クレジットカード不正利用による被害は、実際は報道よりも多い
このようなニュースが報道されていますが、実は、実際の不正利用の金額はこれよりはるかに多いと考えられます。しかし、カード会社の事情で、不正利用の金額が低く認定されています。
どういうことかというと、
まず、カードが不正利用された場合、「不正利用による被害者」となるのは、カード利用者ではなく、カード会社です。
不正利用による被害は、①刑事上と②民事上の2種類があります。
刑事上の不正利用
①刑事上は、
・他人名義のクレジットカードを店舗で無断使用したら詐欺罪
・他人名義のクレジットカードをインターネットで利用したら電子計算機使用詐欺罪
になります。
しかし、カード会社が、これらで被害届を警察に提出することはほとんどないようです。なぜなら、自社のカードが不正利用されたことが世間で広まるとイメージが悪くなり利用者が減ってしまうので、よほど悪質なケースでない限り、被害届を提出しません。
なお、他人名義のクレジットカードを盗むことは窃盗罪ですが、これは不正利用とはまた別の犯罪ですので、ここでは割愛します。
民事上の不正利用
次に、②民事上は、
カード会社が「不正利用」と認定し、カード会社が利用者に補償(返金)したものだけが被害額になります。
利用者本人がそもそも不正利用に気づいていなければ不正利用になりようがありません。
また、家族や友人に盗られて無断で利用されたなど、利用者の管理不注意によるものは、カード会社側からすると、利用者に責任があり不正利用とは認定されません。子供が親に無断でカードを持ち出して利用するケースがかなりありますが、これらは不正利用になりません。
そして、仮にネット上の第三者による不正利用だとしても、利用者がカード会社に不正利用だと申し立てただけですぐに認定されることは少なく、まず、該当のネットショップに確認するように要求されます。そのうえで、ネットショップの調査により、カード所持者とは全く関係のない別の第三者が購入したとわかれば、カード会社は不正利用と認定します。このやりとりが面倒で、少額だと半ばあきらめている人もけっこういると思われます。
まとめ
結論ですが、刑事上はカード会社が被害届を警察に提出することは少なく、また、民事上は確実に第三者による不正利用でない限りカード会社は不正利用と認定しません。
そのため、540億円という被害額はかなり抑えられた金額であり、実際の不正利用の金額はもっと多いと想定されます。
ネット上の第三者による不正利用は、私たちからすると防ぎようがないところもありますが、なるべくこまめにクレジット明細を確認し、発見したらすぐにカード会社に連絡するようにするのが良いでしょう。