願いが叶った日

1年半と数ヶ月ぶりに会えた。

つまり2年弱って事か、、

彼、、翔太くんと会う約束をした今夜。

そもそも翔太くんから日時のお伺いをされる事が私にとっては驚きだった。

それくらい彼は縛られたくない自由人。且つモテモテで知らない女の子からストーカーされるくらいなんだから、私の優先順位も相当に低かったんだろう。

以前は彼が待ち合わせにちゃんと来るか来ないか、そんな事でいつもそわそわしていた。

それがどうだろう、当日の今日もマメに連絡をしてきて仕事が終わったとか、あと何分で着くとか報告があったり。

非常に感慨深かった。

翔太くんは私と会わない間に大人になったのだと。笑

久しぶりに会ったらどんな気持ちになるんだろう、、とずっと考えていた。

でも実際ドアを開けてみたらあの時と変わらないままの翔太くんが目の前に立っていて

〝久しぶり“

いつだってこんな風に何事もなかったみたいに、可愛い顔でこの子は笑ってるんだ。

挨拶もそこそこに、話したいことあるんだ、と近況報告をしてくれる。

〝ねぇ、子供達げんきにしてる？″

とそんな事まで気にしてくれるのがちょっとお兄ちゃんぽい。

ほんとに長い間会ってなかったんだっけ？

そんな風に感じてしまうのは、翔太くんが少なからず気を使ってくれているからだろう。

〝ここに来たの俺で何人目？″

りょうくんからも似たようなセリフを聞いたが、

ずっと放って置いたクセに正直に答える理由はないよ？と思いながらも

「私忙しいから誰も呼ばないよ」

そう答える。

嘘だとわかっていても気が済めば、

〝こっち来てよ″ 。

懐かしいな。

いつもと同じように側に呼ばれる。

〝俺以外の人としないでね？
ここに他の人呼んだらダメだからね″

「わかった。しないよ」

こんな茶番、笑っちゃうけどセックスへの前戯みたいなものだ。

触られてキスすると、やっぱりなんだか安心してしまう。

翔太くんより沢山会って何回もセックスした子だっているのに不思議だよね。

この日の彼は、私を舐める時も指を絡ませて手を繋いでくれた。

どうしたの？
前はそんなことしてくれなかったのに。

果てた後譫言のように

〝大好き″

と繰り返す翔太くんの肩に唇を寄せて髪を撫で、背中を目一杯の愛しさで抱きしめながらも

「うん」

とだけ返事をした。

私はね、また君に溺れるわけにはいかないんだよ。

また今度いつ会えるんだろう、、なんて心が揺れなくなったのは、私も随分と変わったからなんだろうか。

会わない間に変わった私の環境を見て

なんで？と翔太くんはしつこく聞いて来たけれど、

本当は誰より君にここに来て欲しかった。

それを想いながら春に私は勇気を出したの。

言わないけどね、そんな事。

この夜は、私の願いがひっそりと叶った日。

ありがと、翔太くん。

何にも縛られず自由に笑っていて。

それがとても、君らしいからね。