後攻は、アメリカンロック。
他人のミスを面白がることはとってもいけないことです。
他人の過ちをいつまでも言い続ける事はとっても惨めなものだろう。
だけど、親愛なる人よ。
根性の腐った僕は過去の失敗を思い出し続けてしまうのだ。
僕の永遠に語り継ぎたい失敗が
「赤坂泰彦、M-1グランプリ2001 言い間違い事件」である。
9組目のDonDokoDonのネタが終わり(DonDokoDonって初めてフリック入力した気がします)
1位の中川家の最終決戦進出が確定。
当時の最終決戦はタイマン方式だった為、ラスト出番のハリガネロックと暫定2位のアメリカザリガニ、どちらかが中川家と優勝の座を争うことになった。
ハリガネロックのネタが終わり、ステージ上に1位の中川家、暫定2位のアメリカザリガニを呼び込もうとする赤坂泰彦。
「さて、それでは現在1位と2位の石川家と〜」
島田紳助が即座に
「中川家」
と訂正を入れる。
そして会場からは「えーっ!」と悲鳴。
「失礼しました!」と右手を上げ謝罪のポーズを取る赤坂泰彦。
「いやいや、あの、お葬式来てるんとちゃうんやから」と笑顔でフォローする島田紳助。
会場は悲鳴から笑いに代わり、なんとか段取り通りに中川家とアメリカザリガニが登場する。
そして、ハリガネロックの得点発表。
まず2001年のみ採用された札幌、大阪、福岡の会場審査員の得点が発表されると、軒並み高得点。
会場が沸く。
「これはわからなくなってきました。もしかすると2位が入れ替わるかもしれません、ちょっとアメリカザリガニの表情が厳しくなりますが…」
煽る赤坂泰彦。
「あと554点取れば、ハリガネロックは決戦大会進出することができます」
先ほどの失敗を忘れたかのように仕切る赤坂泰彦。
しかしここでも最終決戦を決戦大会と地味に間違えている。
そして、特別審査員の得点が発表される。
ハリガネロックが見事にアメリカザリガニを逆転!
崩れ落ちるアメリカザリガニ。
ガッツポーズをするハリガネロック。
「中川家とハリガネロックが最終決戦進出となりました!おめでとうございます!」
赤坂泰彦が喋っているのだが、アシスタントの菊川怜も同じようなセリフを輪唱みたいに若干遅れて喋っている。
おそらく赤坂泰彦用に出されたカンペを読んでしまっているのだろう。
中川家、ハリガネロックは同期。
その同期対決を煽りながら、運悪く負けてしまったコンビたちに対してフォローの言葉を掛ける島田紳助。
「アメリカザリガニはね、言葉を失っているような状況ですよね」
赤坂泰彦がアメリカザリガニに振る。
それに対して、アメリカザリガニ柳原は松竹芸能不利の流れをうまく利用したコメントで会場を大いに沸かせる。
「アメリカザリガニよく頑張りました!ありがとうございました!」
島田紳助がアメリカザリガニを送り出し、客席も大きな拍手。
最終決戦の説明に入る赤坂泰彦。
今では考えられない「ネタを変えるわけですね?」という珍妙な質問をする赤坂泰彦。
でも全国的にお笑い賞レースが定着していない当時ならこんな質問が出てもおかしくないのかもしれない。
そして、先攻後攻を決める局面へ。
ボックスからボールを引くというスタイル。
中川家のボールには「先」の文字。
ハリガネロックのボールには「後」の文字。
いや、「1」「2」で良くない?
「先」「後」でも全然いいけど!
赤坂泰彦が吠える。
「先攻が中川家!」
画面は中川家からドヤ顔で「後」のボールを見せつけるユウキロックを映し出す。
赤坂泰彦が続けた。
「後攻が、アメリカンロック。」
瞬時に赤坂泰彦に対してツッコミの姿勢を取るユウキロック。
まさかの間違えに会場からは悲鳴。
「違います!ハリガネロックです!」
菊川怜からも言われてしまう始末。
ハリガネロックからつっこまれ、再度右手を上げ謝罪のポーズを取る赤坂泰彦。
会場は悲鳴から笑いへ。
「アメリカンロックと石川家ってもうめちゃくちゃやん」
松本人志も黙ってはいられない様子。
隣で鴻上尚史も吹き出している。
赤坂泰彦が大写しになるが、苦笑い混じりのかなり険しい表情。
「ちゃんと編集するから!」
「でけへん、でけへん」
島田紳助とラサール石井のやり取りで少し笑顔になる赤坂泰彦。
以上が事の顛末である。
ゴールデン生番組で大きなミスを二度犯してしまった赤坂泰彦。
けっこう落ち込んだんじゃないかなぁ…と今更ながら思ってしまった。
まぁ、当時のM-1は低視聴率だし、ネットでの炎上文化もないし、赤坂泰彦さんは未だに現役で活躍されてるし、大した事件でもないのだけれど、大袈裟ではなく何度見ても
「後攻は、アメリカンロック。」
のシーンを見ると笑ってしまう。
注目してほしいのは、
「アメリカンロック!!!」と絶叫しているのではく、
「アメリカンロック。」と落ち着いたトーンを選択している点だ。
落ち着きながら間違えている。
動画を見返して思ったのは、赤坂泰彦さんがアメリカザリガニに対しておそらくアドリブ気味に言及している点だ。
天国か地獄かの局面に立たされたアメリカザリガニの表情が赤坂さんには相当印象に残ったのだろう。
それ故に、アメリカザリガニとハリガネロックが混合してしまったのかもしれない。
生放送、独特な空気、緊張感、暗い照明、初耳のコンビ名、アメリカンロックというジャンルが存在しているということ、あとアメリカンロックという梱包用品もあるらしい。
様々な要因から発生してしまったこの事件。
でもあの日の赤坂泰彦がいなければ今日のM-1グランプリは存在しなかったのである。
だってもし、ミスで混乱した赤坂泰彦が放送禁止用語を連発していたら間違いなく1回目で終わっていたのだから。
ちなみに、赤坂泰彦は最終決戦の結果発表で春風亭小朝師匠とラサール石井さんも言い間違えている。
ぜひ皆さん映像を見返してみてください。
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