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「息子は私の原動力」あばゆうさんに聞く、かぞくのカタチ。

こんにちは!Love Makes Family編集部の光です。

既存のかぞくの形に囚われない、新たな生き方のヒントを発信する次世代WEBマガジン『Love Makes Family』、第11回目の連載です。
第11回目となる今回は、新宿2丁目にてお店2店舗の経営、YouTubeチャンネル『おばビアンCHANNEL』の運営と、幅広く活躍されているあばゆうさんにお話を伺いました。

成人した息子さんを持つレズビアンマザーでもあるあばゆうさん。
息子さんとは何でも話せる間柄で、とても仲良し。なんと、『おばビアンCHANNEL』にも息子さんが出演したこともあるとか!

今回はそんなあばゆうさんをゲストに迎えて、『おばビアンCHANNEL』での活動、レズビアンのシングルマザーとしての子育て経験、息子さんとあばゆうさんのパートナーとのご関係などなど、様々なお話を伺っていきます!

【あばゆうさん PROFILE】
新宿2丁目にて飲食店を2店舗経営される傍ら、YouTubeチャンネル『おばビアンCHANNEL』にもご出演中!お店などの詳細は以下をご覧ください!
●『新宿弐丁目横丁 はっちゃけ』
インスタグラム: https://t.co/T1Wh2jK0Tk?amp=1
●『おむすびBAR八「はち」』
ホームページ: https://hachi-omusubi.com/
●YouTubeチャンネル『おばビアンCHANNEL』
https://www.youtube.com/channel/UC-DD5EDPY1E_wc9rfXViOdg/featured

■大人になるって楽しい、を伝えたい!YouTubeチャンネル『おばビアンCHANNEL』での活動。


―あばゆうさんが出演されているYouTubeチャンネル『おばビアンCHANNEL』は、レズビアン女性6名の肩肘張らないトークが魅力で、ストレート女性や男性の視聴者も増えているそうですね!あばゆうさんがYouTubeを始められたきっかけを教えてください。

私は若い時、このままレズビアンとして、男性と結婚せずに暮らしていって、将来どうなっていくんだろうという不安があったんですよね。
でも、実際に歳を重ねてみたら、昔と何も変わらずに楽しいということがわかって(笑)。
だから、レズビアンとしての将来に不安を感じている若い世代に対して、そのままで大丈夫だよ、ということを伝えたくて、『おばビアンCHANNEL』を始めました。
あとは、同年代のメンバーで、もっともっと楽しいことをやってみたいという気持ちもありましたね。

―YouTubeを始めたことで、周囲からの反響も大きかったのではないでしょうか。

そうですね。なかでも嬉しかった反響は、『おばビアンCHANNEL』を見て、久しぶりに新宿2丁目に戻ってきてくれた同年代の人たちがたくさんいたことです。
「YouTubeで楽しんでいる様子を見て、10年ぶりに2丁目に来てみたよ」なんて言ってくれた人が何人もいました!たくさんの人が、明るく楽しい気持ちで2丁目に来てくれたことが、すごく嬉しかったですね。
あとは、配信を見たストレート(異性愛者)の女性からの反響が大きいことが意外でした。「わかるわかる」みたいな共感の声がすごく多いんです!セクシュアリティって実は関係なくて、本質的には皆、考えていることは変わらないんだなあと実感しました。

-『おばビアンCHANNEL』の視聴者はこれからどんどん増えていくと思いますが、今後、『おばビアンCHANNEL』で発信してみたいことはありますか?

私個人としては、子どもを持つLGBTQ として、誰かが勇気をもらえるようなメッセージを発信していきたいと思っています。
『おばビアンCHANNEL』に息子がゲスト出演したことがありましたが、今後はLGBTQの親を持つ子どもとしての意見や考えを、息子に話してもらうような機会が持てたらいいなと思っています。

(『おばビアンCHANNEL』にあばゆうさんの息子さんがサプライズ出演した回はこちらをご覧ください!)

■「生き様が尊敬できる」!息子さんからのサプライズメッセージ


―『おばビアンCHANNEL』に息子さんがサプライズ出演した回では、あばゆうさんへの感謝のメッセージを息子さんが届けるシーンがありましたね。

息子はこれまでも母の日や誕生日にはメッセージをくれていたのですが、多くの人の目に触れる『おばビアンCHANNEL』に出演して、メッセージ動画を贈ってくれるとは思ってもみなかったです。
息子がくれたメッセージ動画は一生の宝物です。あのメッセージ動画を見て、大げさではなく、心から「生きててよかった」と感じました。
メッセージ動画を見ながら、息子の子育てしていた時のことを色々と思い出して、もう、いくらでも泣けましたね。

―息子さんはあばゆうさんのことを「生き様が尊敬できる」と言っていましたね。息子さんとはどのような親子関係なのでしょうか。

息子の思春期が終わった頃からは、息子に対して、良いことも悪いこともすべて、嘘をつかずに話すようにしていきました。
悩み事も仕事の話も、包み隠さず話すことで、息子も自分のことを話しやすくなるんじゃないかと思ったんです。
息子とは対等な関係性でいるように心掛けているので、時には頭を下げることもあります。
あとは、「大好きだよ、愛してるよ」といった気持ちを言葉で伝えることも大切にしています。息子が大人になった今でも、誕生日などメッセージを伝えられる機会には、必ず伝えるようにしています。


■息子さんとパートナーさんが協力してサプライズ!仲の良さを支える「楽しい時間」。


―あばゆうさんには、渋谷区で「パートナーシップ制度」を一緒に結んだパートナーさんがいらっしゃるんですよね。

はい。パートナーは息子ともすごく仲が良いです。
埼玉に住む息子が東京に来た時には、例え私が不在でも、私とパートナーが住む家に泊まっていくことがあるほどです。
『おばビアンCHANNEL』に息子がサプライズ出演した話をしましたが、あのメッセージ動画も、私の不在中に、パートナーと息子が協力して作成してくれたものでした。私は何も知らなかったので、後で知って本当にびっくりしました(笑)。

―本当に仲が良いんですね!息子さんとパートナーさんが仲良くなるまで、時間はかかったのでしょうか。

そうですね。パートナーとは、付き合い始めてから約6年になるのですが、この6年の間に、パートナーも息子も、寄り添う努力をしてくれていたと思います。
私としては、2人が仲良くなるために、何かを働きかけるようなことはせず、成り行きに任せていましたね。
会う回数、笑い合う回数を重ねれば、きっと自然に仲良くなれるだろうと思っていたので、3人でご飯を食べる時などに、より楽しく過ごせるよう心がけていたくらいです。一緒に時間を過ごすことが一番大切だと思います。
ただ、息子が小さい時には、その当時の彼女と息子との関係で、散々悩みました。
「自分と息子のどちらが大事なのか」と、彼女がやきもちを焼くようなこともありましたね。
なので、息子とすごく良い関係を築いてくれている今のパートナーには、とても感謝しています。

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あばゆうさんと、渋谷区でパートナーシップを結ばれているパートナーさん

―あばゆうさんにとって、かぞくとはなんでしょうか?

私にとって、かぞくとは精神的支柱です。
人生のすべての局面で、精神的な支えになっているものが、私にとってのかぞくです。息子もパートナーも私のかぞくで、精神的支柱です。

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■レズビアンマザーでシングルマザー。ひとり息子の子育て。

―あばゆうさんはシングルマザーとして息子さんを育てられたということですが、当時、特に大変だったことはありましたか?

それがあまりなくて、強いて言えば、睡眠時間が取れなかったことくらいでしょうか。
働いて、家事をして、週7回の息子のサッカーの送り迎えをこなしていたら、寝る時間が取れなくて、せいぜい1日4時間寝られたらいいほうでした。でも、やっちゃえば何でもできると思いました。
近所に住むママ友たちの存在には助けられましたね。当時住んでいたマンションにママ友がたくさんいたのですが、交替で子どもを預かって、助け合っていました。

―最近では、ファミリーシップ制度を導入する自治体が増えるなど、LGBTQの子育てに対する認知や制度設計が進むなかで、子育てに興味を持つLGBTQが増えてきました。一方で、どのように子育てをしていけばいいか、不安に感じているLGBTQもたくさんいます。

うちみたいに、子どもが大きくなってから親がLGBTQだと知る場合と、生まれた時や幼い時からLGBTQの親に育てられる場合は、事情が異なるのかなと思います。
子どもが大きくなってから親がLGBTQだと知る場合だと、子どもも親も悩むことは比較的少なくて、親の幸せは親の幸せとして、子どもが受け入れてくれることも多々あると思います。
一方で、幼い時からLGBTQの両親に育てられている場合には、子どもと色々な話をしていく必要がありますよね。子どもから「どうしてうちはお父さんが2人なの?」といった質問をされることもあると思います。
そういった場合には、子どもが自分のかぞくのことを理解しやすくなるように、幼稚園・保育園の先生や地域の人々に、協力してもらうことも考えられると思います。
例えば、私のレズビアンの友人は、子どもから「どうしてお母さんが2人なの?」と聞かれたことをきっかけに、子どもが通う幼稚園の先生に頼んで、LGBTQファミリーを題材にした絵本を幼稚園に置いてもらうことにしていました。
子どもが小さい時って、大人から与えられる情報が100%です。だから、周りの人が協力して子どもに情報を伝えてくれれば、子どもはそのまま素直に理解できると思います。
逆に、社会や周囲の人が、子どもに対して、異性の両親がいることが当たり前だといった偏見を植え付けることはやめてほしいですね。
偏見のない社会は、みんなが努力して作っていくものだと思いますし、いつか、お母さん、お父さんが2人でも普通だということを、皆が当たり前に共有できる社会になればいいと思っています。

―LGBTQペアレンツが安心して子育てをしていくというために、社会が変わっていくことが求められますね。

最近では、着実に、LGBTQファミリーの存在は当たり前になってきていると思います。
今では、身の回りの人に、同性パートナーと子育てをしていることを打ち明けても、「そうなんだね」といった反応が大半だと思います。
その背景には、テレビやYoutubeなどで発信するLGBTQが増えてきていることも関係していると思います。
今後メディアで発信するLGBTQが増えていって、誰もが目にするようになれば、もっともっとLGBTQの存在は当たり前だとなっていくと思いますね。
何にでも言えますが、実際に目にしたり知ったりすると、物事の印象って変わるじゃないですか。

■新宿2丁目で2軒の店を持つオーナー!2丁目の“ジェネレーションギャップ”とは。

―あばゆうさんは新宿2丁目で飲食店2店舗を経営されるオーナーでもありますが、お店には若いLGBTQのお客さんもたくさんいらっしゃるそうですね。

お客さんもそうですし、お店のスタッフも20代が多いです。全体的に見て、今の若い世代は落ち着いているし、しっかりしていると思いますね。
私たちの世代と比べて、セクシュアリティを隠さないといけないと考えている子は少ないと感じています。
実際、若い世代の話を聞いてみると、「中学生の時に、前の席に座っていたクラスメイトもレズビアンでさ」みたいな話がたくさん出てくるんですよ!
身の回りにLGBTQがいることが当たり前で、しかも、SNSで仲間づくりや情報交換ができる環境で思春期を過ごしているので、昔みたいに、セクシュアリティについて一人で悩まずに済んだのだと思います。
将来的に子どもを育てたいと考えている若いLGBTQも増えていると感じます。今後はもっともっと増えていくのではないでしょうか。

―若い世代が増えるにつれて、新宿2丁目という街の雰囲気も、変化してきているのでしょうか。

そうですね。かつては2丁目というと、なかなか1人で足を踏み入れられない印象を持たれがちだったと思うのですが、今は、1人で遊びに来る若い世代がすごく増えています。
最近も、「20歳になったので、初めて2丁目に来ました!」というお客さんがいて、「よく1人で来られたね」と言ったのですが、その子にとってはなんてことないようでした。若い世代は勇気も行動力もあってすごいなあと思っています。
若い世代が増えるにつれて、街全体の雰囲気も明るくなった気がしますね!

―街の雰囲気もどんどん変わってきているのですね。あばゆうさんは、これから、新宿2丁目がどんな街になっていってほしいと思いますか?

もっともっと気楽に、セクシュアリティに関係なく、色んな人が立ち寄れる街になればいいなと思います!
これまでは、新宿2丁目というと、お酒を飲みに行く場所だというイメージが強かったと思うんですが、色んな人が色んなニーズに合わせて、ふらっと立ち寄ってほしいです。
私が経営する店舗も、2店舗ともご飯が充実していて、1軒目から立ち寄れるお店です。2丁目ではご飯が食べられるお店が欲しいというニーズが増えているんですよね。その時々のニーズに合わせて、柔軟に、色々なことをやっていけたらなと思っています。

『おばビアンCHANNEL』では、私が経営するお店の様子を映すこともあるのですが、お店や街の様子を知ってもらうことで、色んな人が安心して遊びに来られるようになればいいなと思っています。

―お店のオーナーとして、Youtuberとして、あばゆうさんのご活躍をこれからも楽しみにしています。最後に、あばゆうさんの原動力はどこから来るのでしょうか?

私はもう、やっぱり息子です。
私が頑張っていて前を向いていれば、息子も「俺も、もっと頑張らなきゃ」って思ってくれるかもしれないから。
息子の存在が、いつも私の力になっています。

ー軽やかに、楽しく、新しい時代の新しい当たり前を作っていくあばゆうさんの言葉には、あと一歩を踏み出すたくさんのヒントが詰まっていました。
どんなに大変な時でも、助け合って、前を向き続けていれば、いつか虹がかかるのかもしれません。あばゆうさん、ありがとうございました!


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ラブメイクスファミリー編集部
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