【ぽる談】生活感あふれる新藤晴一の歌詞
私は晴一さんの歌詞が大好きなんですが、その理由の一つは視点がおもしろい、というところです。今回は生活という視点で語られる歌詞について好きなところを語っていきたいと思います。
彼自身、ロックンロールなギタリストを気取りながらも割と生活感にあふれている言動が多々あり面白い。全書の中にも気になるポイントがありましたし。
『瞬く星の下で』の“人は真実か嘘かをことさら知ろうとするけどそれは長い時の中何度も入れ替わる”の説明で晴一さんは以下のように回答しています。
詩的な表現の裏に、こんなに庶民的な感覚があったなんて。そんな生活感あふれる晴一さんの気になる歌詞をいくつか上げていこうと思います。
ウォーカー
まずは私が大大大好きなイチオシ曲、ウォーカー。
歌詞はコチラ。晴一さんの青さ全開の曲です。ミドルテンポなブルースで割と地味めな曲ではありますが、昭仁さんはリリース当時、晴一さんの曲ではウォーカーがお気に入りのようで(アルバム『ポルノグラフィティ」付属初回限定DVDより)ボーカル冥利に尽きる曲、とおっしゃっています。
本題。晴一さんの歌詞はフィクションで物語性を持ったものが多い印象ですが、この曲はどちらかというとそういう類ではなく心情吐露に近い歌詞。晴一さんの心情かどうかはわかりませんが。でも誰もが今の自分の立ち位置に疑問を持ち自問自答する時期があると思うんです。当時そうだったというわけではなくて、いつかのそんな時の言葉ではないかと感じます。
そういった意味で、例えばダイアリー00/08/26やAGAIN、一雫といった生身の言葉に近いタイプの曲かな?と勝手に思ったりしています。全然ちげーよ、と晴一さんに思われそうですが。
さてこの曲の面白いところは、この曲の主人公の状況や思いが生活の中のあるあるで喩えられているところ。例えば
理想と現実の狭間で自問自答しながら、昔のピュアな自分を見て見ぬふり。夢物語はそう長く続かないし。でも忘れようとしても残り続けている過去の自分との約束。それはダイアリー00/08/26の「夜ごと、君に話してた未来についての言葉」と、もしかしたら同じなのかもしれない。そんな思いをジャムの蓋の値札に喩えているのが面白い。
他にも。
ありますよね、賞味期限について思うこと。日々まだいけるかなー大丈夫かなーの繰り返しです。特に牛乳みたいな生鮮食品は怖いです。お腹ゴロゴロしちゃうとね。
この主人公は冷蔵庫を開け牛乳の賞味期限を眺めながらまだ大丈夫かな、牛乳そして俺、と思っている。疲れ切って賞味期限切れそうなのに前に進まなきゃいけない?と。
この曲を聴くまではそんなことを考えたことはありませんでした。牛じゃないので(当たり前)牛乳に我が身を重ねることなんてなかったからとても新鮮な視点。晴一さんは生活の一つ一つに歌詞のヒント、比喩などを思ったりしてるのかな。
MICROWAVE
そして、やっぱり生活感あふれる曲といったらこちらでしょう。タイトルが電子レンジですから。
自分のことを冷蔵庫に喩え、冷え切っているから心の電子レンジをちょうだいと歌っています。
もうちょっといい冷蔵庫を買ったら干からびないのでは、とちらっと歌詞の意図をガン無視した感想が出てきたりしますがスルーしましょう。
というか2番の歌詞!エロい動画?アンダーヘア?あらまぁ…初見時は聴き間違えかと思いました。
こういうセンテンスだけを並べたフレーズも面白いですね。ちゃんとした文章よりも伝わるものがある気がする。似た手法の歌詞に『あなたがここにいたら』もありますね。
余白が多いので聴き手に委ねられる解釈。
約束の朝
こちらは生活感というよりは新生活が始まるイメージ。初めて彼女とキラキラした朝を迎える。歌詞を読むだけでドキドキする眩しい曲です。自分が初めてお泊りをした日の朝を思い出したりして。男視点版うれし恥ずかし朝帰り(Dreams Come Trueの曲)?なんて思ったり。帰ってはないけど。
これはクノールカップスープのCMタイアップ曲だったのでもちろんスープが登場。
スープを作ってくれて起きるのを待っていてくれる彼。なんて素敵なんでしょ、と思った当時。
今はこの曲を聴くとチクッと胸が痛みます。
渦
歌詞はこちら。YouTubeのサムネイルが怖いですね。6/8拍子のダウナーでドラマティックなTamaちゃん曲。ドラマ『スカイハイ』の主題歌でした。お逝きなさい。釈お酌!(無関係)
渦、というタイトルなので禍々しいというか大きなうねりを感じます。鳴門のうずしおというよりは荒れた天候の海。
と思っていたら実は排水溝という。ミクロ視点。びっくりしました、めっちゃ生活感あるーと。お風呂かい。
水回りの描写が生々しくて、どうにもならない想いが錯綜しています。パイプユニッシュでなんとかなるものではないんだろうね、彼の気持ちは。
ラスト オブ ヒーロー
最後は昔の晴一さんらしい、ちょっと斜めな視点からヒーローについて言及した曲。歌詞はこちら。
ヒーローがいない世を憂う受け身な人を一刀両断しお前が立ち上がれよという曲です。
この曲の生活感といえばやっぱりここでしょう。
J-popの歌詞に住民税が出てくる曲はそんなには無いでしょうね。引っ越す際に住民税の高い安いを気にしたことがなかったので、へー!そんなポイントで引越し考える人もいるんだなと素直に感心してしまいました。
ライブでは昭仁さんがマントを着て登場したのは懐かしい思い出。
とりあえずこんなところかな。5曲。
言葉ってその人となりが滲み出るからおもしろい。
昭仁さんの歌詞も今度じっくり観察してみたいな。
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