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『陽ひらく彼女たちの小夜曲』 シナリオ分析+α
今回はいつもとかなり勝手が違うので慎重に分析したい(願望)
普段との違い
今回のシナリオはイベントストーリー「陽ひらく彼女たちの小夜曲」とフィールド探索「ヒナ委員長の秘密のレッスン」を交互に読む形で進行する。
以下に主な特徴を挙げる。
ノベルパート(陽ひらく~)、探索パート(ヒナ委員長の~)を交互に繰り返して物語を進める
前者は先生視点(万魔殿メイン)、後者はヒナ視点
イベスト→レッスンの1セットが1日1セットずつ解放される
(プロローグ、1話→序曲、2~3話→1章、4話→2幕、5話→3幕、6話→4幕、7話→5幕、8話→カーテンコール)
物語世界内の時間も1セット=1日となっており、ヒナの就寝で終了する
余談: フィールド探索のメリット・デメリット
次にフィールド探索型シナリオのメリットとデメリットを挙げる。
これはあくまでも個人的主観に基づくものであり、また今回の「ヒナ委員長の秘密のレッスン」に限らず他のゲーム(例えば崩壊スターレイルなど)にも当てはまる要素を挙げる。つまりフィールド探索というゲームシステムがシナリオ通読にどのような影響を与えるかをノベルゲーム形式と比較しながら独断と自己満で考察する。
長いので正直<<本編開始>>まで飛ばしてほしい。
1. 用語の定義
本記事中での「フィールド探索」の定義は"プレイヤーが特定のキャラを移動させて(会話などの)イベントを発生させることで物語を進行するゲーム形式"とする。
また比較対象のノベルゲーム形式(以下ノベル形式)は「ボタンを押して文章を読み進め、選択肢により物語に分岐が生じることもあるゲーム形式」とする。一般的なノベルゲームやFGO、ブルアカなどのいわゆる紙芝居風のゲームをこれとする。
厳密な区分は難しいだろうしより適切なジャンル区分があるかもしれないけどひとまず今回はこれで。
また今回取り扱った「ヒナ委員長の秘密のレッスン」もそうだが、キャラクターもののフィールド探索の場合は基本的に3人称視点であることが多く、逆にノベル形式は一人称視点のものが多いように筆者は感じている。この視点の違いがユーザー体験に与える影響はかなり大きいと考えているが、論点がぶれるのを避けるため今回は意図的に省略したいと思う。
そのため今回はフィールド探索、ノベル形式の両方において視点を「三人称視点」に限定して議論する。ノベル形式における三人称視点はブルアカだと焦点化対象(=読者の視点がくっつくことになるキャラ)である先生が登場しないグループストーリーがそれにあたる。
2. 何が違うのか
①時間の進み方
ノベルゲーム形式とフィールド探索形式の違いのひとつは物語世界内での時間の進み方、特に読み手の文章を読む速度がシナリオ読みに与える影響が大きく異なると感じる。
ノベル形式では文章を読む速さがプレイヤーによって異なったとしても、それは物語世界外の読み手=プレイヤーの行動に時間的な差が生まれているだけであり、プレイヤーと同一視される先生が存在する物語世界内の時間経過とは完全に切り離されていることが多い。それはキャラや背景が止まっていること、比較的non-diegetic sound(作品内の世界には実際に存在しない音、BGMやナレーターの声など)の割合が高いことなどから第四の壁を感じやすくなっているからだ。また元々情報量が少ないぶん細かい部分はプレイヤーの想像力に任せるという暗黙の了解があるため、たとえクリック待ちの間に無用な時間が経過してもある程度都合のいい解釈をすることができる。
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つまるところボイスやモーションなど時間経過を意識させる情報の有無が重要なのだろう
あるいはマンガ的か映像的かで受け手の読み方が変化するとか
反面、フィールド探索の場合は物語世界外の時間経過と物語世界内の時間経過は比例関係にある。プレイヤーの行動一つ一つが物語世界内のプレイアブルキャラの行動となり、そこには時間の経過が発生する。それがたとえ会話中であっても背景やモブが動いている以上、プレイヤーの読みのテンポがそのまま物語世界内の時間経過と直結する。これが例えば緊迫した場面のセリフであれば「貴様はこれで終わりだああああ!!!!」みたいなことを敵がかっこよく言ってるのにクリックを押さない限りそいつの顔が大写しになって固まっていて画面がシュールみたいなことになりかねない。一応ムービー等である程度対処可能だが。
つまりノベル形式では「書き手の考える最高の順序・タイミングで動く物語を読める」のが特徴であり、フィールド探索は「プレイヤーが登場人物の1人として実際に物語世界内を過ごせる」点が特徴的だと考える。
②視点移動の自由度
ノベルパートの背景はある一点から見た景色を描いているのに対し、探索パートで使われる3Dモデルのフィールドは決められたエリア内であれば観客が見たい場所を見ることができる。そしてそこには歩き回るという動作が入ることになり、今回であればヒナが忙しなくマップを移動することで彼女の多忙さが文章で語られる以上に感覚として理解できる。
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③読みの強制力
ノベル形式には読み手に強制力を働かせやすい。たとえば「檻の中にいるカスミは尻尾を愉しげに揺らしていた。反省した雰囲気は微塵もなく早速次の作戦を思案しているようだ」のように地の文(あるいは説明的なセリフ)で描写した場合、そこには語り手(厳密には定義がややこしいのだが今回はヒナということで)の認識の順番に文章が配置されている。つまりこの例の場合は「檻がある→カスミが中にいる→尻尾が揺れている→反省してなさそう→悪だくみしている」の流れでヒナ(と読み手)が認識したことになる。これが例えば「全く反省した雰囲気のないハスミが檻の中にいる」だとヒナの視点がまずカスミ個人に向けられ、その後周りの状況に意識が向いたという順序になる。細かい違いだが、これがホラゲーだとこの認識の順序は演出の迫力に直に関わるため無視できない要素である。
これは情報量が少ないノベル形式ならではの強みと言える。スチルがない限り基本的に文字で細かな情報を得るしかないノベル形式では、「どういう順序で物事を認識したら一番楽しめるか」という作り手の考えに沿った読みが自然に行われやすいという強みがある。
フィールド探索においても(たとえひと目で見れたとしても)細かな認識の前後は発生する。そしてその処理の仕方はノベル形式よりも自由が利く。
たとえば特に何もせずにただプレイヤーの感じるままに認識させ、気になった部分は自分で歩いてクリックしてもらうという風にすることもできるし、一時的にカメラを操作不能にして特定の物体をクローズアップすることで「キャラがその部分を気になっている」という風にすることもできる。あるいはムービーを入れることも可能だ。
ただし元々自由度が高いフィールド探索において「強制される」という感覚が読み手に違和感を与える可能性も存在する。今まで自分がキャラを動かしていたのにその瞬間だけ作り手の意志に主導権を奪われているという感覚が、それまでキャラとの一体感が高かっただけに強烈な違和感として現れてしまうことがある。また「いきなりムービーが入った→何かあるに違いない」というメタ情報が読みに与える影響も考慮する必要が出てくる。
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④余分なテキストの扱い
フィールド探索型のゲームの多くはシナリオの本筋に関わらない情報を無理なく入れやすいといえる。
たとえばモブの風紀委員の愚痴を入れる場合、ノベルパートであればそれは何らかの目的をもって設置される。例えば委員たちの疲労の表現であったり、烏合の衆であることの説明だったりする。それはヒナの苦労というシナリオの本筋を綺麗に見せるために必要なテキストとして挿入される。
テンポが大事なノベル形式において過度な雰囲気づけのテキストはシナリオを読む際の障害になり入れない方がいい場面も多い。それが例えば愛用品の詳細だとかデートの詳細のようなそれ単体で面白いものであれば個別にアイテム欄のフレーバーテキストやモモトークなどのコンテンツに昇華できるが、昼休みの教室の他の生徒の様子であったり、晄輪大祭の観客席のモブたちの食べているものだったりの細かい部分の幾つかはどうしても読み手の想像に委ねる部分が出てくる。
しかし探索パートの場合は視覚情報で即座に説明することが可能だ。またテクストを入れる場合も、そこに伏線や大きな目的がなくても気軽に入れることができる。何故ならそれは全プレイヤーが読むことを前提に設置されていないからだ。②読みの強制力 でも触れたように探索パートではプレイヤーのクリックという能動的行動によってイベントが発生する。そのためモブの会話やフレーバーテキストのような「必須ではないがあった方が世界観的に正しい」文章を読むかどうかはプレイヤーに委ねられ、制作側はそれらを詰め込むだけでよくなる。
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サンドバッグを通じて主人公の価値観が示されている
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物語世界内における本や報告書といった文字媒体はアイテムとしてフィールド内に落ちている
しかしフィールド探索では無駄な情報を読めるせいでメインストーリーに集中しにくいという弊害もある。それが本筋には直接関係しない情報である以上それを読むことはテンポを悪くすることに繋がる。
もちろんプレイヤーが読まなければいい話ではあるが、その場合は情報を読み飛ばしている感覚、全ての情報を読んでいる人よりも物語世界を楽しめていないという感覚が付きまとうことになる。さらにどの程度の情報までスルーするかを自分で決める必要が出てくるので、とりあえず目の前に出された情報を読んどけばいいノベル形式よりも気持ちよく読みづらいだろう。
3. まとめ -自由度が与える影響-
結局のところこれらの違いは全てプレイヤーの自由度の違いによって引き起こされると言える。時間の進み方や視点移動など与えられた行動の幅の違いによりそれぞれの形式において異なる状況が生じることになる。注意してほしいのは自由度が高い=優れている とはならない点だ。
ジェットコースターとゴーカートを思い出してほしい。前者はプレイヤー=客の意志は基本的に全く反映されない。席に座って安全バーを下ろしたら最後、一周して戻ってくるまでの間に景色は目まぐるしく変化し、その体験はどの客においてもほぼ均一である。しかし後者は客が自由に車体を操作することができ、他のプレイヤーを追い抜いてガンガン先に進むことも、のんびり景色を楽しみながらゴールに向かうことも可能である。ただジェットコースターよりは幅があるとはいえコースは決められた区域内に限定されていることは変わらず、自由であるが故にプレイヤーの技量がなければ上手く曲がれず壁にぶつかってしまう。
また何度かノベル形式では想像に任せることができるという旨の話をしたが、この想像力は自由度が少ない方が働かせやすいようにも思える。表現の自由度が高ければ高いほど「じゃあやればいいじゃん」となってしまい、そこで制作コストの問題にぶつかることになる。いくつかのリメイク作品が映像美にばかり凝っていて肝心の内容が面白くなくなっているのにも、ハードの向上により表現の幅が広がり、それによりリメイク前は想像に任せておけばよかったのに今は描写しなければ不自然になってしまうという部分が増えてしまったことにより作業量が増大しリソース管理が難しくなったという理由もあるだろう。
個人的な考えとしては、プロット的な面白さを堪能するのであればプレイヤーの介入要素は不要だとも思う。物語に起承転結や序破急、三幕構成やビートシートやヒーローズ・ジャーニーなどの概形があるのはそれが面白いからだ。その事件がその場所・そのタイミングで発生するのは物語を美しく見せるために絶対的に必要であり、一定の正解が決まっている以上「自由意志」によってその緻密に練られた完璧なバランスをむざむざ崩させる意味はない。TRPGや流行りのストグラ等の即興劇で意図せずドラマチックな展開になったり芸術的な伏線回収が行われたとき、しばしば「天才脚本家が書いただろ」「映画化できるレベル」などの賛辞が与えられることがあるが、これはプロット的な面白さには一定の正解があるという感覚がひとつの展開・結末しか存在しない"映画"という言葉によって代替されたのだと捉えることもできる。
しかしプレイヤーの意志が物語内に反映されることがユーザー体験に大きな影響を及ぼすこともまた事実だ。例えばヒロインが複数登場する恋愛ADVでは共通ルートから個別ルートに入る際にこちらの選択が反映されるが、これは単に色んなキャラを楽しめるというだけでなく他のヒロインを切り捨てたという感覚が選んだヒロインへの特別感を増させることにも繋がっている。他にも『逆転裁判』シリーズでは間違った選択肢を選ぶと心証が悪くなりゲームオーバーになるが、これによりゲームに緊張感が生まれ、物語世界内の緊迫した雰囲気にのめり込めるようになっている。
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プレイヤーによる入力操作はゲームのシナリオ的な観点からすると究極的には物語世界への没入感に帰結するようにも思える。ループものの金字塔である『STEINS;GATE』はアニメ版も高い評価を獲得しているが、「記憶を消してもう一度やりたい」とまで言われる所以は道中で何度も失敗を味わうプレイヤーの心境がループに閉じ込められた主人公のオカリンと重なり、降り積もった感情が最終的にTRUE ENDによって一気に解放されるという強烈なカタルシスによるものだと言える。もしも没入感や感情移入といったものを完全に度外視したとき、そこには単に話が込み入って本筋を追うのが面倒臭い、見せ方を間違えた物語だけが残るだろう。
映画や小説とゲームの違いがプレイヤーの入力の有無である以上、そこにはメタ的な要素を考慮に入れる必要があるだろう。それはゲーム内のキャラがプレイヤーに語り掛けてくるという直接的な表現でなくとも、今回のヒナイベントのように校内を駆け回って問題を解決するという手間がヒナの「めんどくさい」というセリフと重なり、ただ文章を読む以上に彼女の感情を理解できるというものでもよい。とにかくプレイヤーに要請する行動のひとつひとつに意味を持たせる必要があるだろう。
↑↑↑余談だがアナログスティックの弾き入力やWiiのモーションセンサーもプレイヤーの直感的な操作を上手くゲーム内に落とし込んだ好例だと言える。これらが人気を博したことを考えるとエンタメにおいてプレイヤーの没入感を作品に落とし込むことはどの場面においても重要だ。
4. 参考文献
『ブルーアーカイブ -Blue Archive-(日本版)』開発元: NEXON Games, 運営: Yostar, リリース日: 2021年2月4日
『パラノマサイト FILE 23 本所七不思議(steam版)』開発元 Square Enix, 販売元: Square Enix, リリース日: 2023年3月9日
『崩壊:スターレイル』開発元: miHoYo, 販売元: HoYoverse(グローバル版), リリース日: 2023年4月26日(Windows版)
『逆転裁判123 成歩堂セレクション(steam版)』開発元: カプコン, 販売元: カプコン, リリース日: 2019年4月10日
『STEINS;GATE(steam版)』開発元: MAGES. Inc. 販売元: Spike Chunsoft Co., Ltd. リリース日: 2016年9月9日
『はじき入力 【仕様】』チャンネル: 桜井政博のゲーム作るには, 配信元: Youtube, 公開日: 2023年10月10日, 閲覧日: 2024年2月4日
𝓯𝓲𝓷.
ところで今一度この記事のタイトルを思い出してもらいたい
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脇道が長すぎてもはや何の記事か分からなくなったところでようやく本題のシナリオ分析に入ります
<<本編開始>>
あらすじ
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良かった点
・ゲヘナキャラ全員(便利屋除く)登場している点
お祭り感が出ていた。また今まで帰宅部のエリカとキララ、万魔殿のサツキとチアキなど今まで出番が無かったり少なかったキャラの雰囲気を掴めたという点でも良かった。
・ゲヘナの日常の描写に振り切った点
またこれだけ大人数(20キャラ+先生、モブ)のキャラを出演させて1人1人に出番を作るとなると話の展開はどうしても簡素にならざるを得ないが、そこを無理して複雑にせず彼らの日常の描写に振り切った点も良かった。
・ヒナに焦点を当て続けたこと
これだけ大勢のキャラが登場すると話もごちゃついてしまいがちだが、今回は主人公のヒナが各地を訪問して問題を解決するという図式を徹底して守り続けたので読みにくさを感じることはなかった。特に「陽ひらく~」の方ではほぼ万魔殿しか登場してなかったのにこの物語がヒナが中心のシナリオだったと誰もが分かるようになっていたのは、もちろんSDモデルの演奏シーンや彼女の歌唱などもあったが、万魔殿メンバーが終始ギャグ感溢れるやり取りをしていて良い意味で軽い雰囲気だったのも大きいだろう。そういう意味では作りたい話の型に万魔殿のキャラが上手くマッチしていたと言える。
・パーティー前日だけ先生に会わなかった
ヒナがピアノを弾くことが決まってから本番までの間、ヒナは電話で一日に一回は先生と会話をしていた。しかし本番前日のみ(3倍訓練をさせられて忙しかったこともあり)全く先生と会えておらず、寝る前に上手く弾けるか不安になって結局寝ずにピアノの練習をしに行った。不安になった理由がいくつか用意されていたためヒナの行動が理解しやすかったのはよかった。
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・フィールド探索との兼ね合い
余談で長々と話したフィールド探索の「読み手が物語世界内の時間に没入しやすい」という特徴と物語が1日ずつ進行するという流れが上手く噛み合っていた。また現実世界の1日ごとに1話+1幕ずつ解放されたのも物語の世界に浸りやすい工夫が為されていてよかった。一気読みの方が楽だけど。
また言わずもがなだがゲヘナの日常やヒナの忙しさを表現するという目的を達成するにあたってフィールド探索や短い出来事がいくつも連なるタイプの物語構成はとても相性が良かった。新しく実装された要素の強みを活かすように物語が作られていたことはライター陣の柔軟性を感じさせる。
気になった点
・プロットには特別感がない
今回は「バレンタイン」「パーティー」「ドレス」「ピアノ演奏」など特別感を含んだ単語がふんだんに盛られたいた(実際にフィールド探索やEDなど想像の何倍も豪華だった)が、ことプロットに関してはそれらの派手な要素から期待されるような劇的な展開が組まれていた訳ではなかった。また大部分がパーティーの準備……というよりゲヘナの日常描写に紙幅を費やされており、パーティー本番はかなり短かったためプロット的にはお祭り感がやや薄かった。
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この言葉が今回のシナリオの性格を端的に表している
今回はゲヘナ生にとって「日常」だったのだ
そして今回はヒナの視点が半分以上を占めていた。読者は視点を当てられたキャラの感情に引っ張られる部分があるため、今回ヒナが淡々と問題を解決していったこともプロットに特別感を感じにくい要因のひとつだろう。
ユーザーの何割がそう思ったかは分からないが、少なくとも筆者は今回のイベントの概要が発表された際には豪華絢爛な背景やヒナのピアノ演奏というサプライズからプロットにも非日常感溢れる展開、例えば、
『ヒナが万魔殿の策略で思うように時間が取れず、何とか捻出した時間で練習しても苦手なので思うように上達せず、投げ出したくても先生の期待を裏切れなくて八方塞がりに陥ったとき、偶然同じピアノで同じ曲を練習していたピアノ挫折者の練習ノートを見つけて、そこに記された努力の痕跡と懊悩の日々に自分は1人じゃないんだと勇気づけられ、そのノートのメモを参考にしながら先生とその見知らぬ子のために必死に練習し、最終的にそこまで上手くないけど心打たれる演奏をしてアコが泣き崩れる』
みたいなお決まりの成長物語を無意識に期待していたため、本編の日常風景を見せる意図で作られたシンプルなシナリオに変化球を投げられたような印象を受けた。とはいえ何度も言った通り今回のイベントはゲヘナでの日常風景を描き、それを体験してもらうというのが大きな目的だったと思われる。そしてそれは生放送でフィールド探索があると告知され、物語の中心とはならなさそうな学生食堂にも3Dマップが存在すると判明した時点である程度予想できたため、そんな期待こそお門違いだと言える。
なので正直これはこれで良いという感じなのだが、それでも敢えてひとつだけ言うとすれば晄輪大祭みたいに前編後編に分け、前半をパーティー準備編、後半を万魔殿もしくは他の敵との水面下でのバトル+ヒナの演奏みたいな感じだとドレスやピアノ演奏という特別感にマッチした雰囲気になったとは思う。もし開発コストや制作陣の体調を完全に度外視していいのならばという条件付きだが。
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日常の範疇であり、比較的余裕があったからなのだろう
彼女にとっては先生が自分に期待していたことが唯一の非日常だったかもしれない
・ピアノが普通に上手くなった点
彼女の懸念点は時間の部分だけであり、ピアノの技術については問題なく伸び続けた。物語は起伏があるから面白いのであり、特に躓いたりせず普通に上手くなるのはキャラとしては面白くても話としては面白くないだろう。
また前述のように今回のことが「いつものこと」の範疇だったせいで演奏の後の感想が腕を賞賛するに留まり、「ウチの委員長は凄いんだから!」とか「あれだけ努力されていたから当然です!」みたいな部下がめちゃめちゃ慕ってくれてたり努力を認めてくれてたりしてエモいみたいな流れにもならなかった。
まとめ
今回はゲヘナの日常を描くことに振り切っており、そこにピアノ部分を足して華やかさもカバーしていた。また初実装かつボリューミーなフィールド探索を綺麗に演出するためシナリオの展開はあえてシンプルに纏めていたような印象を受けた。苦労描写という点では何か日を跨ぐトラブルがあっても良かったようにも思えたが、あえてそういうものを作らないことでヒナの有能さや日常感、あるいはピアノ練習の特別感を際立たせたかったのかもしれない。また帰宅部の2人やチアキ、サツキなど今まで出番がなかったor少なかったキャラの雰囲気も掴むことができたし、主役であるヒナが一番目立つように作られていたので、評価をシナリオに限定した場合は面白いとはならないが、全体として見た時に役割がしっかりしていて良かったと思った。
余談:いつからヒナは先生が好きなのか
今回のイベントをプレイしてヒナの先生に対する態度が新たなステージに入っていると感じた。「先生に迷惑をかけたから」「先生が楽しみにしているから」など先生のことを行動原理の上位に据えているだけでなく、それらの発言を1人や2人きりの時だけでなく周りに他の生徒が大勢いる中でしていたのが個人的にはかなり衝撃的だった。対策委員会編からゲヘ夏、エデン条約編と時間が経つにつれて段々親密度が上がっている感覚はあったが今回はそれこそ「一歩踏み出した」印象……というより既に踏み越えてた印象を受けた。
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もはやゲヘナではマコト以外全員知ってそうなレベルで素直に感情表現をするヒナだったが、恥ずかしながら筆者は何故こんな関係になったのかを覚えていなかった。ので今回ヒナの過去の登場シーンに雑に目を通した。
それらをまとめた記事を付録として以下に記したので、これをもって締めの挨拶と代えさせていただきたい。
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ブルアカのヒナとの出会いを徹底解説!さらにヒナが先生を好きになった理由も考察!!!
皆さんは「ブルアカ」ってゲームはご存じですか?日本中で愛されている今や国民的人気ゲームといえる存在ですが・・・
そんななか、現在SNS上でとあるキャラの人気が急上昇中なんです!!!
そのキャラの名も・・・ヒナ!!!
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背が小さいのに巨大な銃を持っていたり頭にカッコいいベイブレードを浮かべていたりしていて、そのギャップがとてもかわいいですね!!!
でも、こんなかわいい子となんで一緒にいられるのか、正直あまりピンとこないですよね・・・
こういった出会いの場面というのはそのキャラと最初に話すことになる重要な瞬間なので、その真相はとても気になるところです・・・
そこで今回はそんなヒナと主人公との出会いについて迫ってみました!!!
この記事を読めば、なんでヒナが主人公と一緒にいるのかが簡単に説明できるようになって、流行りのトレンドに乗り遅れずにすみますよ!
それではさっそく、ヒナと主人公との出会いを見てみましょう!!!
対策委員会編
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おそらくここで初めて会ったと思われますが真相は不明ですね!
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比較対象がどちらも終わってるので判断がつきませんが、ある程度は信頼していたみたいですね!
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ここから先生を意識し始めたんでしょうか・・・
ちなみにこの瞬間、先生は銀髪の子の脚を舐めていたみたいですよ!!!
通常衣装モモトーク
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意外ですが赴任当初の先生は評判が悪かったとのこと・・・
外から来た「大人」という先入観があったのかもしれないですね・・・!
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既に信頼関係が築かれているみたいですね!
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いかがでしたでしょうか?ここまでお読みいただき、だいたいの流れはつかめたでしょうか?
残念ながら、今回はヒナが主人公を意識するようになった理由は分かりませんでしたが、確実に主人公を意識していますね。
もしかしたら、対策委員会編の後に主人公が協力してくれたお礼としてヒナの仕事を手伝って、その際に何らかの関係の進展があったという可能性も否定できません。
今後、この2人が仲良くなった理由は描かれるのでしょうか?
そしてもし描かれた場合、それはヒナの人気がより高まる結果に繋がるのか?ブルアカの人気に与える影響はどうなってしまうのか?
ヒナが何故ベイブレードを頭に浮かべているのかといった話もさらに掘り下げられそうです!
是非ブルアカの運営の方には次回作を作ってもらい、謎となっている部分や伏線と思える部分を回収してほしいものですね!
今後もブルアカとヒナから目が離せません!!!
↓こちらの記事も!!!
𝓯𝓲𝓷.
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もしかしたらヒナが登場する可能性も!?
今後もますますブルアカから目が離せません!!!