
第2節 迫撃砲部隊の編成及び装備 その1
1ー24
間接照準火力の正確・迅速な提供とはチームの努力の指向目標である。
効果的な通信は、間接照準火力部隊の成果ある調整に不可欠である。迫撃砲を射撃する際、間接照準射撃チームは要求された諸元を決心及び適用し、作戦構想と火力とを連携させる。本チームは火力調整士官(FSO)、迫撃砲分隊、射撃指揮所(FDC)及び前進観測員(FO)からなる。
1ー25
本項目では迫撃砲システム、陸軍及び海兵隊の迫撃砲部隊の編成、装備及び目標情報収集手段について説明する。本文書全般を通じての火力調整士官に向けての説明は火力調整士官のためだけでなく、火力調整にあたる職責を負う者に向けてでもある。
迫撃砲システム
1ー26
陸軍が装備する全ての迫撃砲は滑腔砲であり、翼安定式弾薬を用いる。
各部隊の修正編成表及び保有装備表の計画・機能に関して、該当する技術教範または訓練配布物を参照する。
1ー27
表1−1はいかなる編成に関わらず、米国の保有する迫撃砲システムの全般的特徴について述べたものである。
表1ー1 米国陸軍の保有する迫撃砲システム

左から
種別 操作人員 技術教範番号 最大/最小射距離
凡例
Conv - 従来型(二脚架を用いて射撃するモード)
HH - 手持ちモード
注記
射距離はりゅう弾を用いた場合で、概略である。射撃される迫撃砲弾、迫撃砲システムと目標間の標高差、気象条件により射距離は異なる。正確な情報は部隊が装備する迫撃砲システムに関連する射表と弾薬を照らし合わせて参照されたい。
軽迫撃砲

1ー28
M224A1 60mm迫撃砲は歩兵、ストライカー旅団戦闘団(SBCT)レンジャー及び海兵隊ライフル中隊に効果的、効率的かつ柔軟性ある火器として装備される。
周到な計画と本システムの能力に関する深い知識は本火器の利点を最大化することができる(軽量かつ少ない人員で運用できる)一方で、その制限を最小化することができる(射距離が短く、炸薬量が少ない)。
M224A1は2つのモードで射撃することができる。各モードは異なる装備と手順が必要である。各弾薬はおよそ1.8 kgである。
従来型モード
1ー29
本モードにおいて、砲は従来型の迫撃砲システムと同様に機能する。
照準具は迫撃砲の照準に使用され、二脚架及び底板(M7A1またはM8A1)が付属される。加えて、二脚架は方向・射角を変更し、水平を取るために使用できる。
M7A1底板は6400ミル全周に射向を変更できる一方、M8A1底板は中央を基準に左800ミル、右800ミル、1600ミルの範囲を射撃できる。
従来型モードにおいて、M224A1はM7A1底板使用時は約17kg、M8A1底板使用時は約15kgである。
注記 装薬号4による射撃はM8A1底板を用いて従来型モードの場合に可能である。
手持ちモード
1ー30
本モードにおいて照準具は使用しない。射距離表示部は見積もられる砲目距離に砲を設定するために使用される。M8及びM8A1底板は砲尾を支持する。脚がないため、迫撃砲砲手は砲を保持する。M8及びM8A1底板はどちらも中央を基準に左に800ミル、右に800ミルの1600ミルの範囲の射向制限を受ける。
手持ちモードにおいて、M224A1は約7.7kgである。
注記 手持ちモードはいずれの底板を用いた場合でも装薬号0及び1のみ可能である。
中迫撃砲

1ー31
M252A1 81mm迫撃砲は米国における現有中迫撃砲である。M252A1は軽迫撃砲と重迫撃砲の中間の特性を持つ。その射距離と火制範囲はM224A1よりも大きく、人員1名で運搬するにはまだ十分軽量である。M252A1は砲口制退器付のもので約35kgまたは取り外し可能な砲口制退器月のもので約37kgである。
1ー32
M252A1システムの付属品は携行容易な複数の物品に分類できる。
M253砲口制退器付81mm迫撃砲は約14kgまたはM253脱着式砲口制退器付81mm迫撃砲は約16kg、二脚架としても知られるM177A1迫撃砲托架は約9.6kg、M3A2底板は約10kgである。そしてM67迫撃砲照準器は約1.3kgで各種弾薬の重量は約5.4kgである。
注記 連続した作戦下でM252A1を長距離運搬する際、システム及び弾薬の重量により兵士の負傷と部隊の機動が制限を受けるということを指揮官は考慮しなければならない。また、接敵が予期される場合には警戒部隊を配属させることを考慮しなければならない。
重迫撃砲



1ー33
120mm迫撃砲は米国における現有の重迫撃砲である。3種の車載120m m迫撃砲派生型があり
・ 歩兵旅団戦闘団(IBCT)におけるM120A1
・ 機甲旅団戦闘団(ABCT)におけるM121
・ ストライカー旅団戦闘団(SBCT)における反動迫撃砲システム6ー軽量型(RMS6ーLとして知られる)
1ー34
M120A1はM326油圧昇降式迫撃砲運搬具により運搬される地上設置型迫撃砲システムであり、高機動多目的装輪車(HMMWV)などの主要な車両により牽引されるM1101トレーラに車載することができる。
1ー35
M121は主に輸送車両に搭載された迫撃砲システムであるが、地上設置も可能である。M121はM1064A3若しくはXM1287装軌式迫撃砲運搬車に車載して射撃することを目的に設計されている。M121を地上布置で射撃する際は、照準装置は砲から取り外さなければならない。

1ー36
RMS6ーLはM1129またはM1252ストライカー迫撃砲運搬車に搭載され、射撃するために設計されている。RMS6ーLは120m m迫撃砲、射撃時に発生する反動を4分の1に減じる反動機構に搭載されたM298迫撃砲砲身、に組み込まれている。RMS6ーLは射撃の際は反動機構に搭載された状態でなければならず、地上布置で射撃することはできない。
1ー37
重迫撃砲は運搬車両、装軌または装輪運搬車を必要とするのに関わらず、それらは野戦砲と比較すると未だ軽量である。軽・中迫撃砲より射程に勝り、火制範囲はより広大である。M120A1及びM121はそれぞれ約145kgである。120mm迫撃砲の弾薬の重量はそれぞれ約15kgである。
注記 迫撃砲システムに関し、より情報が必要な場合はTC3ー22.90または適切な技術教範を参照すること。射撃指揮装置に関してはTC3ー22.91を参照すること。
技術教範は兵站データ分析センターのウェブサイトで確認できる。