見出し画像

もはや思い残すことはござらん〜雪組『忠臣蔵』

土曜日。12月14日。赤穂浪士討ち入りの日。
スカステでは、午前は雪組『忠臣蔵』、午後は『元禄バロックロック』と、討ち入りに関連した番組編成となっていました。

雪組『忠臣蔵』。元雪組トップスターのカリンチョ(杜けやき)さんのサヨナラ作品で旧宝塚大劇場の最後の上演作品でもありました。少し前まで、スカステでは年末になるとフェアウェル特集のような形で旧宝塚大劇場や旧東京宝塚劇場のサヨナラ特集を放映していて、この作品も放映されていました。わたしはこの頃はまだ宝塚歌劇を生で見たことがなく、したがってカリンチョさんも生で見たことはなく、旧宝塚大劇場の客席の空気も知ることはありませんでした。けれど、年末の特集のなかでこの作品を知り、とても好きな作品の一つになりました。

討ち入りに向けての大石内蔵助以下浪士たちをめぐる人間模様、カリンチョさん、一路(真輝)さんの涼しげなお武家さん姿、女役さんたちの色気。娘役さんの愛らしさ。そんなさまざまな場面を描き出す柴田侑宏先生の脚本、演出。どれをとっても、いい作品だなぁという感慨です。

最終盤。討ち入りを果たした浪士たちが銀橋を行進します。銀橋の白い照明は、討ち入りの朝の雪をイメージしたものでしょうか。そして、花道に一人残ったカリンチョさんのセリフ。

「もはや思い残すことはござらん」

当時の雪組生さんたちのカリンチョさんへの思い、旧大劇場への思い、カリンチョさんの思い。さまざまな思いが伝わる気がします。わたしはカリンチョさんの生の姿を知らないし。旧大劇場も知らないけれど、この最後の場面は何度見ても胸にこみ上げるものがあります。

いいなと思ったら応援しよう!