連載小説『殺し屋のるーる』⑪
3月公演『殺し屋のるーる』の戯曲を小説風にしてみました。もうこれはほぼほぼネタバレです(笑)
どうぞお楽しみください。
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【登場人物】
チヒロ(私生活ではニートだが裏の顔は殺し屋 殺し屋協会所属)
サエキ(殺しの依頼人 殺し屋協会所属)
エモト(殺しのターゲット 殺し屋協会京都支部所属)
キノッピー(チヒロのニート仲間 ゲーム好きのニート)
タケポン(チヒロのニート仲間 夢追い型ニート)
サエコ(コンビニの店員 コンビニではチヒロの先輩 年下なのにチヒロに先輩風を吹かせる小生意気なイマドキ女子高生)
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《前回からの続き》
エモトの話を聞きながら、うちは次の行動をどうするべきか迷っていた。彼は確かに殺し屋だ。だが、その動機や行動には、冷酷な中にも人間らしい感情が見えた。
「エモトさん」
うちは彼の目を見つめた。
「うち、やっぱりエモトさんのこと、殺されへん」
その瞬間、エモトの顔に一瞬の驚きが走った。
「……お前、やっぱり協会の人間か」
「はい」
うちはとうとう自分の正体を明かした。
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エモトは椅子から立ち上がり、軽く笑った。
「お前、そんな大事なことをあっさり言うてもうてええんか?」
「嘘ついてもしゃあないから」
「そうか……」
彼はポケットから何かを取り出した。それは小型の銃だった。
「なら、こっからは本音で話そうや」
空気が一変した。うちの体は瞬時に緊張し、反射的に身構えた。
「お前が何を考えとるか知らんが、俺は簡単にやられる気はないで」
エモトの声は低く冷たい。それでも、うちは恐怖を押し殺し、彼に向き合った。
「……その覚悟は、うちも同じです。」
(続く)