【短編台本】帷の怪盗:4人用
男2:女2:不問0
■ 概要
ジャンル:恋愛
公演時間:10分
※(N)は独白
【✿】は効果音
()の中の文は動作や描写
■配役
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クイーン(N):帷が下りる。その様子を見て、私はまた…あの怪盗を思い出してしまう…。
【✿】電車の音
クイーン(N):あの怪盗に、早く会いたい。惹き込まれるような甘い香りと声。:
クイーン:ジョーカー様…
【✿】猫の鳴き声
クイーン:ジャック、どうしたの?
クイーン(N):その時、窓の外から何かが飛んできた。
(トランプが飛んでくる)
クイーン:え、トランプ?…」
クイーン(N):それは、JOKERのトランプだった。そこには短く、こう書かれていた。
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※ジョーカー役が独白
針交わりし
子の刻...
愛しき宝を
頂きに参る
怪盗ジョーカー
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クイーン(N):このカードを見た時、あの怪盗と初めて会った日のことが鮮明に蘇ってきた。
■5年前…
ジョーカー:っ!…っ!てあっ!
(ジョーカーは家々の屋根を飛び移る)
ジョーカー:よっと……ふぅ。
ジョーカー:待ってろよ…漆黒の金剛石…
ジョーカー:っ!…っ!(また飛び移る)
●クイーン家:PM22時50分●
【✿】電車の音
クイーン:〜♪(鼻歌)
クイーン:だいぶ涼しくなってきたな〜。
クイーン:ふわぁ〜…(あくび)
クイーン:もうすぐ、秋ね…
ニュース:ここで、速報が入りました!なんと、本日セカンド博物館に、怪盗ジョーカーから予告状が届いていたとのことです!
クイーン:えっ?!ジョーカー様?!
二ュース:警察の情報によりますと、ジョーカーは本日セカンド博物館に展示が開始される、漆黒の金剛石が目的とのことで、警察は厳戒態勢で…
クイーン:あのジョーカー様が、ついにこの街に…
クイーン:もしかして、奇跡的に見れたりしてっ…きゃぁぁぁぁ///(照)!
【✿】ドアを開ける音
クイーン母:クイーン?叫んでないで、そろそろお風呂入りなさい?
クイーン:えっ?!あ、はーい!
●セカンド博物館:PM23時00分●
キング:おいエース!遅いぞ!
エース:す、すみませんっ
キング:ったく、最近たるんでるぞ!
エース:たるんでなんていませんよ…
キング:いぃや!たるんでる!なんだそのヨレヨレの制服は!
エース:ほえ?!…ほ、ほんとだ
キング:(大きなため息を吐く)
キング:あのなぁ、今日はなんの仕事を任されたか、忘れたのか?
エース:え、えーっと…博物館の守衛です。
キング:うむ、概ね正解だ。
エース:やったぁ〜
キング:馬鹿野郎!一番大切なことを忘れてるってんだ!
エース:一番、大切なことですか?
キング:(また大きなため息を吐く)
キング:先日、怪盗ジョーカーからの予告状がこのセカンド博物館に届いた。
エース:え、あのジョーカーからですか?!
キング:そのため、国内外問わず、総勢6000を超える警官…その他もろもろが集まった。
エース:……
キング:予告状にはこう書いてあった…。【帷が満ちし時、【漆黒の金剛石】を頂きに参上する。守れるものなら守りきってみるがいい。 怪盗ジョーカー。】とな。
エース:かなり挑発的ですね。
キング:あぁ、だからこそ…俺はなんとしてでも、奴を逮捕し、豚箱の中に放り込みたいんだ。お前も、警官としての威厳を持て!
エース:先輩…。私、精一杯頑張ります!
キング:わかってくれたんだな。
エース:はい!ジョーカーが現れたら…すぐ先輩に連絡します!
キング:…もうお前とは相棒解散だ。
●ビッグ・ベン付近:PM23時30分
【✿】電車の音
ジョーカー:…満月か。俺が一番好きな月だ。風向きも上々。
ジョーカー:ふぅ…(息を吐く)
ジョーカー:さぁてと…
(ジョーカーは黒い帽子を被り直す。)
【✿】指を鳴らす音
ジョーカー:レッツ…ジョーカータイム…♪
(ジョーカーはビッグ・ベンから飛び降り空を飛び始める)
●セカンド博物館前
エース:…ジョーカー、まだ来ませんね。
キング:焦るな。奴はいつどこから来るかわからない。気を引き締めろ。
エース:わかりました…。
(間)
エース:先輩?
キング:あ?なんだ
エース:先輩は、ジョーカーを見たことはあるんですか??
キング:(黙る)
エース:あれ?先輩?
キング:仕事の最中だ。そろそろ私語を慎め。
エース:はい…
キング:…
エース:…
エース:先輩?
キング:なんだ?
エース:お、お…お
キング:なんだようるせぇな。(イライラしてるように)
エース:…おしっこ。
キング:とっとと行ってこい!(ブチギレ)
エース:はい!
(エースは博物館内に入る)
キング:ったく…警官としての心構えがなってない…これだから最近の新人は…
(と、そこに警官が歩いてくる。)
※中身はジョーカー
警官:お疲れ様です!キング警官!
キング:失礼だが、君は誰だ?
警官:はい!パリより参りました!シリウス・カースと申します!
キング:カース君だね。
警官:よろしくお願いします!
(2人は握手する)
キング:うむ、いい返事だ。ところでカース君は、ここへ何しにきたんだい?」
警官:博物館内の警備がありまして…
キング:館内?すでに60人ほどいるはずだが?
警官:そうなんですよ。上の派遣ミスですかねぇ?
キング:なにぃ?そんなことがあるのか…。若いのに大変だな。通ってよし
警官:お疲れ様です!
キング:いやぁ…実にしっかりとした青年だ。未来は明るいなぁ…
●セカンド博物館内:PM24時00分●
ジョーカー:…侵入成功っと。
ジョーカー:キング・エバンズ…。武闘派という噂があるため警戒していたが…。期待はずれだったな。さてと…
(ジョーカーは帽子を深くかぶる)
ジョーカー:そろそろ、チェックメイトだ。
(ジョーカーは走り出す!)
エース:ふぅ…スッキリした。
エース:先輩、トイレぐらいで怒らなくてもいいのに…。
【✿】走る音
エース:ん?先輩かな?…
ジョーカー:げっ…
エース:あ!あ!あぁ!
ジョーカー:クソっ!こんなとこにもいたか…
(ジョーカーは煙玉を取り出す)
エース:と、とまれぇぇ!
(エースは警棒をブンブン振り回す)
ジョーカー:最短で漆黒の金剛石まで行くしかねぇか!(小声)尺的にもな…
(煙玉が爆ぜる)
エース:きゃぁぁぁ!
ジョーカー:じゃあな。
(ジョーカーが再び走り出す)
●セカンド博物館前PM 24時03分●
キング:遅いな、まさか迷子になってるわけじゃねぇよな…
キング:いや、アイツならありえる。無線で連絡してみるか。
エース:た、た、大変ですぅ〜!!
キング:みっともない走り方するな!んで、どうしたんだ?
エース:ジョ、ジョーカーです!ジョーカーが現れました!
キング:……なに!?
エース:だからジョーカーです!
キング:馬鹿野郎!!なぜここに戻ってきた!
エース:だって、煙玉で視界を奪われて!
キング:くだらない言い訳はいい!ジョーカーは今どこにいる!
エース:展示室かと!
キング:エース!援護しろ!拳銃の準備だ!奴を殺してでも止めるぞ!
エース:は、はい!
【✿】走る音
キング:来るぞ!
エース:っ!(銃を向ける)
ジョーカー:ん?
キング:撃てぇぇぇ!
エース:っ!
【✿】銃声
ジョーカー:おっと、あぶねぇな。
キング:か、かわした、だと?!
エース:止まりなさい!ジョーカー!
ジョーカー:構えるだけじゃ意味ねぇぜ?
エース:え?!
ジョーカー:おらよっ!
(閃光弾が爆ぜる)
キング:うっ!
エース:きゃぁ!
ジョーカー:じゃあな!
キング:クソがァァァ!
【✿】銃声
【✿】金属音
ジョーカー:っ!…やるじゃねぇか!キング・エバンス!
(逆回転しつつジョーカーは飛び去る)
キング:待てぇぇえ!戻ってこぉぉぉおい!!怪盗ジョーカーァァァァ!!!
●クイーン家PM24時15分●
クイーン:なんか、外が騒がしいな…
クイーン:もしかして、ジョ…(言いかける)
【✿】ドサッ!と落下音
クイーン:え?!な、なに?!
ジョーカー:いてててて…
クイーン:え?…え?!…ええぇぇ?!
ジョーカー:あ?何見てんだ?お前。
クイーン:あ、う、あ、その…えーっと
ジョーカー:っち(舌打ち)。羽が折れてやがる。あいつ、最後の最後にやってくれんじゃねぇか。今度あったら絶対ぶちのめす…
クイーン:も、もしかしてジョーカー様ですか?
ジョーカー:だったらどうした?警察にでも通報するつもりか?」
クイーン「いやいや!そんなことしないですよ!
ジョーカー:ふぅん。珍しい奴だな。それともただの馬鹿か?…
クイーン:…
ジョーカー:あ、あとちょっとの間、屋根貸してくれ。すぐいなくなる。
クイーン:え?!あ、はい。
ジョーカー:……(作業をする)
クイーン(N):ジョーカー様…綺麗な目。映像よりめちゃくちゃイケメン!それにいい匂い…
ジョーカー:おい
クイーン:ひゃ、ひゃい!
ジョーカー:さっきから何ジロジロ見てんだ?
クイーン:あ!ご、ごめんなさい!
ジョーカー:……(見つめる)
クイーン:う、あ…
ジョーカー:お前、意外に可愛いじゃん
クイーン:えっ//(照)
ジョーカー:…(羽の修理に戻る)
クイーン(N):可愛いって言われちゃった!きゃぁぁぁ///
ジョーカー:…体くねくねさせて、変なやつだな。
クイーン:あ、あの!
ジョーカー:…あ?
クイーン:私、ジョーカー様のこと…
ジョーカー:無理
クイーン:答えるの早いぃ…
ジョーカー:当たり前だろうが…年齢とかそれ以前に、俺は怪盗だ。一般人と恋なんてできねぇよ。
ク:そんなことないです!」
ジョーカー:さすが子供。考えが短絡的だ。
クイーン:…(じっと見つめる)
ジョーカー:それに、俺の女になるってのは、自分の人生を全て棒に振るってことだぞ?命の危険もある。
クイーン:そんなこと分かってる!
ジョーカー:っ?!お、お前それ本気で言ってんのか?
クイーン:(うなずく)
ジョーカー:…そうか
クイーン:…?
(間)
ジョーカー:冷血のマジシャンとまで言われた俺が、こんな気分になるなんてなぁ。
クイーン:え?
ジョーカー:この、なんともいえない胸の、フワリとする感覚。悪くない。
(間)
ジョーカー:なら、お前が十分大人になっているであろう…5年後にこの屋根にまた来てやろう。
クイーン:え…それって
ジョーカー:じゃあな。
(ジョーカーは飛び立つ)
クイーン:あのー!それって嘘じゃないんですよねー?!(叫ぶ)
ジョーカー:(微笑む)
クイーン:…(見上げる)
※ 「行っちゃった…」等 付け加えてもOK
■現在
クイーン:思い出したら…ますます会いたくなっちゃった…
【✿】電車の音
ジョーカー:よぉ、何シケた顔してんだ〜?
クイーン:えっ?!
ジョーカー:元気だったか?
クイーン:え、えっ?!
ジョーカー:約束通り来たぜ…お嬢さん(ニヤッと笑いながら)
クイーン:ジョーカー、様…
ジョーカー:おいで、クイーン。
クイーン(N)私は、静かに、愛しい怪盗と唇をあわせた。
Fin……
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