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宝塚への愛とリスペクト~凪七瑠海さよならショー
先に花組千穐楽の記事を書いてみましたが、あれ?かちゃ(凪七瑠海さん)のさよならショーは?って思われたかもしれません。
かちゃのさよならショーは、花組公演と別に書きたかったのでした。
2003年春、生涯2度めの宝塚大劇場で、初めて初舞台生の公演を見ました。
月組『宝塚花の風土記』『シニョール・ドン・ファン』
チョンパで開いた華やかな舞台の奥から、流れるように現れた禿姿の初舞台生たち。ピンクのお着物に赤いおリボン。かわいかったな〜そのまま口上へと続き。
その公演では、ショーもお芝居も初舞台生が登場する場面がありました。初めてでたいへんだったろうけど、いい経験でもあったろうな。
そして初舞台生ロケットは、天使のコスチューム。腰に小さな羽がついてて、こちらもとってもかわいかったな〜しかもみんな顔がちっちゃくて足が長くてスタイルがいい。初舞台生ロケットといえば小さくてぽっちゃりしたコたちがゴム毬のように飛んだり跳ねたりってイメージ(失礼なっ!)があったので、とてもオシャレで驚きました。みんなで力を合わせて大きなハートに灯をともす…なんて表現したらいいんだろう。ロケットの最後は舞台に大きなハートが現れるんです。そして銀橋を通ってみんなが履けた後、花道からかちゃが一人弓を持って駆け出してきて、ハートに向かって矢を放ってにっこり笑顔。かわいかった〜
そのかちゃも、いよいよ卒業の日を迎えました。89期のトリを務めますね。初舞台でいちばん最初に口上をして、いちばん最後に宝塚の舞台を去る。なんだかじんわり心にしみます。
一度下りた緞帳が再び上がり、大階段の真ん中に真っ赤なお衣装のかちゃが現れました。とても清々しくさわやかな姿です。
「清く正しく美しく」宝塚を語るのに欠かせない言葉、まさにその言葉のとおりです。
最初の歌は、パッション・ダ・ムール。
そうそう、これこれ。いまやかちゃといえば、ロマンチック・レビュー。ロマンチック・レビューといえば、かちゃ。そんな感じです。
続いて、瞳の中の宝石。『バレンシアの熱い花』かちゃが主演で星組で全国ツアーと聞いたときは、どっても意外で驚きましたが、かちゃのフェルナンドはさわやかで素敵でしたね。かちゃの歌う瞳の中の宝石はやわらかく優しく、うっとり聞き惚れてしまいます。
そして、宝塚花詩集100。これは、退団者のなかに100期生のまいちゃん(泉まいらサン)がいることからの選曲なのでしょう。当時月組で一緒だった2期下のゆり(紫門ゆりや)ちゃんと、100期生たちに歌い継ぎます。同期の絆がうかがえる、微笑ましい場面です。
『カサブランカ』『1789』『激情』『蘭陵王』と、かちゃの思い出の役の歌が続きます。かちゃの宝塚人生をなぞるような。けど、たくさんの作品に出演し、主演もしたかちゃだから、ナンバーを絞るのもたいへんだったでしょうね。これは中でも思い入れの深い作品ということなのでしょうか。
『激情』ではひとこ(永久輝せあ)ちゃんのホセも登場。全国ツアーのお二人の熱い掛け合いが思い起こされます。
あか(綺城ひか理)さんは、ロミジュリのベンヴヴォーリオのナンバーを。あかさんの歌声が客席を包み込みます…と、思います。配信なので、そんな気がしただけですが。
最後は花組生に囲まれて、笑顔で華やかに幕が下りました。
ひとつひとつのナンバーを、大切に愛しむように心をこめて歌うかちゃの姿が心に残りました。かちゃ自身がどれだけ宝塚を愛しているか、ひとつひとつの作品にリスペクトを持っているかが伝わりました。
卒業のごあいさつで、声を詰まらせたかちゃ。ここでも、宝塚への愛が伝わりました。
お花渡しはだいもん(望海風斗サン)。89期の主席と次席。切磋琢磨したお二人は、どんな言葉を交わしたのでしょうか。
退団者のひとことでも、ひとこちゃんと花組に思いを寄せる言葉に、かちゃのお人柄を感じました。
あたたかくやさしく、楽しくさわやかなかちゃ。すてきなかちゃが宝塚を去ることが、とっても寂しく思います。わたしのなかでまたひとつ、何かが終わったような気がします。