千駄木ぶらぶら
正月休みに、聖地巡礼に行こうと思った。
吉本ばなな「下町サイキック」の表紙絵が千駄木の白蛇坂である、という情報をゲットし、これは是非とも表紙絵と同じ風景を写真に収めたいと思ったからだ。
ついでに根津神社へお参りをして、おみくじをひき、一年の吉凶を占おうという算段。
聖地巡礼の日は、小雨も降っていて非常に寒い日だった。
GoogleMapで検索すると、白蛇坂はこのあたり、と出てくる。千駄木駅から歩いて6分くらいのエリアがそうらしい。
GoogleMapの経路をたよりに歩いていく。
しかし、千駄木は坂が多い。
というか、東京は坂が多い。
私は田舎育ちなので、近所は田んぼか畑、という環境で育った。
こんなに坂が多くちゃ、チャリ通(自転車通学のこと)なんて絶対無理じゃん、と思った。
歩いていくと、森鴎外記念館のあたりに案内された。
このへんが白蛇坂らしい。
見える景色が「下町サイキック」の表紙絵とは随分違う。
たぶん、通りが一本、二本違うのだろう。
私はウルトラ方向音痴なのだ。
今いる場所がGoogle Map上でどこなのかも、今どこに向かって歩いているのかもよくわかっていない状態で、再び歩き出し、全く同じポイントを見つけ出す根性は無かった。寒かったし。
早々に、「下町サイキック」の表紙絵と同じ風景をカメラに収める、という目標をあきらめて、おみくじを引くべく根津神社に向かった。
千駄木・根津エリアを歩いていると、坂も多いが、個人で営んでいるお店が多く、なかでも喫茶店やカフェなどの飲食店が多いな、という印象だった。
こだわりを持っていて、地元の人に愛されているお店も多そうだった。
家のつくりも結構バラバラで、びっくりするくらい大きくて立派な家もあれば、人が住んでるのかな、という感じの家もあったり。
坂の上と下では、住んでいる人たちの雰囲気が違う、ということを吉本ばななの何かの本で読んだ気がするが、それってまさに、韓国映画の「パラサイト」の世界。
当たり前だが、自分が住んできた田舎とは街のつくりが全然違うなあ、と思う。田舎というか地方は車が主な移動手段だから、国道などの大きな通り沿いに、イオンモールやイトーヨーカドーみたいな大きなショッピングモールがどん!と建てられ、大きな駐車場もあって、食品や衣料品、電化製品や雑貨の店が入って、そういう複合商業施設の中で大体の買い物が完結してしまう。
吉本ばななの小説に描かれる風景は、ご自身の生まれ育った千駄木のような街の影響をうけていて、小説のあの世界観が生まれるのか、としみじみ。
根津神社は、どこかの会社の偉い人が高級車で乗りつけてお参りをしていたり、受験生がおみくじをひいていたり、それなりに賑わっていた。
ひいたおみくじは「吉」だった。
「大吉」の次に良いとされている「吉」だけど、割とふつーのことが書いてあるな、と思った。
「大吉」だと、慎まなくてもハッピーになれるんだろうか。
新年早々、目的を達成し損ねたけど、おみくじの結果はまあまあだったので、良しとしよう。
とりあえず、慎んで努力を惜しまず、健康で楽しく生きていこうと誓う2025年です。