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俺たちのレジェンド
ここ最近、「龍が如く 極み2」のゲーム実況を見ていて、何が嬉しかったって、天龍源一郎、長州力、藤波辰爾、武藤敬司、蝶野正洋が一堂に会しているのを久しぶりに見れたことだ。
私が10歳くらいの時、母親が新日本プロレスをよく見ていた。
当時は、土曜日の夜中にテレビで「ワールドプロレスリング」という番組が放送されていたのだが、「電気代がもったいないから」と言って電気を消し、こうこうと光るブラウン管テレビの前につくねんと座り、ビン底メガネをかけて、食い入るようにプロレス中継を見ていた母親の後ろ姿を、今でも忘れることができない。
そんな母親の影響もあり、また、当時は、武藤、蝶野、橋本の「闘魂三銃士」がとても人気でバラエティ番組やCMにもよく出ていたこともあり、私もプロレスを見るようになった。
私の初東京ドームは、野球でもアイドルのコンサートでもない。毎年恒例、新日本プロレスの「1.4東京ドーム」イベントだ。
カセットテープで録音したプロレス実況を、ニヤニヤしながら聞いている小学3年生女子など、私くらいだっただろう。
思い出すのは、その頃の夏にG1クライマックス、という新日本プロレスで一番強いレスラーを決める大会で、長州力が負け続けていた時のことだ。
私は、長州が好きだった。10歳にして当時40歳のロン毛のおっさんを好きになる、という、我ながらなかなかに渋い趣味である。
藤波が黒パンに黒ブーツというスタンダードなコスチュームであるのに対し、長州は黒パンに白ブーツ、という、ちょっとイキっている感じが良かったのかもしれない。
その年の長州力は不調であった。G1クライマックスでは黒星続きで、外国人選手にも負けていた。
得意のリキ・ラリアットを相手に食らわせば、自分の腕も痛い。
十八番のサソリ固めをかけて相手の足を締め上げれば、自分の膝と腰もダメージを食らう。
これまで散々、闘いで酷使してきた身体が、加齢によりいう事をきかなくなっているのだろうか。腕や足を痛めて苦悶している長州の姿は、見ているこちらも心が痛んだ。
長州力は引退するのではないか。そういう雰囲気があった。
私は辞めてほしくなかった。必死に長州にファンレターを書いた。「ちょーしゅーさん、やめないでください。」「ビガロに負けたくらいで、やめないでください。」
全部で4通、ファンレターを送った。
そして秋に、長州力は復活した。
何を言っているのか、聞き取ることが非常に難しいマイクパフォーマンスとともに。
「武藤!蝶野!橋本!お前ら世代交代なんて大間違いだぞ!」と言っていたのだ、と確認できたのは、後日の週刊プロレスの記事を読んでからだった。
私は、リングアナウンサーのケロちゃんも好きだったので、ケロちゃんにもファンレターを書いていた。ケロちゃんは年賀状をくれた。流石の筆まめさときめ細やかなファンサービスである。
長州は、私が4通も書いたファンレターに1度も返事をくれることはなかったが、彼が70歳を過ぎた今でも、テレビでパフォーマンスをし、お茶の間を沸かせているのは、当時10歳の私のファンレターのお陰ではないのか、と密やかに思っている。
そんな思い出がよみがえり、「龍が如く」で当時大好きだった長州や武藤を見ることが出来たのは嬉しかった。
そういえば、私が高校生くらいの頃、地元の小学校で、「藤波辰爾とあそぼう」という、プロレスファンからすれば嘘みたいなイベントが行われた。新聞に入っていたそのイベントチラシを見た母は、興味津々で行きたがったが、当時ティーンエイジャー真っ盛りだった私は、「お母さんやめて。私は行かないから。」と言い放ったのだった。
今にして思えば、記念にドラゴンスリーパーくらいキメてもらえば良かったと思っている。
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