無二のプリンセス～舞空瞳さよならショー
日曜日。
星組東京公演『記憶にございません』『Tiara Azul －Destino－』からの舞空瞳さよならショーのライブ配信を観ました。
『記憶にございません』
トップ娘役の最後の作品が「政界コメディ」とは??? と思ったものだけれど。自由奔放で天然で、お騒がせだけど愛すべきキャラクターの総理の妻を、のびのびと楽しそうに演じているなこちゃんが、とってもかわいらしく輝いて見えました。
意外なコメディエンヌぶりも発揮されて。ン十年前、キャンディーズの蘭ちゃんとか女性アイドルがドリフターズなんかのバラエティに出演していた頃の姿を思い起こさせるようなかわいさが魅力的でした。
ストーリーの結末は、映画よりもラブラブのハッピーエンドで、幸せな気持ちになりました。こっちゃん(礼真琴)に飛びつくなこちゃんの脚がぴょこんと曲げて跳ねているのも、ぶりっ子(死語？)だけど、とってもかわいい。何度でも言っちゃうけど、かわいい。最後にこんななこちゃんが見られるなんて。
『Tiara Azul －Destino－（ティアラ・アスール ディスティーノ）』
初見では何も事前情報を仕入れず観劇したので。「ティアラ」という言葉から、ロマンチックレビューみたいな耽美なショーをイメージしていたら、がっつりラテンだったので、強い衝撃を受けました。
銀橋に並ぶ男役さんたちの真ん中で、白いお衣装のなこちゃんが、颯爽としてかっこよすぎでした。
このショーはなこちゃん(と、今回一緒にご卒業の(水乃)ゆりちゃん)のスタイルの良さを引き立てるようなお衣装が印象的でした。ショートパンツの脚の長いこと、きれいなこと。
白いお衣装で素足でこっちゃんと二人、踊る場面は、この二人ならではのレベルの高いダンスで、清らかで涙が出そうなほど感動しました。このシーンは、『パパラギ』の「こころはいつも」のように、いつまでも語り継がれるのではないかしら。
退団者たちを囲むような全員のダンスシーンは、華やかななかにもやわらかい幸せな空気を感じて、あたたかな気持ちになりました。
フィナーレのデュエットダンスも愛に満ちた幸せな空気が漂っていました。銀橋で戴冠式のように、こっちゃんがなこちゃんにティアラをつけてあげるシーンは、星組トップ娘役としての大活躍への賞賛と4年間おつかれさま、わたしたちのそんな思いをこちゃんに託した気持ちで見つめていました。
そして『舞空瞳さよならショー』
幕開けは『ロミオとジュリエット』。「いつか」。こんなにこのナンバーが似合うのはなこちゃん以外にはないのではないでしょうか。無垢でピュアで愛らしい。ピンクのドレスがいっそう魅力を引き立てます。こっちゃんとなこちゃんのお披露目のこの作品で、初々しい二人にどれだけときめいたことか。
娘役だけの大階段のナンバーは『世界に捧ぐ歌』フィナーレのすごつよ。アダルトでムーディーでステキ。娘役トップさんのさよならショーで、このような場面は初めて見たような気がします。娘役が主役。娘役を愛し、誇りを持って取り組んできたなこちゃんらしい選曲だと思います。
退団者たちの『グラン カンタンテ』は、星組ならやっぱりコレでしょ、の熱さ。
白いドレスに変わって『ディミトリ』のデュエット。穏やかで幸福感があふれて、胸にしみる思いでした。
白いドレスの胸元は、男役さんのタキシードの襟の形のような飾りに花の刺繡があしらわれていて、とてもフォーマルな感じがしました。旅立ちの特別な日にふさわしいイメージ。もし私がまだ若くてこれから花嫁になるのなら、こんなイメージのドレスを着たいなと思いました。
最後は『めぐりあいは再び』の「The Next Generation !」。星組生がそろった舞台に、こっちゃんがなこちゃんの背中を押して送り出す演出。あらたな世界に旅立つなこちゃんを送り出すこっちゃんという演出が印象的で、胸がキュッとしました。そして明るく楽しく幕が下ろされました。みんなに愛されたなこちゃんにぴったりのフィナーレでした。
さよならショーでは、退団するスターさんが単独で歌い踊るナンバーが中心なのが一般的だと思いますが、なこちゃんのさよならショーでは、こっちゃんと一緒のシーンの比重が大きくて、なこちゃんにとってこっちゃんと二人で作り上げた世界をどれだけ大切かということを感じました。
とってもかわいくて、なんでもできるのに、相手役さんへのリスペクトもあって、あかるくて、みんなから愛される娘役さん、なこちゃん。
星組に組替えして、トップ娘役に内定と聞いたときは、まだまだ子どもっぽさが残って、失礼ながら大丈夫？って思ったこともあったけど、すっかり成長されて、複雑な事情を持つ女性も似合うようになって。
こんなに素敵な娘役さんは、なこちゃんのほかにないと思うようになりました。
なこちゃん、星組で娘役トップになってくれて、ありがとう。そしておつかれさまでした。
卒業されて、より広く大きな世界でのご活躍をお祈りします。