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\副業は人材流出リスクを高めるか⑥/

前回は、企業視点で「副業はどのくらい広がってきているか」を見てきましたが、今回は従業員の視点から見ていきます。

今回も、パーソル総合研究所が行った「副業の事態・意識に関する定量調査」からの引用になります。

まずは、正社員の副業実施状況です。
2021調査では、9.3%という結果が出ており、2018調査の10.9%よりも1.6ポイント低下しているようです。
一見、副業者が減少しているようですが、「過去に副業経験あり」との合計で比較すると、2021は18.8%、2018は20.8%となっているため、サンプルサイズの誤差が影響してそうです。
概ね横ばいと評価して良いでしょう。
また、非副業者に占める「副業意向あり」の割合を比較しても、2021は40.2%、2018は41.0%とこちらも横ばいの状況です。

ここで少し視点を変えて、2021の「副業意向あり」40.2%という数値について、非副業者をコロナ禍で収入が「減った」「変わらない」「増えた」に分け、それぞれの割合を見てみましょう。
結果は、「減った」は52.0%、「変わらない」は36.0%、「増えた」は38.7%というものであり、明らかに収入が減った層の副業意欲が高いことが分かります。
また、個人年収別にみても、200~400万の層は45.1%である一方、2,000万円以上の層は22.6%と、低収入なほど副業意欲が高い傾向が見て取れます。

ただし、実際に副業を行っている割合は、年収200万円未満の8.9%に対し、年収2,000万円以上が33.5%となっています。

つまり、収入が低い層は、「収入補填」を目的とする副業を希望しているものの実施できておらず、「スキルアップ」や「社会貢献」を目的とした副業希望は減少したと言えそうです。

次に、副業の労働時間を見ていきましょう。
2021調査によると、1か月あたりの副業労働時間の平均は29.5時間という結果が出ています。
これに対し、2018調査によると、1週間あたりの副業労働時間の平均は10.32時間という結果が出ています。
1か月4.34週として単位をそろえると、2018は44.8時間ということになります。
副業のデメリットとして、労働時間が増加することが挙げられますが、この点については改善傾向にあるのかもしれません。
なお、2021調査の労働時間は正社員以外を対象としていない点や、本業の労働時間の変化が分からないため、あくまで参考程度ということになります。

以上で、「副業はどのくらい広がってきているか」についての説明は終わります。
次回は、「雇用主は何を懸念しているのか」について見ていきます。

〈副業は人材流出リスクを高めるか⑦に続く〉

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