語り尽くされてても語りたいこと:シャーマンキング

 シャーマン、それはあの世とこの世を結ぶ者。

 
 主人公、麻倉葉が様々な仲間と出会い、困難を乗り越え、500年に1 度開催されるシャーマンファイトを勝ち抜きシャーマンキングを目指す物語。


 ジャンプで連載されていた漫画だ。アニメ化もされている。漫画の中で、シャーマンは霊を自らの身体や物に憑依させ、戦う。登場するシャーマンたちには、それぞれ個性豊かな持ち霊がおり、協力して戦闘をおこなう。


 シャーマンキングになると、この世の森羅万象を司る王となる。理想の世界を作れるということだ。その際、グレートスピリッツが持ち霊となる。グレートスピリッツとは、この地球全ての魂の源であり、全ての魂が還る場所。スケールが超デカい。死者の魂もそこに行くのなら、死ぬことはグレートスピリッツに還ること?と思った。シャーマンキングになるために、麻倉葉が邁進するわけだが、その麻倉葉の人物像に、まずシャーマンキングの魅力がある。実に穏やかな人物であり、ゆったりとした佇まい。ガツガツしていない。アニメをみればわかりやすい。ゆっくりした口調だが、戦うときはかっこいい。持ち霊の阿弥陀丸(武士)と共に戦う。なんといっても、麻倉葉の友達、小山田まん太の存在がシャーマンキングの物語に客観性を持たせているように感じる。まん太はシャーマンではない。麻倉葉の通う学校のクラスメイトだ。まん太の言葉が読者の気持ちを代弁してくれている。まん太のツッコミがシャーマンキングをよりおもしろくしているように感じる。シャーマンキングの中で、最重要ストーリーとして、恐山ル・ヴォワール編を挙げる。それは、麻倉葉と恐山アンナ(麻倉葉の許嫁)の出会いの話。シャーマンキングには、ハオという、とんでもなく強い敵が現れる。麻倉葉との関係性、物語の重要な鍵を握っている。


 漫画を読み、アニメも毎週見ていた。放送は、毎週木曜日17時だったと記憶している。そのとき、ぼくは小学5年だった。毎週楽しみにしていた。主題歌の"Over Soul"、"Northern lights"は今でも聞いている。林原めぐみさんのメリハリのあるしなやかな歌声が好きだ。聞くと、物語のいろんなシーンが思い浮かぶ。シャーマンキングを視聴することで、霊の存在を信じたし、シャーマンやイタコという存在、青森県にある恐山がやたら気になった。そして、麻倉葉のゆるさの中の強さに憧れを抱いた。

 単行本も揃えた。表紙のデザインに心ときめいた。大切なことは心で決めるという言葉が、物語の中に出てくる。人生、選択肢の連続で、その言葉が、沁みたし、これから生きる上で鍵を握るだろうと思った。

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