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[連載小説]第十二話 / 犬だけど何? 野良犬の俺が、ホームレスのアイツに出会ってスミカをゲットする話 / 第二章スカイドッグスター⭐️バンド始動!
[連載小説]第十二話 / 犬だけど何? 野良犬の俺が、ホームレスのアイツに出会ってスミカをゲットする話 / スカイドッグスター⭐️バンド始動!
前回までのあらすじ
捨て犬のビーグル犬イヌは健太のおばあちゃんと住むことに。
おばあちゃんが心臓の発作で倒れた。イヌが見守りのベルを押して救急車を呼び、おばあちゃんは救急搬送。
野良犬となったイヌは歌手の夢を持つホームレスの青年ソラと出会う。
意気投合しバディとなった2人。
ホームレスの寅造とともにホームレス生活から再スタートした。
初めての老健施設での歌のイベントは大成功だった。
前回はこちら
第十二話 涙の再会?
「イヌ、どうしたんだ?お前、急に吠え出して?」
「ば、ばあちゃんがいたんだ…ばあちゃんが!
間違いない…ばあちゃんの匂いだった…ばあちゃん…!!」
「焦らないで落ち着いて話してみろ」
「イベントの間はわからなかったんだ。
イベントが終わって急に匂いがした。
たぶん上の方からだよ。
ここにいるのかなー?
施設の人に聞いてくれない?
ソラ、お願い!!」
「お前は鼻がいいからな。
わかった!…でも、『ばあちゃん』じゃわからないよ。だいたい、ここにいる人、みんな『おじいちゃん』『おばあちゃん』だろ?
ばあちゃんの名前は、なんて言うの?」
「うーん………
あっ、健太のこと、『サトウくん』って言ってたから『サトウ』だ」
「『サトウ』って人、多いからな。下の名前はわかんないの?」
「エーッと……いつも『ばあちゃん』って呼んでたからな……
あっ!そうだ!!ア・キ・コ…
『アキコ』だ!!
ドラマを観ながら、『主人公の名前、私といっしょね』って、言ってたことがある」
「サトウ・アキコね!OK!オレが施設の人に聞いてやる」
ソラが向こうに行こうとした時、寅造じいちゃんが大きな声で呼んだ。
「ソラ、イヌ。そろそろ帰るぞ。おら、夕方から遅番なんだ。源ちゃんたちもコンビニの仕事だから帰らねーと」
ソラと俺は、寅造じいちゃんと源さん親子の方へ走っていった。
「じいちゃん、今日はありがとう。オレたち、ちょっと用が出来たんだ。歩いて帰るから、先に帰ってて」
「そうか、わかった。イベント大成功で嬉しかったよ。また、後でな」
ソラは、先に車に乗っていた源じいちゃん親子のそばに行ってお礼を言った。「源じいちゃん、秀樹さん、今日はありがとうございました!おかげでイベント大成功で嬉しかった。源じいちゃん、秀樹さん、寅造じいちゃん、本当にありがとうございます!ちょっと施設のスタッフの人と話をする用事ができたんです…お先に帰られてください」
「そうか、こちらこそ今日は楽しかったよ。イヌと一緒に、また遊びに来いや」
じいちゃんたちを見送ったあと、ソラと俺は施設のスタッフの人の所に向かった。
「あ、ソラくん!今日は、ありがとうね。入所者さん大喜びだったわ」
「こちらこそ楽しかったです!また、こんなイベントの時は声掛けてください。
それと、ちょっとお尋ねしたい事があるんですが…
こちらに、サトウアキコさんという入所者さんは、いらっしゃいますか?」
「ごめんねぇ…。個人情報だから、教えられないのよー」
「コイツ、サトウアキコさんの飼い犬なんです。ばあちゃんの匂いがしたって言うんです…」
スタッフさんは、クビをかしげた。
「匂い…ね…。な、なんか、わかんないけど。誰が匂いに気づいたってわけ?…、この子がね…と言われてもね…」
スタッフの人は俺をジッーと、不思議そうに見た。
結局、話が進まなくて、ソラと俺はうなだれて施設の前のベンチに座った。
「そうかー、そうだよなぁ…イヌと話せることがわかんないわけだもんなー」
「ハァ〜」
俺はしょんぼりして、シッポをうなだれた。
その時、施設の方に向かってくる別の懐かしい匂いがした。
俺は耳の根元を浮かせて、シッポをピーンと立て、鼻をピクピクさせた。
イヌの「全集中」のポーズだ。
「あーーー!!!健太だ!!
健太の匂いだ!!」
その懐かしい匂いは、どんどん、こっちに向かって濃くなっていく。
「健太ぁ〜」俺がリードを強くひいた瞬間、首輪がスルッと抜けた。
「え!!イヌ?!どうして、ここに?」
俺はシッポをブンブン回しながら、健太に駆け寄って、健太に跳びついた。
ピョンピョン跳んだら、健太はしゃがんでくれた。
俺は健太の顔をベロベロ舐め回して、歓声を挙げた。
「健太だ、健太だ!!!」
第十三話に続く
健太と涙の再会