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esportsについてスポンサーから考えた。2021年末の備忘録

始めに


こんにちは。noteはもう約1年半ぶりになりますが、今日はesportsをスポンサーする立場から思う事をお話ししようと思います。あまりスポンサーがこういうお話しをすると夢もくそもぶち壊れるかもしれません。おそらくこの記事を読んでいただいた方の中から何言ってんのこいつ?とご批判をいただく事もあるでしょう。

僕は自分の意見がすべてだと思っていません。そして世の中的には弱小スポンサーです。これはあくまでも、esportsシーンの発展を願うスポンサー担当者のぼやきであり、自分自身への備忘録だと思っていただければ幸いです。またここにお話しすることがすべてのesports (大会やチーム、またスポンサー) を指しているわけではございません。

来年2022年が終わる時シーンが成長し、続けててよかったと思うようになってほしい。そうなるように努力していきたいと思っています。このnote全体のトーンは暗めだけど、僕はその先に明るく輝く世界があると強く信じている一人でもあります!


esportsは常にお金で悩んでいる


一部の大手パブリッシャー様や大会運営様、またチームを除き、esportsは常にお金で悩んでいると思います。大会を開くお金。放送をつくるお金。チームの運営費、それらすべてをPRしたり広告したりするお金すべてです。視聴者の皆様が無料で楽しんでいただけているシーンの制作には、だれが何を負担しているに関わらずお金がかかっています。

全体に人気が出ているとか、応援してくださる視聴者様が増えているとか、esports産業が発展しているとか色々聞きますが、肌感覚としてesportsそのものに資金が流入しているのか?と思ったときに僕個人はそれを感じていません。一つ一つの大会が起こっては消え、そしてまた起こる。そんな消費されるだけのコンテンツ制作にそのつどつど関係者が資金繰りに奔走し夢を語りこのシーンは伸びていくんだ(発展途上なんだ)という言い訳をしながら時間を消費しているように僕は感じています。

その後、またゼロに戻る感覚が自分の中にはあります。どこまでいつまで続ければ、自分たちが創りたい世界がやって来るのだろう?いやこのままやって来ないんじゃないの?とさえ思うときが正直あります。そしてそんなのは嫌だ!と思っています。

じゃあ、この状況を打破していくためにどうすればいいの?お金を流入させる取り組みをするしかないですよね?大会を一つの例にして、資金の流入経路は下記しかないと思います。

・自己資金(大会主催者の資金という意味)
・ゲームパブリッシャ―からの資金(上記と被る場合もある)
・スポンサーからの資金(プレデターリーグの場合は上記)
・大会独自の収益(グッズ販売、チケッティング等)
・出場するチームからの資金(エントリー費。チームが出場料を払うとか、そういう制度が大会にもしあれば)
・視聴者の皆様からの資金(オフラインの場合はチケッティングが当たりますが、オンライン配信に対してはまだ聞いたことがありません。けどいつか実現させていただきたいと思っています。ご厚意でいただく投げ銭いつもありがとうございます!)

そして上記のどれもにリターンが要求されるのです。

同じことを繰り返し他力本願で待っていても状況は好転しないと思います。大会そのものはフォーマット化された放送から脱却し、新しい企画をどんどん考えて投入する事。僕はとある大会に向けていくつかアイデアをご提案しました。スポンサーから資金提供をもっと受けたいなら出来上がりのメニューを提示するだけでなく、スポンサーとの打ち合わせを繰り返し、そのスポンサーの問題解決に真摯に取り組む事。その結果を形にする努力をする事。チーム様なら、大会と同じようにスポンサーとの取り組みももっと緻密に、スポンサー企業アカウントのツイッターをRTするだけでは、一緒に取り組んでいるとはいいがたい。チームが企業にできることをもっと考えていただきたいと思います。そして他人事でなく、もっと自分も一緒に考えていきたいと思うのです。

僕自身好きなシーンであり、自社のマーケティングという立場からシーンに深く入り、大会と苦楽を共にし自分にできることを精一杯続けていますが、シーン全体を見返し、身勝手にスポンサーという立場に立ち返って見渡した場合、「こんなんじゃだめだ」と思う事が山積みだと正直思います。

esportsの根底で最も大切なもの


これって何だと思いますか?esportsって何なんでしょうか?このシーンを成長させていくために絶対に必要なものは何でしょうか?強力なスポンサーでしょうか?有能な運営会社でしょうか?タレント溢れる大会や放送制作陣でしょうか?有り余る予算でしょうか?ミラー配信で集める視聴者の皆様でしょうか?

僕の答えは全部違います。esportsというシーンの中で最も大切で、大事で、力強くもっと輝かないといけないものは、結局チームだと思います。そしてそこでプレイをする選手の皆様です。esportsはスポーツだから、やっぱり周りが何を考え何をしても最後、esportsを成長させ発展させるのはチームであり選手の皆様です。選手の皆様の素晴らしいプレイがファンを魅了するのです。そして強い相手を一発逆転して倒す興奮がファンを熱狂させるところは、他のスポーツと変わらないと僕は思います。チーム、選手の皆様一人一人が自分たちが活躍する場所を大会と一緒につくるという風に思ってもっと頑張って欲しいです。

成功する会社に有能な経営者がいるのはもちろんですが、それ以上に優秀な社員が多くいるのと同じだと感じます。社員一人一人が考え改善・前進しようとする会社は伸びていきます。結局他責にしているうちは何も始まらず、自責にして自らが行動することでしかもう進化していかないような気がしています。

この1年で日本のシーンをリードされるような素晴らしいチームがタイトル問わず出てこられている実態もあると思います。それらチームの皆様には他のチームのお手本となる取り組みを続けていただきたいと思いますし、願わくばどうやってそういうチームになっていったのか?を何かの機会で他のチームへ惜しげもなく共有いただけたらなと願っています。

僕らが責任転嫁するわけではありません。大会やスポンサーと一緒にもっと取り組んで欲しい!そう願うのです。少なくとも自分がかかわらせていただいている大会ではそんな話をしています。

esportsをスポンサーしようとする企業様へ


esportsに本気で取り組んで約2年。やっと続けててよかった。効果がやっと出てきたと感じています。具体的に言うと、お客様からのお問い合わせが増えた事、もちろん売り上げも上がっています。それだけでなく、深く自分たちを知っていただけるファンの皆様が増えてきたという実感が出てきたことです。企業様の商材にもよると思いますが、自分の感じている事を下記に箇条書きにします。

・esportsは生もので生きている。
・短期間で効果を期待しない方が良い。
・大会協賛を広告メディアととらえると失敗する可能性が高い。
・ROIを図ることが常に困難。
・esportsを理解しようとする努力が不可欠。
・経営者は一部を除き「ゲームの世界=遊び」と捉えがち。
・自らがそのシーンを一緒に考え成長させる心づもりがあるかどうか?
・自らが協賛する大会やチームを自らが発信していく準備があるかどうか?(リソースの準備)
・企業に一人は、esportsを愛する人がいらっしゃる(けど横に広がらない)


大会やチームから発信していただくだけでなく、そのアセットを使い、自分たちが一緒にやっていると自ら発信することが大切だと感じています。企業のコーポレートブランディングの中にesportsを入れていくイメージです。

と言いながら、大会やチームを一緒に盛り上げていただける新しい企業様をいつも募集しています(よろしくお願い致します)。そのために必要な努力は惜しみません。自分で良ければご相談はいつも受け付けています。

“お金を出す”だけじゃない! ガストとサッポロがPJSに込めた熱意 

MyNavi様 DMM Games様対談記事

ファンに選ばれるブランドへ、そのためにサッポロビールはeスポーツシーンに伴走する 

謎部えむ様 note 

meiji ブラックなヤツを当てろ ※Twitter #ブラックなヤツを当てろ 

Twitter
meiji様とのコラボ事例。プレベア(Predator Bear)が同じシーンを応援する全く業種の異なる2社を繋いだ例

今年お知り合いになった企業様から何社もスポンサーとしてご一緒いただけた企業様がありました。そこからその企業様とのスポンサー企業間の取り組みや、実際のビジネスを起こすことができたのは今年非常に良かったと思っています。

スポンサーを受けようとするチームや選手の皆様へ


自分は選手経験がありません。またチーム運営をした経験もありません。ですから、核心を突くことをお話しすることができません。沢山のご苦労があることはお聞きしていて知っているつもりです。過去スポンサー依頼をいただいた経験からこうした方が良いと思う事を下記に記します。

スポンサーにアタックする際に
 a) チームが何を目指しているのか?それをしっかり教えて欲しいです。
これはビジョンの共有のために絶対に必要だと僕は思います。営利・非営利問わず、会社でも団体でもグループでも、ここを目指している!これをやっている!とか、そのグループの行動規範とか、社是とか、なぜ?なんのために?そのチームが存在しているのか?があると思うのです。なければそれは楽しみ(娯楽) のためだけに存在する団体であり、そもそも論として自分たちが楽しむためのお金なら自分たちで何とかしましょうよという事だと思います。協賛を申し出るという事は、協賛社に賛同してもらう何かが必要になります。そして、そのお金や物品はただではないのです。

b) 自分たちに何ができるのかの分析はしておいて欲しいです。
これがないと結局自分たちが何者なのか?を伝えきることができないと思います。〇〇というゲームで〇〇という選手がいて有名なんですよ。はよく聞くお話しですが、そのシーンをみている企業担当者にはそれでよくても、それ以外大多数の人からすれば「ふーん」ぐらいにしか思わないのではないかと思います。参入されているゲームや選手の知名度で営業をされるチーム様が多いと感じています。しかし、それでは自らを説明していることにならないと僕は思うのです。

c) その企業にアプローチするときに、その企業に対して具体的に何ができるのかを明確にして欲しいです。
僕らもそうですが、何かお仕事を持ち掛ける際に、その相手先の企業研究はやります。就活生だって就職を希望する企業研究はするはずです。そしてそれに基づいて提案の仕方を変えたり、話し方を工夫したりすると思うのです。スポンサー企業にアプローチする場合の企業研究はもっと大切なのではないかと僕は思います。「お役に立ちます」「御社の製品の宣伝を頑張ります」では押しが弱すぎます。「どう」役に立てるとお考えなのか?HOWの部分がとても大切なのです。「何ができるかわかりませんが、一生懸命頑張ります」では、企業から協賛金を引っ張ることは難しいです。

d) 既にスポンサーについておられる企業様の悪口は絶対にNGです(相談はOK) 
過去の実際にあったお話しです。現スポンサーの悪口を聞いたときに、いつか自分もそういわれるだろうなと思うといい気持ちになりません。

e) 協賛費用以上の価値をリターンする気持ち姿勢を持って欲しいです。(実際はやってみないとわからない)
仮に月のスポンサー費用が300万円だったとします。12月のTwitter広告のCPMが年末の高騰もあって、弊社の実績値で750円もしてます涙。300万円をImpressionでチームが返すなら、12月で4,000,000 ImpresssionでPAR。通常月に戻ると大体CPM¥350-400です。10,000,000 ImpressionでPARです。返せてますか?という事です。引用RTすらしないRTで、そんなの何も嬉しくないですよ。実際にはこういうリターンはしないので、そのスポンサーに対して、ユニークで独特な価値があるリターンをスポンサーと相談しながらチームにもっと考えていただきたいと思うのです。

※もちろんすべてのチーム様が上記のようではありません。

お問合せいただく皆様へ(まじでお願いします!)

大きなブランド、大手企業になればなるほど、露出量(Impression、PV)はきっと求めていません。つまり、ツイッターフォロワーが〇〇万人いますとかそいうの興味ないんです。esportsの露出量はそれぐらいまだ小さいです。自分の場合はImpression換算で月大体1.25億Impressionぐらいを世の中に送り出しています(ちっさい….)。フォロワーが何人いますが重要じゃなくて、そのツイッターアカウントがどう(HOW)機能するのか?が大切です。

僕の場合は、チームの目標に賛同できて、応援したいと思わせていただけるか?一緒にそのゴールを目指せるか?有言実行できるチームメンバーがいらっしゃるか?そういう素晴らしい選手のファンの方たちにどれほどスポンサーとしてエンゲージさせていただけるか?自分の持っているメディアからどれぐらいそのチームの事を発信させていただけるか?を大切にしています。

TwitterのDMに唐突にご連絡を頂き、自分たちのチームをスポンサーして応援してくださいとか、個人配信者様からスポンサーになってくださいとか、パソコンやモニターをくださいとか言われます。典型的なパターンは下記です。いつも悲しくなります。

まずほぼ100%お名前がありません….. 
「esportsチームををやっています。スポンサーになってもらえませんか?ご興味があれば連絡下さい。きっと御社の役に立つと思います。」
「選手をやっています。PCとモニターをください。」
「御社がスポンサーになってくださるなら、今のスポンサーの事は考えます。」
「配信やっています。フォロワーは10万人程度います。スポンサーになってくれれば、御社の製品の拡散をします。」

え?っていつも思います。自分から言わせていただけるなら「うそでしょ?」だし「甘えるのもほどほどに」です。通りすがりの人に、いきなり↑のような声をかけれるのでしょうか?僕の場合はこういったお問合せでお取組みをして成功するとは200%思えません。第一印象最悪です。もう次は絶対にありません。

言い換えると、第一印象が良ければ、次に進む可能性があるのです。沢山の先人の皆様の努力でesportsの関心が高くなっているのは事実です。上記のような行為はそれを全部台無しにしていってるんですよ。具体的に凸版印刷さんのAfer 6 Leagueのように企業がチームを輩出し、esportsを理解する企業様も増えてきています。僕なら、esportsシーンにスポンサーとしてよく顔を出している企業に加え、あのリーグに出ている企業様を徹底的に調べてアプローチします。

最後に。そして2022年へ

色々言いたい放題述べさせていただきましたが、10年近くesportsを成長させたいって思い続け、初期のころからすると今は夢のような世界が既にできた感もあります。でも深く知れば知るほどまだまだいける、どんどんやれる、もっと良くしていける的な次の夢みたいなものができてきてそれになかなか届きそうで届かない。

自分の応援するシーンで、日本のチームが世界1を争うシーン。願わくば、それが自分が応援するタイトルの試合で、自分がスポンサーさせて頂いているチームなら、もうそこで死んでも後悔しないぐらいの気持ちです。そしてその瞬間を1ファンとして皆様と一緒に声が出なくなるまで応援するシーン。それをかなえたい。

もうそろそろ「世界へ(っぽいの含む)」っていうのやめませんか?先日とある大きな大会の時に、影響力のある大きなブランド様に失礼ながら正直にお話しさせていただいたことです。世界へ出ることを目標にしたら、世界で勝てないですよ。それを大会が率先してドヤ顔して言ってたらそりゃだめでしょ。

esports後進国の進化が問われる2022年だなと思っています。いつまでも言い訳は通用しません。協賛費用も時間も何もかもが有限だと思います。そして自分事にして、自分もより一層頑張りたいと思っています。主催だけではダメ、スポンサーだけでもダメ、僕の目指したいシーンは、主催者様もスポンサーも、チーム様も、制作会社様も、ファンの皆様も一丸となって取り組むシーンです。来年末、お疲れさまでした!と全員が達成感を感じる世界のために頑張りたいと思います。

最後になりましたが、沢山の皆様に本年もお世話になりました。本当にありがとうございました。自分は皆様に十分お返しができたのだろうか?と思いながら、足りなかった分は2022年にお返し致します。表現に稚拙な部分がございましたらお詫び申し上げます。

2022年も全員でファイティン!🔥


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