観戦記者:八木㉒ #指す将順位戦8th A級2組 ガスボンベさんvsLinkさん戦観戦記
本記事はだいぶ前にLinkさんから依頼があったもので、それを9thも開幕しているというのにいまさら書き始めているところである。なんならもう一つの依頼を抱えつつ、これを最初に書こうというのであるから観戦記者の風上にも置けないけれども許しておくれやす。とはいうものの、このモチベーションがどこからきているのかは下記の図がわかりやすい。
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8thの結果としては、両者とも同時昇級であり、9thA級1組として出場しているのだけれども、その初戦。何の因果か観戦記を依頼された相手というところに運命を勝手に感じてしまった。
本報はそれを記念して観戦記をしたためるものである。
先手はLinkさん後手はガスボンベさんとなった。本局は第9戦目。それまでに両者ともに6勝2敗という成績で一勝の重みがとても感じられる時期である。前期順位はガスボンベさんのほうが高いのでLinkさんとしては負けられないところ。
記者からのイメージとしては先手のLinkさんは緊急対応に慣れているものの、いざとなったら大英断できる行動力の持ち主であり、その部分が吉と出るか凶と出るかという棋風である。後手のガスボンベさんは仕事も生活もいわゆるしっかりしている、という印象であり堅実な印象をもつものの、その確固たる意志でもって自ら道を切り開く。最近では天撃システムでおなじみである。
なんか記者にはよくわからないがとてもすごいことが書いてある。
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相振り飛車はお互いの飛車の位置をわざわざずらしてまで戦おうということであるので、お互い自分自身の土俵で戦いましょうや、という布告である。
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先手は基本に忠実に四間飛車→向かい飛車にもっていく形。後手は相手の歩交換を飛車の利きで受けようというもの。後手の4一金が今後の展開では飛車交換を辞さないということであろうか。金の場所に意志を感じる。パッと見えるのはあの5五歩に反発したくなるところだが……。
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相手の反発に、それならこっちはこちらから、ということで後手も中飛車に戻す形も見えてきている。飛車先の歩を交換できるチャンスであるから交換は当然のところ。浮くのも形。そして。
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ただ次の一手が客観的にみると後手に制限をかけているように見える。今にしてみれば自然な手であるのだけれども。
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3五歩がとられてしまってはよろしくないのであるけれども、この筋が効いている間は飛車が動きづらくなってしまったようである。その後の指し手は自然に進んだ。
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お互いの意見のぶつかり合いであるけれども、先手のほうが模様がよさそうである。ただ後手陣も堅いから勝負はこれからである。
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局面が進んでShow Tenの歩が飛んできた。10数えなければならない。対応を間違えると△4五歩が飛んできそうであり予断を許さない。三段ならとおってよい。こののちの先手の判断が光る。
▲同飛車!ときて△4五歩に▲3五歩である。大ゴマは近づけてなんとやらである。
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△同角▲3六銀ときて4五の地点をさわやかにバラス。そして最後のおかわり△4五歩に▲5三歩成と切り込む。何かを読み切ったか。後手も受けている場合ではなさそうである。
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そして最後までスプリント勝負であった。
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投了図以下はニュアンスで詰みそうである。お互いの意思がぶつかる熱のこもった対局であったといえる。きっかけは5筋で途中は4五の地点をめぐる攻防から最終的にはスプリント勝負でありお互いの持ち味が出た勝負だったといえる。9thでも初戦ならではの緊張感の中、持ち味を出せることを祈って本報を閉じたいと思う(了)