ギホー部へようこそ エピローグ
エピローグ
「おー、おかえり。いやいや、村山さんが帰ってきてくれて、よかったよー」
曽根崎と話した後、1ヶ月して、突然里穂の部署留学は終わった。
と言うのも、里穂がいない間に後輩の河合晶子が、さまざまな失態を犯してくれたらしい。
結局尻拭いのために戻ってこいと、上から指令が下りたのだ。
「そんなこと言って、追い出したのは誰ですか?」
「やだなー、追い出したなんて。はい、これ。いろいろ仕事が溜まってるから、頑張ってね。新たに成長した村山さんに、部長もみんな期待してるから」
課長は調子良くそう言うと、大量の資料をドンとデスクに置いた。
ー はぁ。こんなに仕事溜めるんだったら、行かせなきゃ良かったのに!
里穂は不満を垂れるも、すぐに仕事に取り掛かる。
その横で、河合晶子が電話で、医学情報誌の編集者と話している声が聞こえた。
「新製品の特徴ですか?えっとですね…、ちょっと待ってくださいね。確かちょっと持ちやすくなって、先っぽが柔らかくなったんだったかな…?」
思わず里穂は、河合晶子の電話を代わる。
「あ、もしもし、広報部の村山です。いつも大変お世話になっております。新製品はですね、従来よりもさらに摺動性をあげ、先端部分の形状と柔軟性を調節することで、さらに操作しやすく、目的の位置への到達が平均2分早くなりました。これによって、患者さんの…」
これまでとは違い、製品にはそれぞれ、開発者たちの想いが乗って見える。
広報部が宣伝するのはただの製品ではない。開発者たちが時間をかけて必死に研究を積み重ねた結晶なのだと、今の里穂には、そう思えた。
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読んでいただいて、ありがとうございました。
本当は、特許関連の話や新田の話、広報部に帰ってからの話だとか、何個か続きを考えていたのですが、創作大賞の応募の日程に間に合わなかったため、まずは一旦ここでおしまいです。
また読む人がいてくれたら、続きを書こうかなあ。
最後まで見てくださり、本当にありがとうございました。
これからも、よろしくお願いします。