【宛名のない手紙】Eight Hundred 【short ver.】
拝啓
……と言うのもおかしいかしらね。こんにちは、私の知らないあなた。
この手紙を読んでいるあなたが、今、何歳なのかわからないけど、この隠し場所にたどりついたということは、自分が何者なのか、かなりのところまで思い出したってことよね。
あなたがこの手紙を読む頃、私はあなたを直接手助けすることはできない。でも、これを読んだなら、覚えておいて。
私たちが何と呼ばれているか、もう思い出したはずよね。自分のものではない、けれど確かに自分のものだった記憶に驚いたり、怖がったり、嫌悪したり、絶望したりする日はきっと来るわ。でも、負の感情に押し流されないで。私たちがどうやってそれを切り抜けたか、私たちの思い出をたどって。
過去は消せない。私たちが歩んだ人生は、消すことができない。けど、どんなに憎むべき過去を歩んだ人でも、どんなに悲惨な運命をたどった人でも、その人の存在を認めることだけは、してあげましょう。その人たちの記憶があればこそ、同じ道を進まないように気をつけることができる。その人たちの涙があればこそ、同じあやまちを防ぐことができるのだから。
行き詰まったとき。耐えられないと思ったとき。そんなときは、私たちの事を思い出して。私は、過去に助けられたことがある。できれば、あなたもそうであってほしい。
そして、これからは、あなた自身の人生を紡いでいって。過去の思い出にとらわれず、しかし学んで、あなた自身の人生を織り上げてゆくの。がんばってね。
あなたの人生においても、私たちの生きる役割を見つけられることを、ここで祈っています。
また会いましょう。
まだ見ぬあなたの、思い出の中で。
敬具
これは先日アップした【宛名のない手紙】Eight Hundred 【long ver.】の水先案内となるショートバージョンになります!はたして誰から誰への手紙なのか?「私たち」、そして「あなた」とは?
ある日本の伝説をモチーフにしたショートストーリーになっているので、当ててみてください😃😃😃
そしてこちらのショートバージョンは青紗蘭(せい しゃらん)さんの企画へ応募する用のリライトでもあります!よーしとんでけーーー!!!😆😆😆
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