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[連載小説]第十話犬だけど何? 野良犬の俺がホームレスのアイツに出会ってスミカをゲットする話 / 第二章スカイドッグスター⭐️バンド始動!


犬だけど何? 野良犬の俺とホームレスのソラ、スカイドッグスター⭐️
バンド始動!



ここまでのあらすじ


捨て犬のビーグル犬イヌは、ドラマ好きの健太のおばあちゃんと住むことに。
おばあちゃんが心臓の発作で倒れた。ドラマの知識からイヌは救急車を呼び大活躍。
一人暮らしのおばあちゃんは、イヌが処分される事を心配し逃げるように言う。
野良犬となったイヌはホームレスの青年ソラと出会う。
意気投合しバディとなった2人は、ホームレスの寅造と出会う。
ソラの夢を聞いた寅造は、ホームレス生活からの再スタートを決心しバイトを始めた。
ソラは、配達で知り合った老健施設のスタッフから、施設での歌のイベントを頼まれる。

前回の話はこちら



第十話
初めてのイベント前夜
メンバー集結!

「懐かしい歌聴いてたら、昔を思い出しちまってな…」
寅造じいちゃんは台所に立って湯を沸かし、お茶を入れてくれた。
俺にも俺用の器に水をくれた。こうしていると、ばあちゃんと暮らしていた頃を思い出して俺までしんみりしてきた…。

「そうだ!」急に思いついたみたいに寅造じいちゃんが声をあげた。
「源ちゃんに相談してみろ。練習する場所も必要だろう?
思い出したんだけどよ。源ちゃんの息子な、学生バンド組んでたって言ってたぞ。『ガレージの奥を防音にしてる』って言ってた…」
「ええっー!!ラッキーどころじゃないっ!マジ、ありがたいっス」

ソラは目を輝かせてお礼を言った。俺もシッポをグルグル回して礼をした。ソラが嬉しいと俺も嬉しい。
寅造は源ちゃんに電話すると早速、俺らは源ちゃんのガレージを訪ねた。



「寅ちゃん、久しぶりだなぁ、元気にやってるみたいで、おらも嬉しいよ。まあ、そこ座れや。茶入れるな」

寅造じいちゃんは、事情を話した。
「もちろん!いい話じゃないか!
ここで良ければ遠慮なく使えばいいさ」
「マジっスか!ありがとうございます!!」
「寅ちゃんから聞いたけど、歌手になりたいんだろう?いい機会じゃないか。おらも役に立てたら嬉しいよ」
ソラは、じいちゃんたちにお礼を言って早速、その日から練習が始まった。
1時間くらいした頃、源じいちゃんの息子の秀樹さんがガレージに顔を出した。
「おお!練習やってる、やってる!イベントやるって聞いてさ、覗きにきたよ」
「こんばんは!!ありがとうございます。こちらの皆さんには本当にお世話になって感謝してます。雪の日に泊めてもらって、今度はガレージで練習させてもらえるって。
ホントお世話になります!」
「気にすんな!オレも若い頃バンドしてたからねー練習する場所追い出されたり困ってさ、ここ結構防音効くようにしたの。…してもらったってか。好きでさ、やっぱ音楽いいよな……でさ…君の名前は、えーっと…」
「あ、ソラです」
「ソラくんか。コイツは覚えてるぞ。『イヌ』って名前のイヌ君ね。…で、歌のイベントって言ったけど、ソラくんは楽器はやらないの?」
「え?!楽器?十代の頃、友だちのギター借りて練習したことあるけど、自分のは持ってなくて…」
「コードくらいはわかるんだろ?
教えてやるよ!せっかくのイベントだろ?…そう思って、部屋から使えそうな楽器いくつか持って来たんだ」
ソラのギターレッスンも始まった。



一週間くらいした頃、ガレージに顔を出した源じいちゃんが驚いた様子で言ったんだ。
「え?寅ちゃん、やんねえの?!」
「な、何、言ってんだ…おら、やんねーぞ。ソラのイベントの手伝いだ」

「ど、どゆこと?!」
ソラと俺は目を見合わせた。
すると源じいちゃんが言った。
「寅ちゃんよ、昔、横浜でバンドやってたんだよなぁー!聞いてないの?!」
「えーー!!!」
「源ちゃん、よけいな事、言うなって…」
「歌いたくてウズウズしてんじゃねーのか?あの頃ベースも、やってたよな?寅ちゃん、歌も上手いんだぞ」

「マジか?!」
ソラと俺は声をあげた。
寅造じいちゃんに、そんな過去が!!

ソラはデッカい声で言った。
「ここは寅造じいちゃんにも参戦してもらうってことでキマリ!」
「ベースね、そこらにあったよ」
「秀樹くんまで…昔の話だ。何十年前だって思ってんだ?やれる訳ねーだろ…」
「まぁまぁまぁ…昔とった何とかって言うじゃねーか」そう言って源じいちゃんはベースを寅造じいちゃんに手渡した。
あんな事、言ってた割にはベースを渡されると、じいちゃんノリノリで弾き出した。

ソラのボーカルとギター、
寅造じいちゃんのベースに秀樹さんのサックスが加わった。
俺も時々、歌に合わせて「遠吠え」してしまうくらいマジで練習は楽しかった。

準備万端、イベント当日を迎えた。


第十一話に続く

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