【備忘】社内弁護士と外部弁護士

ふと思いついたので社内弁護士が外部弁護士に依頼する案件や場合の類型について備忘程度に残しておく。

外部弁護士に依頼する案件・場合パターン

社内弁護士に限らず、会社の法務が外部弁護士に依頼する案件や場合には次の3つのパターンがあるように思われる。

  1. 案件内容にかかわらず業務がパンクしそうな場合

  2. 専門領域等の案件で時短を目指したい場合

  3. 案件内容にかかわらずリスクを社外に出したい場合

このように列挙してみるといかにも当たり前である。

しかし、個人的には上記1.の業務がパンクしそうな場合に外部弁護士を利用したいとは思わない。

そもそも、外部弁護士を利用すると、費用ははもちろんだが、ビジネス部署や場合によっては自らの時間を取られてしまう(それも大幅に)。

つまり、外部弁護士は、いかに顧問契約があるとしても、会社のビジネスへの理解は質量ともに足りない上に、理解のスピードも遅く、1時間程度の説明の時間が必要となってしまう。また、そのための説明資料の作成なども必要になってきたり……業務がパンクしそうだったのに本末転倒である。

上記2.についても、時間に余裕があれば利用したいとは思わない。

専門領域としては、例えば、金商法関連、特に開示関係のルールや手続に関しては、あの読みづらさでいえば日本の法律No.1といっても過言ではない金商法に加え、東証規則等も確認する必要があり、かなり時間を取られる。

そのため、時間に余裕がなければ外部弁護士に依頼したいところである。

しかし、そのような専門領域から逃げていてはいつまで経っても成長はないし、外部弁護士に依頼する費用や時間も削ることができない。

したがって、専門領域といえども、時間に余裕があれば、自ら挑戦したいと考えているところである。

この点、上記3.については、好むと好まざるとにかかわらず、外部弁護士の存在価値の最たるものであり、これは依頼するほかない。

とはいえ、真にリスクを外部に出す必要があるのかは慎重に検討する必要がある。

というのは、まず、リスクヘッジと社内の知見向上に役立つとはいえ、意見書(100万円程度)やメモランダム(50万円程度)を要するのであり、費用面から要検討である。

また、上記1.と同様である(というかすべてに通底する)が、意見書やメモランダムを書いてもらうためにはそれなりの資料を用意し説明を行う必要があるため時間も相当取られるのであり、時間面からも要検討である。

かくして、リスクを外部に出すべき案件は、まさに「リーガルリスク・マトリックス」ではないが、特にリスクが高い案件に限るべきであるということになる。

BUSINESS LAWYERS「リーガルリスクマネジメントに関する国際規格ISO31022が発行 企業、弁護士が活用するポイントは」

話はそれるが、「特にリスクが高い案件」をある程度客観的な基準に基づき抽出できるようにするために、「リスク登録簿」の作成とデータ蓄積がやはり必要となる。

>>>商事法務ポータル「Legal as a Service (リーガルリスクマネジメント実装の教科書)第10回 Emerging Riskへの対応が後手にまわる悩み:リスク登録簿が有益」

ナレッジマネジメントは一日にしてならず

将棋のAIソフトでは局面ごとに評価値なるものが算定され表示されるが、その技術をリーガルリスク・マネジメントにも応用してくれないだろうか……

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