2・快楽に溺れる-2
はじめと会う時間が増える。
仕事が終わったら会いに行く。
今日は?って連絡がほぼ毎日来る。
そんな調子で会っては身体を重ねる。
他の女の影もあるのは気がついていたけど、他の女がしないことをし始める私。
はじめの家で一緒にご飯を食べるようになったり、掃除や洗濯をするようになったり。
まるで通い妻のようだ。
他の女と違う自分になりたかったのだと思う。
ある日、連絡もなしにいつものようにはじめの家に行って扉を開けると、女物の靴。そして女がいた。
はじめと目があった。
そのまま扉を閉めてそっと隠れる。
私なにやってるんだ?彼女でも無いのに。夕ご飯なんて買って来て。はじめを独り占めできないのに。
「なにやってんの?入りなよ。」
隠れていた私を見つけると、何事もなかったようにはじめは私に声を掛ける。
「さっきの女の子はいいの?」
「大丈夫。べつになにもないし。」
私の心の中のもやもやが出てくる。
部屋に入ると、私が買っておいたコンドームのゴミが落ちていた。
やっぱりそういうことだよね。
「なんでこれ落ちてるの?」
「ひとりで使ったんだよ。」
あからさまな嘘なのが分かる。
必死になって隠してても私には分かる。
この時に私の中での独占欲が生まれた。この人を私だけの人にしたい。
「そうなんだ。あ、タオルケット洗濯するね。他の女と使ったの嫌だから。」
はじめは何も答えなかった。
その日は何事もなかったかのように一緒にご飯を食べて、同じ布団で眠った。
はじめはよく寝ていたけれど、私はなかなか眠りにつけなかった。
私ははじめにとってなんだろう。
少しずつ自分の感覚が麻痺していくようなそんな夜だった。
つづく