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フィリピン先輩との出会い
ラブホのメイク(清掃)業務も少しずつ慣れてきた頃、このお店で一番仕事が丁寧かつ早いフィリピン人のパートさん(以下、フィリピン先輩)と一緒に組んで清掃をすることになった。
フィリピン人と話すのは人生でこのときが初めてだった。
この日まで私とフィリピンの共通点といえば、実の父親がフィリピン人と恋に落ちて母親と離婚したぐらいだろうか(実話)。
話が逸れた。フィリピン先輩は噂どおりとにかく清掃が丁寧で早かった。
業務の清掃というものは、正直手を抜こうと思えばいくらでも抜くことができる。
ましてやうちのホテルは部屋に防犯カメラはないので(あればそれはそれで問題だが)、サボろうと思えばいくらでも部屋でゴロゴロしていることも可能だ。
しかし、清掃というものはそんな「怠惰な自分との戦い」なのである。
私はこのときから「敵はいつでも自分自身なのだ。」という気持ちで人生を送っている。
さて、話を戻そう。
フィリピン先輩とも打ち解けてきたある日、彼女に来日した経緯を聞いた。
曰く、「私が16歳ぐらいのとき、ある日家に日本人が来て、私と結婚したいと言った。その日本人は大金を積んで私の親にあげた。親はそれを受け取り、私は言われるがままに結婚して、来日した。」とのことである。
私は更に、どこぞの某ビデオシリーズにあるような「出会って3秒」で結婚が決まったことは嫌じゃなかったのか聞いたら
「嫌だった。あのときは何度も泣いた。でも家のためだから仕方ない。」との返事がぽつりと返ってきた。
旦那さんも稼ぐ人とのことだが、フィリピン先輩も死ぬほど働く人である。
新築の家を建て、子どもを育て、車も新車で購入したとのこと。
(フィリピン先輩は、当時日本で出たばかりのテスラ社の車を購入しようか検討していた。)
更に、稼いだお金は今も実家があるフィリピンの家族に送金しているとのこと。
ラブホで働く人は、私含めて基本的に「身バレ」されたくない副業組だ。
お客さんと対面することが基本的にない。
実際に、フィリピン先輩も某大手のスーパーで社員として働きながら副業としてラブホで清掃パートをしているとのことだ。
私はフィリピン先輩の山あり谷ありの人生を乗り越えてきた横顔を見て、生きるためには強くなり、ガンガン働かなければいけないんだろなと強く思った。
その後、フィリピン先輩とのバチバチバトルがあるとは知らずに。
(この件はいつか別記事で紹介する。)