\副業は人材流出リスクを高めるか④/
前回に引き続き、平成29年3月に中小企業庁が開催した同研究会における提言書『兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業研究会提言~パラレルキャリア・ジャパンを目指して~』を見ていきます。
今回は、提言(2)「兼業・副業に意欲のある企業・従業員への支援」と、提言(3)「制度的課題の打破」の具体的な中身を見ていきます。
まず、(2)「兼業・副業に意欲のある企業・従業員への支援」については、1)地方におけるリーディングケースの創出等と、2)経営者・従業員向け相談体制の整備の検討の2つが提言されています。
1)については、具体的には、中小企業庁が実施する創業支援事業者補助金を活用して、地方ブロック毎に1~2件程度、兼業・副業を試行する企業の従業員に対して兼業・副業の取組を支援することなどが提案されています。
2)については、経営者・従業員双方を対象に、兼業・副業のメリット・デメリットを提示し、兼業・副業に関する取組について課題と対応策等を身近に相談できる窓口体制を整備することが提案されています。
続いて、(3)「制度的課題の打破」については、1) 兼業・副業を前提とした「モデル就業規則」の改正と、2) 兼業・副業に関連する法的論点に関する関係府省庁への提言の実施の2つが提言されています。
1)については、現行、兼業・副業が原則禁止となっている厚生労働省のモデル就業規則の第11条を改正し、兼業・副業が原則自由であり、就業規則上の副業禁止規定は、その合理性について従業員に説明する必要が企業側にあることを周知・普及していくことが提案されています。
2)については、関連する法的論点をより明確にするための取組を含め、制度的課題の解決に向けた関係府省庁に提言していくことが提案されています。
以上、前々回に確認した「働き方改革実行計画」とも重なるところがありますが、インセンティブ、制度変更、横展開事業など、あらゆる手段で副業を拡大していこうという動きが見て取れます。
これらの提言がどのように実施されているかも追跡したいところですが、「副業が広がったきっかけ」に関する解説はここまでとし、次回からは「副業はどのくらい広がってきているか」についてみていきたいと思います。
〈副業は人材流出リスクを高めるか⑤に続く〉