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J2 第34節 ファジアーノ岡山vsヴァンフォーレ甲府 レビュー

甲府まで行ってきました。
1−3という非常に残念な結果になりました。

事前に甲府の前節の試合、山形戦を見た限りでは、前線の個が強烈で、ちょっとしたカウンターからあっさり点を奪ってきそうな、そんな印象を持っていました。
失点はする覚悟を持っていました。だからこんなことを試合前に記しています。

いやだからって立て続けに失点するのは聞いてないですぜ旦那…。


この日のスタグル。トマト焼きそばでした。トマトの酸味とソースのややとろっとした感じが焼きそばとこんなに合うものかと。


デザートでわらび餅を追加。信玄餅からの連想で食べたくなりました。プルプルで良かったです。


ハーフタイムにやってきた、愛嬌たっぷり都留市のゆるキャラつるビー

1.スタメン


岡山はスタメン変更なし。いい流れの時はメンバーを変えるな、という格言もありますが、何より長崎戦で自信を持てる戦い方ができたがゆえ、その戦い方を継続したい、そういう意思の現れだと思いました。

問題は甲府です。ポイントの一つは前節の4バックからまた3バックに戻したこと。守備ブロックがより強固になるという側面以上に、前節を見ていた感じ4バックでの守り方に不慣れな印象を持っていたので、これはうまく修正されたな…と思いました。実際には3バックと4バックの併用という、もっと面倒な構え方をされるのですが。

もう一つはピーター・ウタカが先発から外れたこと。これも前節を見ての印象でしたが、前線からの守備、特にピーター・ウタカとアダイウトンのところでかかりきらないところにネックを感じたので、どちらかを外す決断をされたのは相手としてみる分には嫌な予感がしていた次第です。
この采配はピッタリあたった印象です。守備ブロックや前線からのプレスの綻びは最小限となり、岡山を苦しめることになります。

2.試合

甲府はCBヘナト・林田・関口の最終ライン3枚での保持、右WB飯田を高い位置に上げ、左WB荒木と右CB関口がSBに入る4枚での保持、林田が1列上げ、荒木・ヘナト・関口・飯田の4枚での保持、の3パターンを使い分けながら最終ラインで組み立てを行っていました。
どの形にしても、ボール保持時はボランチの中山は高い位置を取り、佐藤が低い位置を取っていました。
佐藤がアンカー気味で保持する場合は鳥海が低い位置を取ってビルドアップに関わることもありました。例えば2分のシーンではルカオが佐藤へのパスコースを消しつつヘナトへ寄せたところ、降りてきた鳥海を使って前進というシーンがありました。35分手前には鳥海がボールを引き出したところで鈴木喜丈を釣り出し、空けたスペースに自ら飛び込みチャンスメイク、というシーンもありました。

鳥海の保持への関わり方の大きなメリットとして、佐藤・中山・鳥海の中盤で3対2の数的優位を確保できることが挙げられます。岡山のシャドーが前からプレスに行く関係でCBをみることになるため、岡山の中盤にはボランチ2枚しかおらず、甲府とすると数的優位を確保し保持や前進が容易にできていました。

岡山も対策として末吉が鳥海につくようにはしていましたが、それはそれでサイドが空くのでよし、といったところでしょうか。前出35分のシーンはまさに数的優位の良さがでたシーンで、このシーンでは末吉は飯田を見ざるを得ず、中盤2対3で岡山はどう守る?となったところを鈴木喜丈が何とか前へ出て対応しようとした、そんなシーンでした。

甲府の組み立ては保持しながら高いラインを形成しつつも、プレスに来るようならGKまで戻して低い位置からの組み立てもでき、また下げたタイミングで組み立ての枚数も変えられるため、岡山のプレス強度を下げることができていました。

甲府の組み立ての出口として、荒木を低い位置に降りさせ展開するケースが多かったように思います。これにより本山を高い位置に引き出し、その裏のスペースを中山・アダイウトンが突く、というケースが散見されました(5分、24分前後に2回、28分手前)。

甲府が敵陣に攻め込む際には、単純に岡山DFラインの裏を取るボールが主となっていました。ただ繋いでサイドに散らすこともあり、そのあたりで岡山は手を焼いた印象です。その際に関口が高い位置を頻繁に取っていたが、そこを使わず囮にし、サイドから中央に戻す、もしくはクロス、という展開が多かったです。

裏を取ることが主となっていても、甲府の攻撃はコンパクトな印象でした。7分手前のプレーのように、大外の飯田が中央より左よりにポジションを取るような、横幅をコンパクトにした形を見せることもありました。そのコンパクトな中にパスを通す精度が中盤の選手たちにはありました。

押し込んでからはPA内へのクロス、逆サイドへのサイドチェンジで深い位置に入り込み、こぼれたところや折り返しをPA内に飛び込んだ選手がシュートを放つ、という攻めが多かったです。

甲府の守備の原則もコンパクトさにあったように思います。
DAZNでの試合前の大塚監督のコメントでも、守備面で確認してきたこととして
「チーム全体がコンパクトでいること。自陣に引きこもるだけでなく、相手コートに行ったときも最終ラインがしっかり押し上げて、またもし押し込まれたときも前線の選手が一緒に戻ってチーム一体となって戦う」
ことを挙げていました。

実際には守備時は5-4のブロックを構えるのをベースにし、岡山がGKや最終ラインからつなぐ局面では前線からのプレスをかけようとしていました。田上には三平、鈴木喜丈には鳥海、阿部にはアダイウトンが見る構えを見せていました。ただ前半は強くプレスにはいかなかった印象です。
アダイウトンの守備がやや緩いせいか、5-4の守備ブロックを形成した際には甲府から見た左サイドから前進を許すシーンが多かった印象です。

岡山は甲府の組み立てに対し、まずは佐藤には常に誰かが見れる形を取ろうとしていました。甲府最終ラインの保持に対してはルカオが消しながらプレスに出て、そうでない時は竹内が前へ出て対処しようとしていました。
また甲府が3枚で保持しているときには前線3枚でチェックに出る形をとり、前進を阻止しようとしていました。

序盤は前線からのプレスでパスコースを失くさせ、中盤でボールコントロールを失ったところを竹内が回収、というシーンを作れていた。そこからスルーパスでチャンスを作ろうともしていました(16分手前など)。

ただしDFがラインを上げたところで甲府の前線の選手が飛び出すことから、その際は撤退し5-4のブロックを敷いて守ることに注力していました。
甲府がコンパクトな陣形を意図しているからこそ、セカンドボールを岡山が回収できているシーンもありました。

奪ってからはルカオを裏に走らせ、そこを使うボールが主だったように思います。

ポイントとなる荒木へ本山が対応した裏のスペースへの対処については、サイドに流れるIH中山への対応は藤田が、アダイウトンへは阿部が対処。本山が楽しみにしていたほど、アダイウトンとの対面はなかったような印象です。

前出の通り、鳥海が中盤低い位置を取る際には中盤の数的不利に対抗するための策として末吉がマークにつくことが前半は多かったです。その時は浮いた飯田を鈴木喜丈がマークに付き、さらにその裏はボランチでカバーしていました。

いいように記してはいますが、実際には甲府の3パターンに可変する組み立てに対し、プレスのかけどころを見つけられず大苦戦しました。試合を通じて前線からのプレス、および連動した中盤のプレスにより甲府のパスコースを失くさせ、ボールを奪う・回収するというシーンを作ることはできましたが、それ以上にパスコースを消すことができずに甲府最終ラインの組み立てから前進を許すシーンが多かったです。

一方の岡山のボール保持時、甲府が5-4のブロックを敷く関係で中盤のサイド側の横が空きやすく、かつ甲府左シャドーが守備を得意としないアダイウトンであった関係で12分のシーンのように岡山側右サイドから前進ができました。
そこでの前線のターゲットもサイドに流れたルカオとなっていました。

甲府が最終ラインの組み立てから一気に前線をめがけて蹴ることから、コンパクト志向ながらも中盤にスペースができる印象でした。そのためか24分には回収からアンカー脇のスペースを岩渕がついて持ち運ぶようなシーンもありました。


最序盤は陣形に戸惑いながらも、上手くプレスをかけれていたのが岡山。甲府に簡単な前進は許さず。前進を許しても最終ラインが上手く寄せ、中盤で回収しカウンターにつなげていました。
ルカオも上手く最終ラインと駆け引きをしながらボールを引き出します。

ただ気になったのはチーム全体でのプレスのバランスが悪いこと。5分、ヘナトへ早川が寄せるところ、荒木には大きく本山が前へ出ます。この試合でIH気味のポジションを取ることの多かった中山が左に開き、そこに阿部が寄りました。そうすると浮いてくるのがアダイウトンで、彼に対しては田上が対応しました。結果、本来の右CB相当の位置に鈴木喜丈がポジションを取る、いびつな形になりました。このシーンでは岡山がカットこそできましたが、鳥海と飯田が中央に飛び込むこともできたため非常に危険なシーンでもありました。
このあたりからもプレスの上手く行っていない感じが伝わってきました。

甲府が前へでて守備をするようになったのは15分手前頃から。阿部に対してアダイウトンが寄せに行き、切り替えして中央につなごう、というところをアダイウトンにカットされます。ただ猛スピードでは寄せずに来ました。後述しますが2失点目の伏線はここにあった気がします。

また19分、ブローダーセンから1列飛ばしてWBの位置に降りていた岩渕へのボール。長くなりヘッドで折り返す形になりました。ブローダーセンの頭にはこのシーンが残っていたかもしれません。

31分のシーンがこの試合(の前半)を象徴するシーンだったように思います。岡山が前線からしっかりとプレッシャーをかけ、パスコースを失くさせ、中盤(岩渕)でボール奪取。そこから繋いでプレーを選択する(早川はパスを選択)、甲府が跳ね返し、ロングボール一本でスペースを突いて裏返す。このシーンは2対2の局面となり、田上が三平へのパスコースをカットして対処できました。

この試合で多かったのは1(甲府FW)対2(岡山DF)という局面。収支が釣り合うかは別として、まずは相手にやらせない、そして相手を崩そうとするスタンスは評価されるべきだと思います。その上で被カウンターの局面でもやらせなかったのだから、収支の釣り合いが悪そうに見えても、実際には問題がなかったように思います。
相手が変われば危険では、という危惧もありますが、ことカウンターにおいて甲府以上のチームがそんなにあるとも思えないので、甲府相手に2対1の局面でことごとくやらせなかったのは良かったように思っています。

37分〜39分にかけては甲府の保持が続きます。この時間帯では鳥海に対して末吉がつかなくなった印象です。その分甲府が中盤で優位に立ち、サイドチェンジを交えながら前進、また回収ができていました。
これ以降、前半終わるまでは鳥海に末吉がつくことはなく、そのためか甲府が前進しやすい感じになったように見えました。
おそらく飯田への対応を末吉が優先していたのではないのでしょうか。

41分には岡山が甲府を誘い出すような最終ラインでのパス回し。ルカオに当てるが甲府がクリア。
戦前のコメント通りで、甲府は相手コートに入ったときに高いライン設定をできていました。逆に言えば岡山は裏への抜け出しができていないため高いライン設定を許してしまったとも言えるのかなと。皆ルカオが競ったセカンドボールを拾おうというプレーになっていて、甲府がライン設定に困らず高く設定できたように映りました。
そういう意味では42分に阿部が見せた最終ラインの裏を狙ったフィードは、甲府に回収され前進を許したが悪くない選択だったように思います。これがなければもっと高いラインで甲府が回収し前進を許していたはずですので。

前半で気になったのはルカオをターゲットにしすぎていることでしょうか。甲府もルカオをターゲットにすることがわかっているような対処をされたように思います。例えば28分、ロングボールをルカオの手前で簡単に対処したり、それでも奪って持ち上がるルカオに対して5人がつきにいったり。
いずれにしても、ルカオのキープ力に依存しすぎない運び方、例えばルカオが降りてCBを引き出したところの裏にシャドーの選手が抜け出し、そこに浮き球のパスが出る、といったシーンがもっと出てもよかったように思います。

後半、岡山は早川に変えて神谷を投入。前半に一部早川が見せていたような右サイド低い位置に降りたプレーを神谷は見せ、後半開始早々ボールを動かしながら阿部からボールを引き出し、クロスを上げるチャンスを作ります。それだけでなく、藤田が攻撃参加し右サイド奥を取りに行こうとした際にはバランスをとって中央でのプレーを選択し、カットインした本山からのパスをダイレクトでブロックの中に差し込むと、ルカオの落としを拾ってミドルを放つシーンも作りました。
前半途中から見られなくなったルカオがサイドで起点になるシーンも浮き球のパスから創出し、後半への期待度が高まる入りだったように思います。

ただ岡山側ではボールを預ける時はルカオをみることは変わらず、甲府もボールを奪った際にDFラインの裏を狙っていく姿勢に変化はありません。

岡山は後半に入るタイミングでマークする選手を整理したかもしれません。
飯田には末吉、アダイウトンには本山がみる形にして、浮きがちだった中盤に降りた鳥海には基本的に竹内がついて広くカバーしていくやり方に見えました。本山がアダイウトンに付くことで浮いてくる荒木に対しては神谷がいくようになりました。

また岡山は相手の前進を阻止するために、より前からプレスに出るようになったようにも見えました。結果末吉が関口にまでアプローチをかけ、飯田に展開され大きく前進されるシチュエーションもつくりましたが。

甲府にあった変化で言うと、鳥海が低い位置に降りなくなったことじゃないかと思います。もっとも鳥海は中盤には顔を出しており、引き続き甲府の中盤での数的優位は続いている状況にありました。

後半開始直後は岡山が敵陣に入り込んでいくシーンを作っていましたが、55分、57分と立て続けにアダイウトンにゴールを奪われます。

1点目についてはブローダーセンも慣れていないプレーだから、というのもわからなくはないです。また前出の19分のシーンのように、蹴ったボールが本山の頭の上を超えないようにしたい、という思いがあって手前で失速するようなボールになった可能性もあります。
個人的にはキックに対するチャレンジは問題ないと思っていて、むしろその後のアダイウトンへの対応でフリーにしたのがまずかったように思っています。阿部が最悪サイドに出ていけるので、藤田がアダイウトンをフリーにしてまで中山をみる必要がなかった局面でした。あるいは本来アダイウトンをマークすべき本山がサイドへの守備を藤田に任せてアダイウトンにつきに行くか。こちらはあまり現実的ではない気もしますが。
いずれにせよ、ボールを持たせて最も危険な選手がPA付近でフリーで待つ中で取るべきプレーではなかったように思います。

2点目は阿部のパスのところをアダイウトンにさらわれて生まれました。
直前の阿部の首の振り方から察するに、阿部はアダイウトンが寄っていることに気づいていたはずです。なのにどうしてこのプレーに?という疑問が正直あります。

考えられるのは15分にアダイウトンにパスカットされたシーンでの、アダイウトンの追い方のゆるさではないかと。あのプレーを寄せてくるスピードの基準として捉えたのであれば、猛然とプレスをかけたアダイウトンに対し、寄せてきていること自体を認識できていても自分の間合いまでは寄せられないだろう、と考えても不思議ではありません。ある程度余裕を持っていた中でのパスカットでしたので、そうした可能性ぐらいしか自分の中では考えられませんでした。

時間が経つにつれて、甲府は前線からのプレスの強度がより強まった印象があります。このあたりは得点経過もあり、より前へ出れば奪える、プレーに制限をかけられる、という自信を甲府が持つようになったように思います。

62分。末吉は飯田に優先的に付くがため、甲府の中盤3枚に対して岡山の中盤2枚という、中盤の数的不利が目立つようになっていきます。中山を捕まえようと藤田が前へでたところ、斜め前の佐藤につけられ、そこから竹内の横にポジションを取った鳥海へボールが渡り、スルーパスを供給される、というシーンを作られます。

劣勢に立つ岡山、例えば65分手前の崩しは悪くなかったように思います。甲府の前からのプレスに対し、人を食いつかせてフリーの選手を選択し、横へ、前へと展開できていました。このあたりは直前の64分の交代で、前線を2トップにしたからこそできた選択肢のように思います。途中投入の太田が突破しきれず保持を選択せざるを得ないプレーになったのが残念でしたが、PA内では2対2の状況を作れていたのでそのままサイドに流れてクロスを上げるような展開にできればチャンスになったように思います。

一方で阿部を下げて本山を最終ラインに入れたのは悪手だったように思います。この試合アダイウトンとのマッチアップの経験が少なく、かつ前半かなりのアップダウンを要求された選手を当てたことで、コンディションの良くない選手を甲府で最も怖い選手に当てる形になってしまいました。アダイウトンのプレー選択に対して対抗できておらず、本山のところでだいぶピンチを作られてしまいました。

甲府の3点目のシーンが象徴的でした。
本山がエリア内でアダイウトンに対して対抗できずに中央へパスを出させてしまったことで、フリーで上がってくる飯田を簡単に使う状況を作ってしまいました。

最も本山だけでなく、失点シーンとしてみたときには、アダイウトンのところで末吉が挟み込みに行こうとした結果荒木にフリーで縦パスを前線の中山へ蹴らせてしまったところにも問題はありますが。
もっとも中に外にかなりの運動量を求められた彼らのパフォーマンスを嘆く、というよりは強烈な個をもつアダイウトンに1・2点目以上に振り回されてしまった印象が強いです。

終盤に入り、中盤でよりスペースができるようになってからは、サイドにいるアダイウトンを使うパスも含め、甲府はこれまで以上にサイドチェンジを織り交ぜての攻撃を増やした印象です。
その中でも岡山は一度甲府を押し下げれば前線からプレスをかけ、最終ラインを高く保ちコンパクトな陣形を作って中盤のボールの奪い合いを制し、78分の得点シーンにつなげます。

得点シーンも見事でしたが、個人的にはその前のCKを得るまでの流れを評価したいです。
コンパクトな陣形を維持して中盤でボールを奪い、最終ラインで保持することで甲府の前線からの守備を引き出し、ブロックが手薄になったところを竹内が太田に差し込むパスを供給できました。高木からのクロスは相手DFにあたりCKとなりましたが、太田からダイレクトでサイドに散らし、フリーの状態で高木がボールを持てる局面を作ることができました。

劣勢の中でも自分たちの強みになる状況を再構築し、押し返すことができたことはこの試合の中での数少ない光明となったと思います。

3.結びに:模索したい攻撃の形

結局のところ、前線からのプレスを外すこと、そして陣形をコンパクトにしてセカンドボールを拾っていくこと、甲府のやりたいことを全部やられてしまったのがこの試合だったのかな、という総括です。

もっとも、岡山も劣勢下で自分たちからボールを動かし、前へ前へ自信を持って出てくる相手の前線からのプレスを外して前進してチャンスメイクできたことは、今後の一つ自信にしていいのではないかと思います。

具体的には81分、最終的に神谷がシュートを放ち甲府GK渋谷にセーブされたシーンです。
低い位置に降りて組み立てに関わる神谷に対し、ブローダーセンがしっかりとパスを通す(ここもミスを引きずらずにできたのも良かったです)。甲府の前線からのプレスが3枚なのに対し、岡山はGKも関わったため4枚での組み立てができ、数的優位の局面を作れていました。プレスがかからないからこそ、ブローダーセンから安全にパスを供給でき、神谷がパスを受けて木村へ展開し、木村の突破からシュートに至る一連の流れを作ることができました。

このシーンだけでなく、3失点目の再開直後にも竹内が降りて岡山の最終ラインを4枚にして甲府の前からのプレス3枚をすかすことができたり、86分の高木のシュートの局面も、元をたどると本山が持ち上がった際に最終ラインを4枚にすることで生み出したチャンスでした。
これは今の時点で試合の中で表現できているプレーです。相手コートに入っていくにはCFをターゲットにするだけではない、他の方法を模索し完成度を高めていくにはまだ時間はあると思います。

一方で課題が出たとすれば、ニアゾーンを使う動きがこの試合で殆ど見られなかったことでしょうか。顕著だったのが28〜29分。鈴木喜丈と末吉でパス交換している際に、第三の動きとしてニアゾーンを取る動きを誰も見せなかったことです。
走り込みやすいポジションにいたのはエリア内中央にいた岩渕ですが、ゴール前でDFと駆け引きをしている状況で、他の選手は皆ファーで待ち構えていました。これでは鈴木喜丈・末吉ともマークを剥がせずクロスを上げようにも上げられない状態。
誰か一人ニアゾーンに入り込むだけで甲府のマークがサイドでもPA内でも崩れ、ボールさえ入ればチャンスになる状況を作り得る、と感じた次第です。

中断明け以降、ニアゾーンに入っていくことにこだわっていつつ、最近はその傾向が薄れつつあるのが気がかりです。
そこを取ることだけが目的ではありませんし、攻撃の流れ自体は悪くないと感じてはいます。ですが得点を取り切れていない、そして今後は1失点は覚悟しないといけない相手・状況が続く以上は複数得点を奪っていくためにも幅広い攻撃パターンをこの2週間で構築してもらえたら、と思っています。

その先に、昇格の2文字があると思っています。

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