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40歳以上で1級建築士になる

私は50歳で1級建築士に合格しました。
合格者の結果発表を見ると、
合格者の比率は24~26歳が最も多く、
30代後半が最も少ないことが分かります。
ただし、40歳以上は一括りで発表されているため、
具体的な傾向が把握しにくい状況です。
ここに40代で受験する厳しさを知ります。

受験資格の変更により、
若い世代も受験しやすくなり、
社会人5年目までの世代が取得しやすい傾向
が読み取れます。
20代後半から合格者数が減少するのは、
職務の責任が増え、勉強に費やす時間が
制約されることが明らかです。
私もそうでしたが、仕事が楽しくなる頃です。
しかたがないです。。。
ただし、40代以上で若干、増加するのは、
実務経験によるアドバンテージが
他の世代よりも存在するとポジティブに
捉えることが、気持ちの上でも肝要です。

個々の状況に合わせて調整することが重要ですが、
私の合格までのプロセスをご参考にしてください。


1. 1級建築士受験を目指して

まず最初に取り組んだのは、
7月末に近年の過去問に挑戦することでした。
何の準備もせずに過去問に臨んだ結果、
散々なものでした。
どうしてそんなことをしたのかと
お思いでしょうが、
これは実務経験が全く役に立たないことを
理解することが重要だと思ったからです。
なぜなら、
勉強せずに経験だけで受かるのであれば、
そもそも本試験を受験します。
どの程度、できないか?忘れているか?を
正確に把握することが
合格への鍵だと考えたからです。

2. どこで学ぶ?

学科の試験対策には様々な方法があり、
自力学習や資格学校も一般的な選択肢として
挙げられます。
しかし、私が選んだのは通信講座での学習です。

  • 自力学習

 勉強範囲が広すぎて、試験に不必要なことを
 覚える可能性があり、必要な知識を見落とす
 可能性があるため、効率が悪いと言えます。
 傾向と対策が分からず、勉強するは個人的には
 無理と思います。

  • 資格学校

 費用が高いことや20~30年前の勉強した内容を
 忘れてしまっていることが
 そもそもの問題であり、これらの内容を
 再学習する必要があるのか、
 若しくは、最初から学び直す必要があるのかと
 感じました。
 1年間以上、週1回、通学できるか?との
 仕事との兼ね合いもあります。
 勉強時間を柔軟に変更できないという点も
 不便だと思います。

  • 通信講座

 通信講座は、比較的に安価であり、
 効率よく必要最低限のことに絞って
 合格点を目指す。
 実務経験が豊富な方々にとっては非常に
 勉強しやすいと思います。
 不要な講座はスキップしても問題ありません。
 勉強時間もフレキシブルです。

どの方法で学ぶかは自分の現状を把握した上で
決めた方が良いと思います。
ただ、自力学習は受験のベテランでない限り、
やめた方が良いと思います。
傾向や対策など勉強以外に
考えることが増えるので
本当に効率が悪いと思います。
ちなみに、学科の勉強が実務に役立つかは
何とも言えないですね。

3. 学科の勉強方法

各教科の対策は反響に応じて別途、
投稿しようと思います。

8月~12月の5ヶ月間で
基礎学習をしました。
今はネットなどで調べることも可能ですし、
勉強しやすい世の中だなぁって
思いながらしてました。
ただ、基礎学習においても
問題文の正解文を引用しながら
覚えたことが良かったです。
実際にはそれってどうなのって
思うこともありましたが。。。
とにかく、「合格の為」、
正解文を暗記すること。
あと、用語の確認は怠らずですね。
今はカタカナ用語や
アルファベット3文字用語など
昔と言い方が違ったりとか頭の中を
現代の受験生にブラッシュアップする
必要がありました。

1月~7月は過去問をずっと解いてました。
通信講座の問題集と書店で購入した
某資格学校の問題集・構造計算の
問題集を3周くらい解きました。
この間で解いた総問題数は約6,000問☓3周です。
正解率の悪い問題は理屈抜きで、
一語一句、暗記しました。
空き時間は全て使いました。
休憩時間、移動時間、食事の時間も横において。

4. 学科試験

学科試験当日は周りを見て、
みんな若いなぁって思ったら
緊張がほぐれました。
それは例年必ず出題される部分は
学科の勉強で押さえてあり、
新しく出題される部分は今までの実務経験から
回答を導けると思っていたからです。

当日の採点など色々とありましたが、
結果を言うと、
この年、学科試験を合格しました。
合格点は基準点より、
各教科+2~3点で、
目指した「必要最低限の合格点」通りで、
一安心しました。

5. 過信による過ち

私は専門学校卒業後、社会人になり、
ずっと設計事務所に勤めています。
今はCADを使いますが、
入社当時は手書きの時代でした。
製図には自信があり、
通信講座の内容さえできれば
合格できると過信したのが過ちでした。
そして、見事に落ちました。
なぜ、クリスマスに合格発表するのか?
と思いました。
年始と年末は落ち込んで過ごし、
気持ちが沈んでいました。

年が明けて、通知書を見て、
衝撃的なショックを受けます。
落ちてもカテゴリーⅡ・Ⅲと思ってた結果が、
まさかのカテゴリーⅣでした。
これには根本的な何らかの原因があると考え、
原因究明を自分なりに行いました。
そして、出した答えは実務の設計と異なり、
製図試験に対する設計手法を
覚える必要がある。
なぜならば、
一つ目は採点方法・採点基準が
分からないからです。
二つ目は実務では顧客と協議・検討し
設計するが、製図試験は自分の一方的な
考えで書きます。
正確には、
出題者の意図を理解して書く必要がある。
三つ目は製図試験の最中に感じた違和感。
これは資格学校に通っている方々の
書き方が不思議に感じました。
どうしてそんな書き方してるんだろうと。。。
そこに、大きなヒントがある気がしました。

2~3校ある大手資格学校のパンフレットを
取り寄せて、読んでも正直、
学校の違いは判りません。
結局、一番、通いやすい場所を選びました。

6. 製図の勉強方法

試行錯誤した実際の対策は反響に応じて別途、
投稿しようと思います。

製図の勉強は、課題発表前後で前半と後半に
区切られます。
前半では主に過去の課題に焦点を当て、
後半では予想課題を行います。
試験後に振り返ると、
前半戦で採点方法や採点基準、
出題者の意図に加えて、
課題では現れない付随する要素
(例:計画の要点の書き方、出題者の意図を
理解した回答方法)を理解すること。
回答方法を覚えたことが役立ちました。
これらの知識を獲得できたことが、
合格の要因であったと感じます。

最近の製図の課題は、
サブタイトルのない主体用途のみの
課題が主流です。
私の受験時は「事務所ビル」「図書館」が
出題されました。
これは非常に難解で、
当日の対応力が求められる厳しい問題ですよね。

試験の製図法を学習するために、
学校ではエスキスの仕方から
再学習しました。
正確には、新たに試験製図法を習得しました。
減点を避ける方法や試験での作図手順はもちろん、
使用する製図用具も慎重に選びました。
学科とは異なり、前日に暗記などをすることなく、
早く寝て翌朝を迎えるようにしました。

7. 製図試験

試験の特徴として、会場や席には差があります。
書きやすい場所を期待して会場に入ると、
座席は長机の中央に1人席、左右に1席ずつの2人席が
前後に交互に配置されていました。
私は1人用の机がある場所を熱望しましたが、
残念ながら。
私の受験番号の席は2人席の右側でした。
利き手側に置くスペースもなく、
最悪でした。

今年の課題では、
要求室の最低限の記載しか求められず、
必要な室や面積は自ら設定する必要が
ありました。
前半の勉強で得た知識が
本当に役立ちました。

私は試験の2週間前まで時間内に
完成しない状況でした。
どうしても、
仕事上、きっちり書く癖が治らず、
時間より仕上がり優先と
なってしまいます。
こんな職業病はいらないです。
本当に。。。

当日もギリギリまで時間を使ってしまい。
見直す時間もなく、
補足事項などの追記も8割程度の
完成度だったので、
自分の中での完成予想図と
実際の答案図を比較すると見劣りし、
今年もダメかぁと試験を終えました。

試験後に、資格学校に戻り、
回答の復元を試みました。
これが想像以上に、辛い作業でした。
気力を使い果たした後に思い出し、
書き直しました。
本当にきつい作業です。
そして、受験生活で一番、
辛い一日を終えました。

8. 合格発表までの悪夢

見直す時間がなかったため、
何度も夢に出てきます。
道路の斜線を書き忘れた夢が。。。
悪夢です。
エスキス用紙には計算式などが
残っていますが、
答案用紙に書いた記憶がありません。
不安が次第に募っています。

復元した図面による答え合わせの日、
道路斜線の書き忘れは適合していれば、
法不適合に該当しないと
教えてもらい一安心のA判定を頂きましたが、
でも悪夢は続きます。
書いたはずのものが消えている夢など。
合格発表まで悪夢を見続けました。
やはり、試験後、
落ち着いて暮らすには見直しが必要です。

やっと、合格発表当日。
世の中、クリスマスです。
なぜ、こんな日を選ぶのでしょうか?
朝一でのアクセスは混雑し、
繋がりにくい状況の中、
結果をダウンロードして、
受験番号の確認です。
検索で探さず、
ホイルマウスをクルクル回し。。。
番号があった時の感動は忘れられないです。
そして、悪夢もすっかり出ません。

9. 試験を終えて

書きたいこと、
伝えたいことはまだまだあります。
息子より若い子に教わったり、
様々なことがありました。
また、ここに書きたいと思います。
学科・製図ともに効率よく学習するには、
謙虚になり、
試験対策を学ぶしか方法はありません。
建築ではなく、建築士試験対策を学ぶのです。
製図は見直しが重要です。
ただ、私の場合、作図順番や
書かなければならないことを徹底したため、
書き忘れが少なく済んだ結果だと思います。
もちろん、回答図は法適合した上での話です。

長文をお読みいただき、
ありがとうございました。
私に関する質問や勉強法についての疑問があれば、
どんどん、リクエストをください。
これから受験される方のお手伝いが
できれば嬉しいです。

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