梅香る南関東をゆく:醫王山眞性寺〜萬頂山高岩寺〜都立赤坂溜池公園

画像1 今回は、南関東の梅の名所とされるところを巡ってゆきます。しばし、私と梅見散歩を楽しみましょう!\(^o^)/
画像2 ここは豊島区、巣鴨地蔵通り商店街!……の入り口、「江戸六地蔵」で有名な、医王山 真性寺です
画像3 またファンキーな書き文字の案内所(跡)がありますね……残された川柳投句箱がそそる!
画像4 私の梅の花をめぐる旅は、行き当たりばったりで進んでいるのではなく、事前に情報収集と経路の吟味を重ねてから動いているのですけれども、ここはまったくのノーマークでした。移動途中に偶然通りかかって見つけたのです。
画像5 徒歩や自転車移動ならではのメリットですね!
画像6 巣鴨の真性寺といえば、創建年代は不詳ながら、かの行基上人が開山に関わったと伝えられているお寺。(行基上人は主に近畿地方が活躍の場だったので、ここまで来たのかは謎ですけど……)
画像7 行基上人については、東大寺の大仏建立のエピソードでご存じの方も多いはずですね。知識(ここでは仏教の信者が善行を積むために寺院や仏像の建立・維持、福祉などの事業のために金品などを寄進すること、またその寄進者の意)層を束ねた「知識結(ちしきゆい)」という組織を形成し、各地で井戸掘りや港湾の整備、治水事業や架橋事業、貧民救済などにいそしんだ高僧です。
画像8 現代で言えば、類まれなる知識と情熱、特に発展途上地域で役立つ実践向きの人を守る技術、そして数千人を率いるカリスマ性を兼ね備えた、NPO団体のリーダー、といったところでしょうか。はっきり言って歴史上の偉人の中でもぶっちぎりで好きなお方です。あまりにも派手に活動したためか、奈良時代で唯一、時の朝廷から「僧尼令(そうにりょう。仏教団の僧尼を統制する法典)」違反で弾圧されたというロックな経歴まであるのがいちばんの推しポイント。その後朝廷と和解し、聖武天皇と共に大仏造立にたずさわったのはみなさんご存じのとおりです。
画像9 ……って、梅より多いこの花は、桜?「山形の啓翁桜」って書いてありますね。真性寺は、啓翁桜推しなのかしらん?
画像10 『梅の花 今盛りなり 思ふどち かざしにしてな 今盛りなり』(うめのはな いまさかりなり おもうどち かざしにしてな いまさかりなり) ──葛井大成(ふじいの おおなり)、筑後守葛井大夫(ちくごのかみ ふじいの だいぶ)
画像11 『梅の花は今が満開だ、友よ!さあ、髪に挿そう!今が満開だ!』
画像12 「思うどち」とは聞きなれない言葉ですけど、「気のおけない友だち」とか「気が合う仲間」といった意味です。勢いがあり、なんといっても「大事なことなので二度言いました」感が強いですね笑笑
画像13 さあ!お地蔵さまにお線香をお供えしたら、次へ行きますよぉ~!
画像14 巣鴨といえば、やっぱりここ!高岩寺、通称「とげぬき地蔵」で有名な「巣鴨地蔵通商店街」!!
画像15 とげぬき地蔵の名の由来は、針を誤飲した際に、お寺で配布しているお地蔵さまの御影(おみかげ。お地蔵さまの御姿を印刷した小紙片)を御利益にすがって飲み込んだところ、吐き出したそれに針が刺さっていて(体内のどこにもひっかからずに)助かった……という故事によります。ここから、他の病気にも平癒改善の御利益があるとされているとか。
画像16 なお、当たりまえですが鋭利なものを飲み込んだときは無理に吐き出してはダメですよ。すぐに病院に連絡して受診しましょう。
画像17 梅、紅白できれいなのがありますけど二本だけでした……これは真性寺と高岩寺、あわせて一本!かな
画像18 『青柳 梅との花を 折りかざし 飲みてのあとは 散りぬともよし』(あおやなぎ うめとのはなを おりかざし のみてのあとは ちりぬともよし) ──沙弥満誓(さみの まんぜい)、笠沙弥(かさの さみ)
画像19 『青柳と梅の花とを折って髪に挿し、飲んだらあとは散ってしまってもよい』
画像20 この沙弥満誓という人、お坊さんなんですよね。ぱっと見は、「後は野となれ山となれ」ノリのウェーイ系パリピかと思ってしまいそうな歌ですけど、お坊さんがこんなことを言うと(人生という名の宴で役割を果たしたら、この世を去っても構わないということか……ぬぬ……深い)と勝手に深読みしてしまいますね!お寺をふたつ巡ったあとに、お坊さんの詠んだ歌……なかなかに縁(えにし)深いものを感じます。(巣鴨のエスカレーターはだいたいお年寄り仕様なのでスピード遅め)
画像21 お次はここ!一気に高速移動して板橋区!赤塚溜池公園にやってきました!
画像22 このあたりまで来ると、全国に名を知られた梅の名所、というよりは、地元の人が知る梅の名所、という感じがします
画像23 私自身、こんなところにまで来たのは初めてです。と言おうとしてマップを開いたら、去年の夏、すぐ近くの赤塚植物園に来てました。やるやんけ私!
画像24 ただね……寒いんですよ……どんどん天気も悪くなってきてるし……
画像25 園内には区立美術館や郷土資料館、周辺には都立赤塚公園や赤塚諏訪神社、東京大仏などがあって、歴史・芸術好きにとっては実に見どころ満載のエリア。だがしかぁーし!(地元の方にはもうしわけないんですけど)アクセスがべらぼうに悪い。最寄り駅の都営三田線 西高島平駅から徒歩15分。しかもその間には首都高が横たわっていて、実際にかかる時間以上に遠く感じます。
画像26 まあ、アクセスよかったら今頃けっこうな梅の名所として人であふれていたでしょうね。見ごろの季節、天気のいい日なら実に壮観だと思います
画像27 『我が園に 梅の花散る ひさかたの 天より雪の 流れ来るかも』(わがそのに うめのはなちる ひさかたの てんよりゆきの ながれくるかも) ──大伴旅人(おおともの たびと)、太宰帥大伴卿(だざいのそち おおともの まえつきみ)
画像28 『私の庭に、梅の花が散っている。空から雪が流れて来るかのようだ』
画像29 八人×四チームで梅花三十二首を詠んだ宴の主催者、大伴旅人の作です。「ひさかたの」は空や天にかかる枕詞なので特に訳しません。じつにおおらかな歌で、この通りだったら気持ちよかったのですけれども……
画像30 私の上に流れ来たのはなんと雨!ざんねんながら今日の進行はここでストップです!それでは、またどこかの梅花の下でお目にかかりましょう!ごきげんよう~

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酎 愛零(ちゅう あいれい)
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