好きってなんだろう
目が覚めると、お布団に包まれているにも関わらず寒いことを確信した。
お布団に包まれていない顔だけで、肌寒い空気感を捉えることができる。
雨が降っていた。
目覚まし時計を見ると、5時40分。
今日はお休みだった。
なんとなくすんなり二度寝につけない。
昔、とても好きだった人を思い出した。
その人とは夏の2ヶ月間しか恋人同士ではなかった。
何を思ったか、その人の好きだったアーティストの失恋ソングをかける。
雨の音と、ゆっくりとしたメロディがセッションし合っているようだった。
目をつぶる。
共に寝ていたベッドの上で、1人
あなたの温もりを思い出す。
私には今、ちがう恋人がいる。
今の彼のことは、とても好き。
会いたいと思うし、私の頭の中にはきちんと存在している。
それでも、どうしてか、夏の恋人を思い出してしまう。
もう二度と触れることも、触れられることもない、
視界に入れることもないあの人を思い出してしまう。