【MTG】引きが弱い人へ
《まえがき》
先日、1マリガンの土地2枚でキープし、10ドローで土地が見つからないということがあった。
モダンで土地20枚のデッキだったので、こういうこともあるのかと思い対戦後に計算してみると、1%ほど発生するらしい。
1マッチ平均2.5ゲームだとすると40マッチに1回程度発生する計算だ。
アリーナでのプレイも含め、週に40マッチ以上こなしているので、たまたまこのゲームにあたっただけだと思った。
俺は運が悪い人、引きが弱い人といったオカルト的な部分は信じて居ないが、
・シャッフルの癖
・カードの硬さによる同一カードの偏り(灯争対戦やM19の英語版は生産時期によってはかなり柔らかい)
等々の理由によって、デッキ内のカードパイルが偏っていたり、ドローが偏ることはあると思っている。
今回はこういった物理的な影響はないものとし、必要十分なシャッフルのもとランダム性が担保されている前提の話。
私がマジックを始めた頃、GPTの会場で
「今日はマジックやっちゃいけない日かな~」と漏らしながらスリーブを替えているプレイヤーを見かけたことがある。
どういう不運に見舞われたかは不明だが、何かしら低い確率を引いてしまったのだろう。
不運は避けられないが、理不尽な負け方をして次のラウンドに引きずったり、マリガン基準を見誤ったりすることは避けることができる。
「上x枚に土地が無くて負け」
「x枚掘って○○が見つからなくて負け」
こういった状況に陥った時、冷静に分析できれば「こういう確率で起きるならこういうこともあるか」と割り切ることが出来る。
今回は、先述したようなデッキトップx枚に特定の種類のカードがどの程度の割合で含まれているかについて、確率を調べていく。
《今回発生したケース》
今回、マリガン1回で初手6枚のうち土地が2枚という状態でゲームがスタートした。
ボトムに送ったのは土地ではないカードで、初手6枚+ボトムの1枚を除いた53枚のうち、無作為に選んだ10枚に土地が0枚の確率を求める。
デッキ内の残り土地は20-2で18枚。土地以外のカードは53 - 18 = 35枚。
COMBIN(35, 10)/COMBIN(53, 10) = 0.94%
※コンビネーションの書き方がわからないのでCOMBIN(m,k)で記載しています。
同様に、1枚~10枚までの確率も計算し、分布を調べる。
手計算だと面倒なので、プログラムを使うのがおすすめ。
Pythonのライブラリに超幾何分布の計算をできるものがあるので活用。
少数3位以下は端数処理している。
10枚引いて土地が 0 枚になる確率: 0.94%
10枚引いて土地が 1 枚になる確率: 6.52%
10枚引いて土地が 2 枚になる確率: 18.47%
10枚引いて土地が 3 枚になる確率: 28.14%
10枚引いて土地が 4 枚になる確率: 25.47%
10枚引いて土地が 5 枚になる確率: 14.26%
10枚引いて土地が 6 枚になる確率: 4.98%
10枚引いて土地が 7 枚になる確率: 1.07%
10枚引いて土地が 8 枚になる確率: 0.13%
10枚引いて土地が 9 枚になる確率: 0.01%
10枚引いて土地が 10 枚になる確率: 0.00%
《土地しか引かないとキレる前に》
「土地しか引かねえ」と機嫌が悪くなるパターンも、この考えを応用できる。
例えば、スタンダードの土地24枚のデッキで、初手7枚中土地3枚でキープしたとき。
次の10ドローで、土地を引く確率の分布は
デッキ内の残り土地は24-3で21枚。土地以外のカードは53 - 21 = 32枚。
なので
10枚引いて土地が 0 枚になる確率: 0.33%
10枚引いて土地が 1 枚になる確率: 3.02%
10枚引いて土地が 2 枚になる確率: 11.33%
10枚引いて土地が 3 枚になる確率: 22.96%
10枚引いて土地が 4 枚になる確率: 27.81%
10枚引いて土地が 5 枚になる確率: 21.02%
10枚引いて土地が 6 枚になる確率: 10.01%
10枚引いて土地が 7 枚になる確率: 2.96%
10枚引いて土地が 8 枚になる確率: 0.52%
10枚引いて土地が 9 枚になる確率: 0.05%
10枚引いて土地が 10 枚になる確率: 0.00%
10ドロー中7枚土地まではそれなりに発生し得る事象だということがわかった。
土地でないカードの中には、実質土地のようなカード(マナクリーチャー等)も含まれるので、有効牌を引ける確率となるとパラメーターの調整が必要だ。
分布的には3枚~5枚程度が多いが絶対ではない。
7枚土地を引いても30ゲームに1回、10マッチ~15マッチに1回程度発生するものなので切り替えて次のゲームに集中しよう。
《デッキ構築の際に》
自分がプレイしているフォーマットが、おおよそ何ターンくらいでゲームの佳境を迎えるかを分析した上で、どの役割のカードを何枚入れるか。
そのカードはゲームが佳境を迎えるまでにどの程度の確率で期待値何枚引けるか。
こういったことを考える際にも、超幾何分布の考え方は役に立つ。
レガシーやモダンのプレイヤーは、フェッチランドでのデッキ圧縮がどれだけこの確率分布に影響を及ぼすか調べてみても面白いかもしれない。
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