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連載小説『殺し屋のるーる』②
3月公演『殺し屋のるーる』の戯曲を小説風にしてみました。もうこれはほぼほぼネタバレです。
お楽しみください。
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【登場人物】
チヒロ(私生活ではニートだが裏の顔は殺し屋 殺し屋協会所属)
サエキ(殺しの依頼人 殺し屋協会所属)
エモト(殺しのターゲット 殺し屋協会京都支部所属)
キノッピー(チヒロのニート仲間 ゲーム好きのニート)
タケポン(チヒロのニート仲間 夢追い型ニート)
サエコ(コンビニの店員 コンビニではチヒロの先輩 年下なのにチヒロに先輩風を吹かせる小生意気なイマドキ女子高生)
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《前回からの続き》
「そういうノリがめんどくさいねん。」
うちがカップ麺の容器を片付けるそぶりもなく言い放つと、キノッピーはテレビの前にゴロンと横になる。
「めんどくさがり屋さんやもんな、チヒロは。」
「タケポンには言われたない。」
日常のどうでもいい会話が続く。だが、そんな時間が案外嫌いじゃない。殺し屋の仕事は、緊張感と孤独が付きものだ。少なくとも、この部屋で過ごす時間だけは何も考えなくていい。
そんなうちの気持ちをよそに、二人はゲームの話を始めた。キノッピーが最近のゲームでの出来事を熱弁し、タケポンがそれにツッコむ。
「なぁ、チヒロ。」
キノッピーが急に話を振ってくる。
「お前、なんで働かへんのやったっけ?」
「働いてるし。」
即座に答える。
「嘘つけ。ほなチヒロの仕事って何や。」
「……フリーランスや。」
「何のフリーランス?」とタケポンが笑いを抑えながら問う。
「……殺し屋…」
しばらくの沈黙の後、二人は爆笑した。もちろん、彼らには信じてもらえない。それでいい。この部屋にいるときだけは、殺し屋であることを忘れていたいから。
(続く)