アイドルは流れ星のようだな、と思った。
2016年の夏、わたしはキラキラした青春とはほど遠い高校生活を送っていた。受験生の山場と言われる夏休みを迎え、毎日予備校に通っては上がらない偏差値に悩まされていた頃だった。ツイッターでヤなことそっとミュートというグループができた、ということを知った。いまだからいえるけれど、たしかまにさんがあのちゃんギャルというツイートがきっかけだったと思う。
ツイートを見て、偶然無料配信された曲を聞いて、現場に行ってみたいな、と思った。あの頃の行動力は凄まじく、気づいたら新宿SAMURAIにいた。受験生なのに。
それが、わたしとヤナミューとの出会いだった。
大学受験もあり、2016年はあまり現場にいけなかった。でも、2017年、受験がおわった時。大学に入学した時。2018年、大学に馴染めなかった時。2021年、卒業できなかった時。就活の時。2022年、大学を卒業した時。わたしの人生の節目にはいつもまにさんがいて、いつも支えられていた。
自分語りになるが、わたしはいつも人生をうまくやることができない。肝心なところで一歩及ばなかったり、何をしても及第点しかとれなかったり。他人への興味がなく、人間関係を築くのが下手すぎるが人には好かれたいと思ってしまったり。自責で考えることができずいつも他責で考えてしまったり。考えたら考えた時間の分だけ悪いところが出てくるような人間だ。(ヤナミューのメンバーは自分を悪くいうけれど、わたしよりたくさん努力をしていて本当にすごいから安心してほしい、といつも思っていた。)
でも、そんなわたしにも、ライブハウスは優しいし、まにさんも、メンバーも優しかった。文字通り、ライブ中はヤなことをそっとミュートできていたと思う。
ただ、ヤナミューだけが好きだったわけではなく、卒業するまではでんぱ組の夢眠ねむさん、今もだがジャニーズも好きだ。だから、絶対にヤナミューの現場を優先していたわけではなくて、そこを負い目に感じることもたまにある。
それでも、現場に行くとライブはいつもかっこよくて、特典会に行けばまにさんはいつもやさしくて。何かあった時、ヤナミューはいつもそこで待っていてくれるという謎の自信があった。嬉しいことがあれば報告しに行っていたし、嫌なことがあればアドバイス(?!)をくれた。好きな曲もできたし、ヤナミューのおかげで知り合えた人もたくさんいる。そのくらい当たり前の存在になっていた。
だから、実質解散のお知らせをみたときはどうしたらいいかわからなかった。理解が追いつかなかった。今までいることが当たり前だったし、これからも当たり前だと思っていたから。
そこから解散までの時間は今思うと一瞬だった。その間、できるだけ感謝を伝えたし、会いに行った。だから後悔はないけど、最後のライブでもっと見ていたいと思ってしまった。
流れ星は、星が燃え尽きる時の光だという。
アイドルも、解散する時が一番美しいらしい。
ヤナミューのライブ1曲目(新曲)のタイトルは、流星だった。ライブ最後の曲、遮塔の東には「一瞬の光 それしかいらない 燃え尽きた後も忘れられないように」という歌詞がある。彼女たちは、ステージで命を燃やし、ついに流星になったのかもしれないな、と思った。
本当に本当に美しかった。6年間走り続けて、命を燃やし尽くしてくれてありがとう。どうか4人がこれからも笑顔で過ごせますように。