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妊婦✖ 子どもが欲しいL対談 後半

こんにちは。Love Makes Family編集部の長村です。 既存のかぞくの形に囚われない、新たな生き方のヒントを発信する次世代WEBマガジンがこの度スタートいたしました。


#かぞくってなんだろう シリーズである、第一弾の妊婦✖ 子どもが欲しいレズビアン当事者のお2人にインタビューしました。

前回に引き続き、ステップファミリーでもあり妊婦ののぶちゃんと、これから妊活を進めていきたいイオナちゃんの対談後半です。

 後半の今回は、血の繋がらない子どもとパートナーの関係性や法律面でのこと、また病院についてのことにも迫りました。 


PROFILE
◆のぶ◆
九州出身。30代で都内在住の会社員。
パートナーとパートナーの子ども(7歳)と一緒に暮らしており、自身も2020年6月に妊娠 。現在7カ月目となる。
◆イオナ◆
奈良県出身。25歳で都内在住の会社員。
パートナーと一緒に住んでおり、妊活に向けて約3年前から準備をしている状況。

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イオナ:妊娠前の息子さんとの関係は、のぶさんはどうやって作り上げたんですか?


のぶ:1番最初は友達みたいな関係なんだよね。最初からこいつとはうまくやれそうだなって思ったんだよね。息子からも友達みたいに言われたりね。一緒に暮らしてからはライバル関係みたいになっちゃったけど。
イオナ:ただの友達ではないって認識したからライバル関係になったってことですよね?


のぶ:実際、パートナーのことを『僕のものだ!』って発言があったりね。自分だけのママじゃないって、やっぱり取られるんじゃないかって感じたからだと思うんだよね。だから寝室を別にしたり1人で寝かせたりね。


ー 何か子どもに対して、変えたことはある?

のぶ:自分の気持ちかな。完全な親子関係を目指す必要はないって思ったんだ。ストレスもお互い感じるしね。
 だけど息子といる時間を沢山作ったんだ。そうしたら、こっちに愛情を向けてくれるようになったり必要としてくれるようになった。
 彼との独自な関係を目指したら結果良い関係性になって、形には囚われていないよ。


イオナ:実子ではない点も含め、のぶさんがしてきたことで法的なものとかもありますか?


のぶ:法的なものは、養子縁組をするのかどうかって話はパートナーとしていて、そうしたら自分の存在も子どもと繋がって、確かなものになると思っていたけれど、そう思っている時点でまだまだ気持ちが追いついてなかったんだよね。今は無理して養子縁組は考えてないんだよね。


ー 例えばのぶちゃんの子どもが生まれてきたら、パートナーさんとは法的な関係は作る?

のぶ:もし誰かが死んだらって心配はあるから想定はしている。親権は片方が持っていて、もう一人の親と法的な繋がりはないという状態はとても心配な事でもあるから。
だから、既に自分の財産はパートナーと息子にいくように遺言は書いてある。彼女が亡くなってしまった時のために、未成年後見人の指定は白い紙に日付を書いて印鑑を押した。それで法的な要件は満たすと思うからね。
私から生まれてきた子に対しても同じことをするつもり。ただ遺言は、それぞれに子どもがいる状況だと、彼女とパートナーの息子に対して遺言を残すと相続税が高くなるんだけど、私に実子がいる場合は実子が法定相続人となるから、前に書いた遺言書を書き直して、実子に財産がいくようにしてパートナーに未成年後見人になってもらって、ちゃんと管理してもらうのであればそれが1番相続税が安い。
 生命保険の受取人も、パートナーを受取人にしてしまうと余分に税金がかかるんだけど、それぞれに実子がいれば法定相続人が受け取るということになるから相続税が安くなる。


イオナ:どちらかが亡くなった時の話も時々するんですが、やはり婚姻制度が同性カップルにはないから子どもとの繋がりは自分で動いて守っていくしかないんですね。なかなかハードだなあ…。
 あと、例え亡くならないにせよ、例えば子どもが突然手術をしなければならない時、血縁者じゃない方の母親がその場で手術の同意をすることはできるのですか?


のぶ:養子縁組をしていれば養親として手術の同意は書けるけど、私の場合は、彼女に病院から電話をしてもらって、パートナーシップ証明書を出してもらって同意書を書いてもらうとか、彼女の親に電話してすぐ親族に来てもらうとか…。
ただ、インフルエンザとかで病院に付き添う場合とかであれば問題はないんだけど、麻酔とかの同意書は、公的な証明書としてパートナーシップ証明書を出せるのは、私の地区では大きいかもね。

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ー 今まで証明書の効力を感じたことはあった?

のぶ:あるよ。携帯電話の料金の引き落としとか、銀行や不動産屋で家を買う時に出したよ。そこで契約とかを進めるときにコピーを出したし、ちょいちょい提出してるなー。
ん?って、相手側に思われたら、証明書出せますよっていう心持ちが全然違うよね。

イオナ:キラキラした世田谷区とキラキラしていない渦中の足立区の違い…。


のぶ:でも提出したところは別の地区だったよ。大手企業は、結構ちゃんとパートナーシップを尊重しますってなってるね。


イオナ:自分たちの関係が尊重されるっていうのは大きいなあ…。


のぶ:私の住む世田谷区は、同性カップルも事実婚としてその方向で答弁してたよね。だからもしかしたら、これから保育園とかは入りにくくなると思う。笑

ー まさに1人親ではないって証明だもんね。でも地区によっては、2人親世帯だからシングルとしては認めないし、パートナーシップ証明もできませんという区があったという話も聞きました。笑

イオナ:めちゃくちゃですね…。

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ー 病院についてイオナちゃんからのぶちゃんに聞きたいことがあるんだよね。


イオナ:保育園とか前の段階で悩んでいるのですが、医療機関でのパートナーさんってどんな扱いですか?パートナーシップ証明書を出す機会とかはありましたか?


のぶ:妊活に関しては、その辺が敏感なところで産婦人科学会が私たちのような存在には前向きではないというところがあって、妊活を進めていく時は逆に出すことに慎重になっていくケースが多いんだ。
 ただ特別に全部知っているといった医療機関であれば、一緒に通院したり、パートナーだって言えるけど、多くの場合は、パートナーは存在していなくて、提供者と事実婚のていでいくことが多いかな。
 妊活中、妊活の薬が合わなくて緊急入院したことがあってね。さらにちょうど通ってた病院の主治医が休診だったからその時はすごく焦った。

他の病院で学会のガイドラインのことももちろん知っていたから、保守的な病院だろうなって思って、その場では旦那さんは出張が長くて連絡がとれないなどと誤魔化したんだ。
こどまっぷと相談しながらどう進めるか考えたけど、どこの病院に行っているのか書かなきゃいけないから、海外出張している夫の妹と暮らしているってことにして、本当はパートナーだけど病院側には近しい関係性だって疑われないように、病状説明とかも彼女と一緒に親族として怪しまれないようにしてなんとかやれたけど…気持ちの良いものではないよね。


ー こどまっぷとしては、紹介している病院のことも守りたいからそう言うこと(結果的にパートナーと言えず親族の扱い)になってしまったわけだけど…妊娠していないイオナちゃんはこの状況をどう思う?



イオナ:コロナもあって、たとえ準備期間でも、妊活始めましたが中々授かりませんってなった時に、のぶさんの時のようなトラブルがあったり、そもそもどこでどう進めていいかわからないっていう情報の少なさがひたすら不安です…。


のぶ:その時は命も危ないって言う状況の中で、一生懸命頭を回転させて説明を考えたんだよね…。説明をすることが苦手な人は、こういう場面をどう乗り越えるんだろうとも思ったよ。そして自分が意識のない状況だった時に、パートナーの行動を想像したら、彼女は突破しちゃう人だろうから、パートナーシップ証明書を堂々とかざすだろうなって思った。
でももしそうなったら、こどまっぷが紹介してくれたセクシュアルマイノリティでも安心して受けられる病院が他の病院に知られて、それがどこまで大きな問題として広まっていくのか…という展開を考えてしまったんだよね。

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ー このような事態っておかしいから、変えていきたいよね。ただ社会に投げかけるのも大事だけど、今ある少ない友好的な病院が万が一なくなったら本当に困るから、そんな時でも相談してくれたのはよかったし、次の人たちが困るから本当によかった。


のぶ:私がまだその病院で子どもを作りたいって気持ちが優先したから、自分のことを優先に考えちゃったよ。

イオナ:一歩間違えたらって思うと…怖いな。



ー 2人に聞きます。これらも踏まえた上で日本の現状どう思う?



のぶ:すごい解せないと言うか。納得いかないところがあって。
 妊活でかなりの費用がかかったけれど、男女の夫婦のように不妊治療の助成金とかが出ない。本当だったら生まれてきた後に使いたかったお金なんだよね。
 東京都が出しているものと区が出している不妊の助成金があって、パートナーシップ制度を導入している世田谷区からだけでも出して欲しいなあってすごく思った。金額が区の方がずっと低いから裁判してまではやれなかったけど、何回か問い合わせも試みたけど、ダメだった。
 子どもがこの区で育って大人になっていくという点を思えば、私たちのようなかぞくには、住んでいる区からの応援がないんだなって思うと、妊活中のメンタル面では結構嫌だった。

ー 私たちが子どもを持つときに応援されないって言うのが感傷的な気持ちになるよね。

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イオナ:後ろ盾がないっていう漠然な不安があって。 子どもが欲しいと思っている異性カップルと同じ気持ちで思われているのだろうけど、阻害されているというか、その枠にも入れてないというか…。
 悲しいという気持ちもあるけれど、自分たちの子もその枠に入れないというリスクもあるんだなって思う。今は、私とパートナーに対する弊害は自分たちで工夫して、多少我慢していけばなんとかなるだろうけど、私たちに子どもができたらその子に関わることまでも、仕方ないかそういう国だし、なんて思えないと思う。


ー 一区民であり一国民であり、カウントされていない感じは大きいなって思う。


イオナ:それは子どもができたら、と思うと不安が大きいです。


のぶ:パートナーの息子は、ママ二人でって生まれた時から説明を受けているのね。
 ただ私たちはアメリカで結婚したっていうのもあるし、アメリカでは同性同士でも結婚できるからそもそも同性だからできないことはあんまりないって環境で育ってきているけれど、例えば今、私たちが亡くなった時、一般的な家庭であれば、パパママのおうちであれば当然に片方が亡くなった時にもう片方が当然育てていくことになるけれど、私たちの場合はそんなスムーズではない。
 裁判所が入ってきて、未成年後見人※として指定されていたとしても、財産管理とかっていうのは裁判所に言われることになるし、何か問題があった場合は最悪一緒に住めなくなる。それらの事実を知った時に、息子はどう思うんだろうなって思っている。息子にはあまりよくは思われないよね。
ママが大好きだから、この家に生まれてこなければよかった、自分は保証されていない、とかは言わないと思うけれど…。

※未成年後見人(みせいねんこうけんにん)…日本の民法の制度の一つで、未成年者に対して親権を行う者がいない時、または、親権を行う者が管理権(財産に関する権限)を有しない時に、法定代理人となる者のこと。


イオナ:子どもが『僕はどうなっちゃうんだろう…』って考えざるを得ないっていうのが、異性カップルとは違って、私たちの力ではどうしてあげることもできないっていうところですよね。


のぶ:アメリカの訴訟とかでも、そういう家庭の子どもたちが声を上げるところから不平等を訴えている。



ーイオナちゃんは生まれてきた子をどう育てたい?

イオナ:どうなんだろうなあ。
のぶさんのかぞくのお話を聞いて、そうだなあって思ったのは、違って当たり前なんだなっていう価値観で育ってくれたらいいなって思っています。人とはそれぞれ違うっていう世界で生きて欲しいなあ。


ー 後ろ盾のない社会で生まれてきた我が子にどう伝えたい?

のぶ:愛し合って子どもが欲しいなって思ったし、息子が兄弟が欲しいって言ってくれたから、私も子どもが欲しいって思ってできたんだよって伝える。生まれてくる子供にも、息子に伝えているように望まれて愛されて生まれてきたんだって説明をしたい。
 彼女と出会った頃のことだけど、息子が2歳の時に私は他人として彼女の話を聞いていたんだよね。その時、彼女は息子に対して誇りを持って生きて欲しいって言っていたんだよ。すごい良いお母さんだなって思った。
 私は自分のかぞくを大事だと思っているし、いいかぞくだって思っているから、我が子にも大好きなかぞくになって欲しいなって思っている。何も恐れることもなく、愛されてきたって実感を持って、このかぞくを誇りに思って欲しいと思っている。


ー のぶちゃんの話聞いてどうだった?

イオナ:1番大きい収穫は、親子関係の話ですね。相続とかはどうするんだろうって思っていたから、それが解決できて嬉しかったです。私が今まで話を聞いたことがある2人ママやパパとは違うステップファミリーの話は新鮮で、まだまだ聞きたいことも増えたり、色々知ることができてよかったです。



ー さて、最後の質問です。あなたにとって「かぞく」ってなんですか?



のぶ
守りたいもの。
守りたいものって自分の人生のテーマだったから、広く言えばともだちとかもかぞくだけれど、一緒に住んでいる住んでいないは関係なく、守りたい存在。

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イオナ
何でもかんでもじゃないけれど、最強の味方っていうのがかぞくかなあって思っています。
仕事の愚痴とかも言うし、自分の嫌なことも言ってくれたり、この人なら最終的に私の味方だなって思える存在。子どもにとってもそうでありたいです。

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お二人ともありがとうございました!


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一般社団法人こどまっぷとは.. 「子どもが欲しい」また「子どもを育てている」
LGBTQの方々や、応援する仲間たちを 繋げる非営利型の一般社団法人です。
日本に限らず世界のメンバーとの情報交換や交流会を行ったり、日本全国で交流をするための場所を創っていくことを一つの目標としています。
また、各ライフステージで必要となる専門家を紹介したり、絵本を出版したり、親だけではなく子どもたちの繋がりをサポートし、 LGBTQのかぞくがより住みやすい社会を目指して、当事者を中心に活動を広げています。https://kodomap.org






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ラブメイクスファミリー編集部
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