合で一美が中盤を見るかはわかりませんが、前線の誰かが中盤をみる形を作ることができれば同じことです。
またこの中盤3枚に配球するのが2CBの城和、安部。彼らをフリーにしてボールを持たせると、中盤の選手に危険なスペースへ顔を出され、そこにパスが通っていきます。
この配球を抑えたいです、というより抑えないとかなりしんどくなります。
数的同数を作れたとしても山形の中盤の動きの質は高くスペースに顔を出されることもあり、また國分が内によって中盤で数的優位を確保する動きも想定できるので、パスの受け手以上に出し手を抑えていきたいところです。
幸い岡山は前線からの守備が得意分野でもあり、実際H山形戦ではここのプレスが機能したことで岡山が圧倒することができました。
配球を抑え込むための前線からのプレスをやらない理由はないと思います。TSCでのインタビューでは言葉を濁していましたが…。
山形の2CBに関しては寄せられてなお強引につなぎにいくことはしません。無理せず後ろか横につなぐか、前へ蹴り出します。
試合をみる限り、前へ蹴り出した場合は相手がそのまま回収できていたで、相手に蹴らせて回収し、自分たちのペースに、ということが十分可能です。
CBから後ろにつなぐとなるとGKになってくるのですが、山形の2CBとGKは比較的近い距離を保とうとしていたので、ここはCBにプレスをかけた選手がそのままGKまでプレスをかけられるでしょう。GKも寄せられた場合はつなぎにいかずセーフティに蹴り出すことを優先するので、GKまで追ったことで空いたスペースにパスを出され、FPへの対応が数的不利になる、ということはあまり考えなくてよさそうです。
問題は横に繋がれた場合。イメージはSBにつなぐケースでしょうか。基本的に前線3枚で2CB+ボランチを抑える想定でいるので、山形のSBは空きやすくはなります。
岡山的にはここはWBが前へ出てSBを抑え込みにいきたいところです。ただ一歩遅れると山形のSBは前へ配球してきます。そのためには前線からのプレスに連動してWBが高い位置をあらかじめ取り、パスが出たタイミングで(もしくはパスを予測して)前へ出て山形SBのプレーを制限していく必要が出てきます。
もっともこうした連動した守備、寄せというのはシーズンを通して取り組んできたことでもありますので、SBの動きを止めることも十分できるのではないか、と踏んでいます。
それでも前にボールを供給されたとしても岡山の誇るCB陣がいます。右なら阿部海大が。左なら鈴木喜丈が。スペースを埋めて潰してきた彼らがサイドに立ちはだかり、その先には田上が待ち構える。前から守備に行く関係上、緻密なラインコントロールと対人守備の強さは求められますが、それができたから今年リーグ2位の失点数、被チャンス構築率もリーグ5位という数字を出せたと思っています。
一つ厄介なのが山形がサイドでボールを持った際に、CFディサロがハーフスペースによってボールを引き出す動き。そこから高江・小西のボランチに戻して逆サイドに展開したり、そのままサイドを崩したりパターンは様々ですが、その局面で数的優位を作って打開を図る動きが最も抑えづらく、山形で一番警戒したいところです。
対策としてはボランチがサイドに寄って数的優位を作らせないことでしょうか。その分中央は空きますが、浮いた選手を田上が捕まえる、もしくは岡山ボランチが戻ってスペースを埋めることでしょう。
いずれにしても、前から積極的に相手を抑え込み、相手のボール回しをストップさせる。蹴らせたら回収する。仮にひっくり返されても対人守備の強さ、チーム全体の運動量・攻→守の切り替えの速さで補う。
岡山の戦い方なら山形を抑え込むことができます。
山形の守備面より展望
一方の山形の守備ですが、失点数36でリーグで4番目に少ない数字です。より特徴的なのは被シュート成功率で、山形は6.5%でリーグで2番目に少ないスタッツです(ちなみにリーグ最少は岡山は6.0%)。
ただその性質は岡山とは大きく異なっていて、岡山は敵陣に押し込むことで相手の攻撃機会を減らす、また奪われてもすぐに奪い返すことをベースにしている一方で、山形は一度ロストすると自陣に撤退し、中に入ってきたボールをクリアすることに専念します。
そのため岡山の被シュート本数、被チャンス構築率がリーグ5位と高い一方で、山形はどちらも17位とかなり低いスタッツとなっています。
守備自体はクリア数リーグ4位のスタッツが示す通り先に触って最後をやらせないところに特徴があるといえるのではないでしょうか。
またリーグトップのセーブポイント(football-lab様より)を誇るGK後藤雅明によるところも大きいのでしょう。
具体的には、山形の守備は4-4-2がベース。岡山の3-4-2-1のシステムとはミスマッチがおきています。
山形の前線からの守備については熱心にはかけてこない、というよりかけられないです。前線2枚に対し岡山の最終ラインは3枚。プレスをかけても必ず1人余ってフリーになりますので。
山形の前線の守備の印象としては一人が中盤を、もう一人が最終ラインを見る構えだったように思います。ただこのあたりはボランチ2枚へのパスコースを徹底的に消すなど、構え方を変えるかもしれません。
岡山は最終ラインでボールを持つ、また前に持ち運ぶことができるはずです。なるべく高い位置まで押し込んで、左右CBから左右WBへつけて前進を図れます。
WBにボールが出た際、山形は相手WBに対してSBが高い位置を取って守りにいっていました。そうなると空いてくるのが山形SBの裏のスペース。そこにシャドーの選手が飛び込み起点を作るプレーができます。
一番イメージしやすいのは木村太哉がサイドを突破するプレーでしょう。サイドに流れてボールを引き出すプレーを今シーズン数多く見せてきました。
SBが前へ出たスペースはボランチがしっかりカバーしていますが、ここを突破するプレー、たとえ突破できなくともタッチに逃れさせスローインを得て、再び押し込んでいく、というプレーができると相手コートに入っていく、という岡山の形が体現できるのではないでしょうか。
具体的には、
右CB(阿部)がボールを持てるはずなので、右WB(本山)に展開。
→山形左SB(山田拓巳)が前へ出て対処
→その裏に木村が流れてパスを受けようとする、ボランチ(小西)がカバー。
→小西が空けたスペースに藤田が出てきてボールを引き出す、もしくは直に木村へパス。
→三角形を作ってパスを回してサイドの打開を狙う、もしくは木村の単独突破
→クロスに前線2枚(一美・岩渕)+左WB(末吉)が飛び込む、場合によっては田部井も
という形が理想的でしょうか。流れの中でポケットを取れるとベストです。
この動きがベースで、右CBが攻撃参加する、それに応じてシャドーやボランチがエリア内に入り込む、あるいは直にボランチが山形SBの裏を取りに行くなど応用の動きが入ってくるかなと。
その分山形も左WG國分が守備に戻ってくるはずですが。
とにかくより多くの人数をかけて山形に対してサイドで数的有利を作り、空いたスペースを奪っていく攻撃ができればいいです。相手がタッチラインに逃れるプレーをしてもスローインから押し込むことができるので。
もしゴールラインに逃げてくれればセットプレーのチャンスです。それを叩き込みましょう。山形の失点割合で一番多いのはセットプレーですから。
もちろん同様の動きは左サイドでやることも可能です。ただし山形右SB川井は左SB山田拓巳に比べて対人守備の強さがあり左サイドの打開は右に比べて難しいのではないか、と予想しています。
もっとも岡山の攻撃のストロングは左なので、そこを活かしてあえて左から侵入を試みるのはありだと思います。
その場合サイドを打開する、というよりも左でポイントを作って右に展開、高い位置に出た阿部から右サイドを押し込んでいく、もしくはサイドチェンジでフリーで受けた本山が直接クロスを上げるといった攻めが有効になりそうですね。
水戸がやっていましたが、SBのカバーに出たボランチの空けたスペースに、CFが降りて起点を作るというやり方もあります。その場合は中央からの崩しも期待できるかなと考えています。
ただし前提として山形SBをWBが引き出すことが必要です。
山形WGがWBへマークに来るようだとSBの裏を突いていく、というのは難しくなってきます。
そのためにも左右CBが持ち運びを見せて、山形WGをCBに引き付けさせるような動き、もしくは岡山ボランチがサイドに広がる動きを見せて山形WGを引き付けるような動きが求められてきます。
クリア総数の多い山形ですが、クロス対応にはやや不安があったようにみえました。
熊本戦では石川にボレーを叩かれ(枠を外れましたが)、水戸戦では長澤に頭で叩き込まれています。
サイドアタックは岡山の相手コートに入っていくというコンセプトを体現するうえでも重要ですが、相手のウィークポイントを突く重要な要素にもなるのではないでしょうか。
また岡山は3-4-2-1、山形は4-2-1-3とシステムのミスマッチがある関係で、山形は大外からのクロスに逆サイドから飛び込んでくる形を苦手にしている印象を持ちました。
水戸戦での失点がまさにこの形です。
特に左サイドからのクロスに右WBが飛び込む形を作れるかは重要なポイントの一つになりそうです。
現に岡山の最終節A鹿児島戦で左からのクロスに本山が飛び込む形は作れていたので、左で打開を図れたなら狙っていきたいプレーです。
上記の右サイドからの攻めの理想図にしても、左サイドで起点を作って右サイドへサイドチェンジする形にしても、クロスに飛び込む形にしても、新しいことを提案しているわけではありません。あくまで今シーズンやってきた攻め方に則るものです。
これまでやってきたものを突き詰めれば、必ず山形のゴールネットを揺らせます。
結論
結論として、
・山形の組み立てに対し、岡山はハイプレスで対抗可能。中盤の流動性に対しても前線とボランチの関係性でパスの受け手・出し手ともに遮断できる。WGを中心としたサイドの攻めも強力な対人守備を持つCB陣、および中盤・前線の献身性で対抗できる。
・山形は岡山の攻撃の遮断が難しい(特にサイドアタックにおいて)。元々山形は最終局面をやらせない守備に強みがあり、また岡山には相手コートに入り込んでいく強さがある。システムのミスマッチからも岡山はサイドを攻略することは難しくない。そして山形はクロス対応についてやや不安がある。
・攻守の切り口において、ベースにあるのは「相手コートでプレーする」という今年1年間岡山が取り組んできたこと。とっさに作り上げたものではなく、だからこそ、この大一番であっても冷静に実行ができる
上記より、岡山は山形に勝てる、と考えています。
結びに:思い
正直、この内容をnoteに上げるのは迷いました。おそらく山形も岡山対策をしてくるでしょう。想定したものと違うアプローチを仕掛けてくるかもしれません。例えば岡山3バックに対して3トップでプレスを仕掛けてくるとか。
諸々踏まえて岡山も対策を練り、明日戦います。私が想定したものなど微塵もあたっていないかもしれません。
でもいいです。この予測があたっていることを望んでいるわけではないです。
大事なのは、明日の試合に勝つことです。
選手たちは100%の準備をして望んでいます。1年間取り組んできたことを発揮して戦おうとしています。
スペースをやりあう、一歩ずれれば、数センチパスがずれれば襲いかかられる相手です。
それでも自信を持って相手コートに入り込み、自分たちのペースを掴み取ろうとするはずです。
そのためにはこの1年間で取り組んできたことに対して、自分たちに対して「確信」がないといけないし、できないはずです。
であれば、サポーターもまた、この1年に対して確信を持たなければいけません。
それは山形相手に揺らぐものではなく、また山形相手だからこそ、その確信をぶつければ穿つことができるものだと思っています。
山形に恐れをなすのはやめましょう。
この1年向き合ってきたものがあれば、必ず勝てますから。
強がりでも慢心でもなく、確信を持って山形に行ってきます。
よろしくお願いします。