貧困家庭に産まれて#4顔が思い出せないお隣さん
うちの貸家の隣に、男性2人が引っ越してきた。20代くらいで、肉体労働に従事しているようだった。車は所持しておらず、毎日送迎の車が家の前まで来ていた。
共働きだったので、私1人でいる事が多かったので、両親が心配した。若い男性2人、何があるか分からないから、訪ねてきてもドアを開けちゃダメと言われていた。
そう言われるとこっちも怖い。
挨拶をするのが当たり前な界隈だったので、男性2人と会ったら挨拶はするが顔は怖くて見れない。目が合ったらどうしよう、何か言われたらどうしようと思いながら暮らしていた。
だから毎日挨拶するけれど、顔は思い出せない。街中ですら違っても挨拶できないだろう。
朝方、毎日どちらか分からないが外でタバコを吸いながら立ちションをしていた。壁が薄いからよく聞こえたので、鼻声も聞こえた。
男性2人だが、結婚してどちらかが引っ越すということもなかった。
夏の暑い日に、窓全開にして肩を寄せ合ってTVを観ていた。今思えば、恋人同士だったのかもしれない。