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歳を重ねてもなお溢れる色香

「歳を重ねてもなお溢れる色香」


彼女はチャーミングな笑顔と共に現れた。

大きな門を開けて、私を中へ招き入れる。

デニムに洗いざらしのシャツが
こんなに似合女性はいないな、きっと。

つけたての赤い口紅が、香り立つベリーのようで、思わず見惚れてしまった。


「すっかり、白くなってしまったわ。」

無造作にまとめたグレイッシュヘアを撫でながら、そう言って笑う彼女。


彼女は50年前に二十歳(ハタチ)だった。

その頃からこの笑顔はきっと変わってないんだろうな。


薔薇の咲くお庭で

イギリスの紅茶を飲むなんて、

私の日常とは大凡かけ離れた世界にいるから、

錯覚しちゃうよね。


自分が、パリのマダムにでもなった気分。


"パリのマダム"
なんてセンスの無い表現をすること自体、
わたしの日常からどんなにかけ離れているか
安易に想像できるだろう。


良く手入れされたお庭、
お花たちはまるで女性のそれのように、
「わたしが一番キレイ!わたしを見て!」と
アピールしてくる。


彼女とは話がつきない。


気がつくと
風が少し冷たく感じる時間になっていた。

吹く風が
彼女のシャツの胸元を揺らしている。 

その隙間から時折り見える
美しいランジェリー。

お花の香りにも負けない大人の女の匂いが漂う。


「去年より今年のほうが色っぽいなぁ。」


ふと、そんなことを考えていた。

ひとつひとつの所作の美しさに引き込まれる。


とてもカジュアルなのに
品を感じずにはいられない。

歳を重ねてもなお溢れる色香は、

日常の"何気ない"の積み重ねなのだろうなと
つくづく思う。


彼女のようになりたいと思うけど、
わたしと彼女はまた別の性質を持っているから、
わたしはわたしに似合う
大人の女の色香を纏うことにする。


年齢を重ねるごとに、
変化していくものもある。

お肉のつくところとかね。


変わらないもの
変わらずいれるものは
内面の美しさと
何より、溢れでる色気だろう。


誰かをいつも愛せるように、
自分をいつも好きでいよう。


帰りに赤い口紅でも買って帰ることにするよ。

そして、自分に魔法をかけてあげようと思う。



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