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100万円のためにラブホの面接を受ける決意

なぜ私は数ある副業バイトの中でラブホの清掃(以下、メイク。ラブホ業界では清掃の係をメイクと呼ぶ。恐らく語源はベッドメイキングだろう。)とフロントを選んだのか。

その理由は、会社が副業するためには、働いていた会社の人事部に相談しなければならなかったからである。
当時、私は博士課程の受験を控えた学生の配偶者と結婚していたため、万が一配偶者が給付型の奨学金を貰える面接に落ちた場合に備えて、少なくとも100万は貯金しなくては、という気持ちでいっぱいだったのだ。

ラブホの面接を受ける前は、会社側に山●パンの工場でひたすらラインから流れてきたパン生地にクリームを乗せるだけという夜勤バイトの希望を出したが、悲しくもその希望は人事から見事に跳ね返された。

何故か。
「夜さんが今の仕事と山パン、両方で働くのは体力的にキツイだろう。」とのことである。
私は月月火水木金金で働く気マンマンだったのに。
果たして人事は私の体力がどのぐらいあるのか知っているのだろうか。
それとも何か大人の事情があったのだろうか。

完全に出鼻をくじかれた。
しかし、人事に跳ね返されたところで100万円がある日玄関のドアを開けた瞬間に落ちてくる訳ではないので、私は「人事にバレないように」副業を決行することにした。

ちらと副業についてネットで調べたところ、会社に副業がバレる可能性でトップだった一理由が、まさかの確定申告でも同僚からのリークでもなく「顔バレ」とのことだった。

そのため、私は目を皿のようにして、顔バレしなさそうなバイト先を探すことにした。
また、志望先の条件をもう一つ加えた。それは、「面白そうなレアバイト」である。
基本的に私は面白いことが好きなので、本業の事務職の世界からかけ離れたバイトがしたかったのである。

そこで行き着いたのが千葉のとある街にあるラブホのバイトだった。
既に3~4年も前の話なので記憶がおぼろげだが、当時の求人サイトで見たところ、時給は1,100円ぐらいで、交通費は1回出勤につき400円ぐらい出るという条件だった気がする。賃金の面では悪くはないと思った。

また、そのラブホは全国チェーン展開していない昔ながらのいわゆる「老舗」、悪く言えば「ボロくて宿泊代が安いため、自ずと安い客や安いデリ嬢御用達になる」ホテルだったので、勤務態度や清掃に関してはそこまで厳しくないだろうと予想した。
また、お給料も手渡し感満載なのが求人情報から溢れ出ていたので、万が一のことを考えてそこのラブホに賭けることにした。

しかし、ラブホバイトはどこも基本的に朝晩と早番に分かれているので、基本的に6時間以上は働かないと採用にならないところが殆どである。
つまり、空き時間にちょこっと3~4時間働かせていただきますぜ、という勤務方法が不可能なのである。
世の中は人手不足だというのに、求人サイトを見れば虫のいい話はそうそう転がっていないのが現実である。

当時私が本業としていた事務職は、定時が9時半~18時/土日祝日休みだったので、先述のとおり月月火水木金金、つまり会社が休みの土日と金曜日の夜の週3シフトで、1週間に7日働くことにした。
旧約聖書の創世記では神が6日間の創造の業を完了し、7日目に休息したことにより、 日曜日は安息日になっているようだが、そうは言ってられない。
私はキリスト教徒ではないが、100万を捻出するためにはぬくぬくと安息している暇はないのである。

という訳で、次回の記事ではいよいよラブホの面接に行った様子を投稿していく。


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