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アダルトスクール ESLクラス

以前、こちらの記事で、アメリカのアダルトスクールについて触れた。
アメリカの滞在期間がESTA適用内の3ヵ月以内だったり、すでに滞在に必要なビザ・ステータスを保持している人、、、観光ビザを持っている人、駐在員の奥さんや、グリーンカードロトに当選した人などは、アダルトスクールのESLクラスで英語を学ぶのは結構おすすめだ。費用が格安だし、白人中心の海外ドラマでは知ることのできない、アメリカの一側面を見ることができると思う。私は私立の語学学校にも通っていたこともあるが、それぞれ、費用、学生の雰囲気、学ぶ英語の内容が全く違うと感じた。

学費
私立の語学学校は基本的に入学金・授業料・教科書代が高額だ。授業は、月曜日から金曜日まで、1日3時間の授業を受けて、1ヵ月1,000ドルくらい。教科書代は、Reading、Grammer、Writingの授業用に一式そろえると、200ドル近くなる。
一方、アダルトスクールは市の税収で運営されており、授業料が無料だったりする。費用がかかっても、3ヵ月で10ドル程度だったと思う。各市によって異なるので、気になる人は調べてみてほしい。

学生たち
私立の語学学校もアダルトスクールも、幅広い年齢層の学生がいる。
語学学校は10代から20代の若い年齢層が多い印象だ。高校生や大学生が海外留学で来ているのだろう。THEアメリカ生活を満喫している感が漂う生徒が多い。
アダルトスクールは、多い割合でいるのが駐在員の奥様たち、それと、ラテン諸国、アジア、中東、アフリカ諸国等からの移民勢だ。
移民勢は、グリーンカードや市民権を得たものの、英語があまりできない。英語を使わずとも働ける時給制の仕事で生活を立てながら、せっせとアダルトスクールのESLクラスへ通い、英語力を磨き、よりよい仕事に就けるように頑張っている。

授業
語学学校の場合はコース内容にもよるが、ベーシックなコースであれば、1回3時間の授業の内訳は、Reading、Grammer、Writingをそれぞれ1時間やるという構成が多いのではないだろうか。授業内容はわりとアカデミックで、私の通っていた時は、Readingの授業で、パウロ・コエーリョの「アルケミスト」を読み、Writingの授業では小論文を書いた。コースのレベルが高いと、取得した単位を使って短大へ転入できる制度があるので、そういったことも見越した授業内容だったのだろう。
一方のアダルトスクールは、もっと生活に密着した英語を学ぶ。例えば、就職面接のときの受け応え、仕事に遅刻しそうなときの上司への言い訳、薬局で処方箋を貰うときのやり取り・・・等々、アメリカで生きていくために必要なサバイバル英語を学ぶ。教科書はこれといってなく、先生たちが作ったプリントを使って授業が行われる。先生たちの指導レベルは、というと、私の印象では私立の語学学校の先生と同じくらいだ。ただ、英語レベルによるクラス分けは細かくなく、カリキュラムも語学学校ほどはしっかり組まれていないことが多い。ある程度の英語力がある人は、物足りなさを感じるかもしれない。

どちらがいいか、は目的によって異なる。
学生ビザを取得する必要があれば、I-20を発行してくれる学校へ通うしかない。英語を学ぶだけでなく、アメリカ滞在に長期的な視野を持っているのであれば、しっかり単位を取得することが出来る語学学校へ通った方が、短大や大学へ進学できる可能性が高まるし、就労ビザ取得の可能性も出てくると思う。
どちらが英語力が伸びるか?は、今の英語力がどの程度か、と現地でどれだけ日本語の通じない人たちと関わったかによると思う。
英語が得意な人であれば、クラス分けのしっかりされた語学学校の高いレベルのクラスに通った方が、英語の勉強はしっかり出来ると思う。しかし、高いレベルのクラスには日本人も多い。
物怖じせず、自ら積極的に話しかけられる人であれば、アダルトスクールのほうが、話す力は伸びると思う。教科書がない分、ディスカッションの時間が結構多いからだ。表現力も、他の人が使っているフレーズを聞き取って「ああ、こうやって言えばいいのか」と真似すれば、結構身についていく。
また、アダルトスクールをお勧めする点としては、移民勢の多様性と、彼らのたくましさ、アメリカの生活の過酷さを感じることが出来る点だ。皆、いろいろな思いで祖国を後にし、中には、もう戻らないと決め、アメリカでそれなりに安定した生活ができるように、働いて働いてたくましく生きている。そういう彼らと仲良くなった経験は、難民や国境沿いで非人道的な扱いを受けた人たちのニュースを見た時の、感じ方を変えると思う。
日本では「難民」「国境」「移民」と言われてもあまりピンと来ないけれど、私が仲良くしていた人たちは、その渦中にあったかもしれない(もしくは実際にあった)人たちなのだ。
ドナルド・トランプが2016年に大統領選に出馬した時、クラスの皆、「DUMP TRUMP!(くず野郎トランプ)」と言って怒っていたのに、まさか当選してしまうとは。しかも2回も。
個人的には、英語の勉強が出来たのは語学学校だったが、多様な人と触れあったり視野の広がりを経験させてもらったのは、アダルトスクールでの経験だった、と思う。

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ルル秋桜
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