#4 COMITIAのこといくつか
11/17 COMITIA(コミティア)150 に遊びに行ってきた。
COMITIAとは、簡単に言うとコミケの創作マンガ限定版のような同人誌即売会だ。古くはオノ・ナツメとか、最近では九井諒子、和山やまといった作家のデビューのきっかけとなった、マンガ業界においてかなり大事なイベントだ。
COMITIAに自分が行き始めた90番前半台(2009年あたり)のころは、相当盛り上がっていたけど、まだ今ほど大規模なイベントでもなかった。しかし今回のやつは150回目のアニバーサリー回ということもあり、今まで見たことのない規模のデカさ&人の多さ。いつもは会場に流れるStone RosesなどのBGMを楽しみつつフラフラ歩き回るんだけど、今回はそんな余裕はほとんどなかった。
そんな中でも嬉しかったのは、『ラブ・バレット』inee先生のブースに訪問できたことだ。
『ラブ・バレット』は今年1巻が発売されたラブ・ガン・アクション・ヒューマンドラマ漫画——なんて紹介すると要素が渋滞している気がするけれど実際読んでみると、とにかくストレートに物語る力が強くて今年一番くらった作品と言っても過言ではない。
こちらの作者のinee氏はアメリカ在住の方。日本語マンガを商業連載するのはこれが初めてとのこと。自分は初読時、そのことにまったく気づかず、読み終わってから作者のインタビューをネットで発見してめちゃくちゃ衝撃を受けた。それにしても7歳で『よつばと!』なんて、どんだけ趣味がいいんだ……。この『ラブ・バレット』、日本での知名度はまだそこまではないものの、海外のマンガファンにいち早く発見されていて、SNSでサーチすると、出てくるポストの大部分が英語で書かれたものという、他のマンガではちょっと見たことない状況になっている。
そんなinee氏が今回、COMITIAに初参加&会場限定の本やグッズを販売するということで、これは絶対に行かなくてはと勇んで入場。同日会場にすでにいた友人から「ineeさんのブースめっちゃ並んでました!」との情報が入り、よもや売り切れの不安も一抹よぎらせながらブースに行くと、そこには多国籍の男女のineeファンが列なして並んでいた。そしてしばらくその列に並び、ついにineeさんから直接本を購入することに成功。ineeさんに、個人的な思いとして、すばらしい作品に本当に感動したということを英語で一言だけ伝えて、すこし話をすることができたのはとても嬉しかった。面白かったのは、日本人である自分が英語で話す一方、自分の前に並んでいた白人女性とinee氏は日本語で話していたこと。おそらく、白人女性が非英語圏の方だったか、お互い英語圏出身だけど日本マンガの文化に添った結果そうなったか、このどちらかではないかと思う。出自とか、漫画家/読者という立場とか、それぞれの違いを予想し得る関係の中で相手に気遣い、結果的にこんな感じで言語があべこべになるような現象が起きるのとか、行ったことないんでよくわからないけど海外のマンガイベントってこんな雰囲気なのかな、とちょっとだけ思ったりした。
その他、自分が参加しているサークルのメンバーと少し話したり、マンガも音楽もすばらしいアニュウリズムさんのブースで音源やマンガを購入したり、inee氏情報をくれた友人と同行していた妻と3人でルノアールで打ち上げしたり、盛り沢山で楽しくて、コミティア90番台のころによくわからないまま沢山のコピー誌を買ってひとりで楽しく読んでいた時代を少し懐かしくも感じるくらい、人との交流が充実していた回だった。
結論として、ソロ/パーティー、いずれの臨み方でも楽しいCOMITIAは、やはり最高のイベントではないでしょうか。
会場内のフードトラックで毎回売っているけど、いつもスルーしているオムそばもいつか食べてみたい。