個人情報等:警察官がウェアラブルカメラで職務質問の場面を撮影!?
本稿のねらい
2023年10月8日付けの下記日経新聞の記事に接し、警察官による職務質問の場面を警察官自らがウェアラブルカメラにより撮影することについていくつか調べてみた。
この日経の記事にあるように、海外、特に北米やUKのような英語圏では既に"Police Body-Worn Cameras"又は"Body Worn Video cameras(BWVs)"として導入されているケースが多いようである。
いくつかの課題や論点がありそうな気がするため、基礎的なところから説明し、米英あたりの議論を紹介することとする。
なお、本稿執筆にあたり、特に米英の事情に関して次の論考を参考とした。
国立国会図書館・立法考査局行政法務課所属
小沢春希「警察官装着カメラをめぐる議論(資料)」
憲法適合性(日本国憲法第13条との関係)
(1) 問題設定
まず基本的なところだが、行為を特定するところから始める。
ここでは、日経の記事に倣い、警察官による職務質問の様子を警察官自らがウェアラブルビデオカメラで撮影すること(本撮影行為)とする。
本撮影行為により、職務質問を受ける国民・市民又はその付近を通りかかる第三者がその容姿や容貌(容貌等)を撮影されることになる点、またその音声を録音されることになる点、つまり映像等が記録される点が、日本国憲法第13条が保障する幸福追求権との関係で問題となる。
ここでは職務質問の適法性自体は問題とせず、職務質問は適法であるという状況を前提とする。職務質問の適法性は警察官職務執行法第2条を参照のこと。
なお、本撮影行為により、間接的に、集会や言論の自由といった表現の自由(日本国憲法第21条第1項)が侵害される可能性はある。つまり、一定の言論を行う場所や集会が行われる場所で本撮影行為が行われれば、参加を間接的に萎縮させる可能性がある。
また、もしも、警察官はその職務中、常時ウェアラブルビデオカメラで撮影しなければならないという規則等を設けたとすれば、警察官のプライバシーの問題や人事上の問題を引き起こすだろうが、警察官にオンオフを委ねれば、恣意的な運用も可能となるなど難しい問題がある。
(2) 本撮影行為に関連する判例
容貌等を公権力等に撮影されることに関してはいくつかの判例がある。
┃ Case1: 最大判昭和44年12月24日 刑集第23巻12号1625頁
この判例では、日本国憲法第13条の幸福追求権の1つとして、何人もその承諾なしに、みだりにその容貌等を撮影されない自由を有し、正当な理由なく公権力が個人の容貌等を撮影することは同条の趣旨(※)に反し許されないとされた【ルール①】。
※「趣旨に反し」の部分など、細かいところは踏み込まない(論文ではないので)
ただし、幸福追求権とはいえ、公共の福祉による制限は受ける以上、常に保護されるわけではなく、犯罪捜査等の必要性(誰かの権利を守る必要性)と相当性(誰かの権利を侵害する程度)を考慮し許容できるかどうかを検討する必要がある【ルール②】。
この判例は、いわゆる京都府学連事件と呼ばれるものであり、デモ行進を許可するに当たり京都府公安委員会が条件として付した「行進隊列は4列縦隊とする」ことに違反した状況を現認した警察官が、違反行進の状態や違反者を確認するために写真撮影した事案に関するものである。
そのため、上記「現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合」とあるのは、この判例の事案がまさに現行犯性が肯定できる事案であったために定立された規範と考えることができ、これ以外の場合に一切個人の容貌等を撮影できないと判断したわけではない。(この点は最判平成20年4月15日刑集第62巻5号1398頁でも指摘されている)
結局のところ、比例原則(ルール②)にしたがい、正当な理由(必要性)と行為の相当性が求められることになる。
┃ Case2: 最判昭和61年2月14日刑集第40巻1号48頁
Case2はオービスに関する判例である。
道路交通法違反を犯している自動車運転者の容貌等の撮影の憲法適合性については、上記Case1の京都府学連事件のとおり、現行犯性が認められ、容貌等を撮影する必要性が高いことや単に容貌等を撮影するだけで身体への侵襲等を伴わないことから、方法としても相当であるとして、日本国憲法第13条に違反しないとされた。
Case2の判例で目新しいのは、道路交通法違反を犯していない自動車の同乗者の撮影も許容できるかという点であった。
少なくとも当時のオービスの技術では運転者以外を除外することができず、道路交通法違反を犯している運転者を撮影するとやむを得ず映り込んでしまうのであり、また単に容貌等を撮影するだけで身体への侵襲等を伴わないことから、結論として、日本国憲法第13条に違反しないとされた。
このように、直接犯罪捜査の対象となっていない個人の容貌等を撮影することについても、同様に、比例原則に沿って必要性・相当性から検討することになる【ルール③】。
(Case2の判例でなぜ日本国憲法第21条の適合性が問題となっているのかは失念した。集会の自由?)
┃ Case3: 最判平成20年4月15日刑集第62巻5号1398頁
Case3の判例では、被告人の容貌等を撮影すること自体の必要性は当然認められるところであるが、その方法の相当性について、「通常、人が他人から容ぼう等を観察されること自体は受忍せざるを得ない場所における」撮影であったと評価し、捜査活動として適法であると判断したところに意義がある。
ちなみに、Case1の京都府学連事件も公道上における撮影行為であった点でCase3の判例と共通するが、Case3の判例で用いられたのはビデオ撮影である点が異なる(Case1では写真撮影)。
つまり、私的生活上の自由を保障する日本国憲法第13条との関係上、自宅内など通常他人から容貌等を観察されることがないと考える私的領域を撮影する(要は隠し撮りをする)ためには、他方で高度な必要性が要求されることになるが、公道上あるいは不特定多数者が集まる店舗等は、通常他人から容貌等を観察されること自体(※)は受忍せざるを得ないことから、高度な必要性までは求められないことになる。必要性と相当性のシーソーで考える比例原則(ルール②)の基本である。
※ 観察と撮影は異なるというツッコミがあるのだが、観察されることがあれば、そのような場所で撮影することは私的な領域内を隠し撮りするのとは異なる、つまり方法として権利侵害の程度が比較的低いということが言いたいのであって、観察と撮影は異なることを論ってもあまり意味はない。
(3) 本撮影行為の憲法適合性
これまで見てきたように、必要性と相当性の観点から検討する。
(参考)警察庁通達:捜査用カメラの適正な使用の徹底について(通達)
捜査用カメラによる被疑者等の撮影・録画(以下「撮影等」という)は、その捜査目的を達成するため、必要な範囲において、かつ、相当な方法によって行われる場合に限り任意捜査として許される
撮影等しようとするときは、当該場所の性質、撮影等の具体的目的(現行犯の立証、既に行われた犯罪の犯人の特定等)、撮影等の必要性(事件の重大性、嫌疑の程度等)及び撮影方法の相当性(事件に無関係な第三者が撮影対象に含まれるか否かプライバシーの侵害の程度等)について、対象となる事件の具体的状況に即して可能な限り子細に検討するとともに、撮影等の継続の必要性についても随時検討すること
必要性については、現行犯性が認められる場面で、その被疑事実が重大なものであればあるほど高くなる。反対に、職務質問が認められるような不審事由(警察官職務執行法第2条第1項)があるに過ぎないような場合には必要性が相対的に低い。
(参考)不審事由
異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者
既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者
この点、毎日新聞の記事によれば、本撮影行為の目的は、「職務質問の対応が適切だったかを事後的に確認できるようにすることなどが狙い」とされている。
また、警察庁の令和5年7月3日付け通達(警戒の空白を生じさせないために当面取り組むべき組織運営上の重点について(通達))によれば、「限られた人的リソースの有効活用の観点から業務の実施方法等の見直しを検討するべき事項」として「地域警察の機能を最大限に発揮した効果的な予防検挙活動等を行うことができるよう、ウェアラブルカメラの活用」を検討するとされている。
本撮影行為は、職務質問が適法に行われることを前提としており、したがって上記不審事由は認められる状況と考えられることから、後々本撮影行為により得た映像等を証拠とすることもあり得る以上、一定の必要性はある。
また、行政目的にはなるものの、職務質問の適切性を事後的に確認できるようにし、もって職務質問に当たる警察官の職務の適切性が担保されることも期待できる。
このように、本撮影行為には相応の必要性があろうかと思われる。
他方、方法の相当性について、当該方法がその対象者に与える権利侵害の程度が低ければ低いほど、要求される必要性は高くはならない。
本撮影行為により侵害される権利は、日本国憲法第13条が保障する幸福追求権の1つである私的生活上の自由であるが、本撮影行為が行われる場所は公道上であり、上記Case3の判例のとおり「通常、人が他人から容ぼう等を観察されること自体は受忍せざるを得ない場所におけるもの」であるため、侵害の程度は相対的に低い。
そのため、本撮影行為が日本国憲法第13条に反することはないと思われる。
問題は、①撮影されることに伴う職務質問の消極化(いわゆるレイシャルプロファイリング等の批判を恐れての消極化等)、②撮影前に撮影していることの通知をするかどうか(個人情報保護法上の論点⇢後述)、③撮影された映像の利用や保管の方法(証拠開示の対象となるのかどうか、漏えい等を防止できる環境に保管されるか※、不適切利用はされないか、顔認証・顔識別技術と結びつくことはないか、一定期間経過後に消去されるかなど)にあるように思われる。
※ 善悪は別として、我が国の文化に照らせば、撮影したデータを公開する制度設計とすることはないと思われるが、他国ではYouTube等に公開しているケースもある。下記はLos Angeles Police Departmentが公開している映像であり、発砲シーン等があるため動画内の注意等をよく読むことをすすめる(さすが野蛮の国U.S.と思わされる)。
適法性(個人情報保護法との関係)
(1) 問題設定
本撮影行為により得られる映像等の記録データ(本データ)には、職務質問の対象となった者やその付近を通りすがった第三者の容貌等が記録されることになる。
この点、個人情報保護法第2条第1項第1号によれば、「個人情報」とは、次の2つの要件に該当するものをいう。
生存する個人に関する情報であること
当該情報に含まれる文字・記録・音声等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合でき、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)
例えば、防犯カメラに記録された情報等本人が判別できる映像情報は「個人情報」に該当すると考えられている(個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)2-1〔5頁〕)。
そうすると、上記のとおり、本データには職務質問の対象となった者や第三者の容貌等が記録されることから、個人情報に該当する可能性が高い。
また、本データは職務質問を受けたという事実をも記録することから、「要配慮個人情報」(個人情報保護法第2条第3項)に該当する可能性があるが、同法施行令第2条第4号は「刑事事件に関する手続が行われたこと」と定めており、単に職務質問を受けた事実はこれに該当しない。他方で、職務質問を受けたにとどまらず、そこから「捜査」に移行したような場合には、「刑事事件に関する手続が行われた」として、要配慮個人情報に該当することになる。
そこで、本データが個人情報や要配慮個人情報に当たることを前提とした制度設計ができるかどうかが問題となる。
(2) 個人情報に関する義務
個人情報保護法のいわゆる令和3年改正により、行政機関等に対しても個人情報保護法が適用されることになった。
つまり、警察庁(同法第2条第8項第4号、同法施行令第3条第1項)や都道府県警察本部長(同法第2条第11項第2号)は「行政機関等」に該当し、個人情報保護法第5章「行政機関等の義務等」が課されることになる。
┃ 個人情報や保有個人情報の取扱い
主に個人情報取扱事業者(民間事業者)と異なるルールのみ説明する。
保有個人情報(個人情報保護法第60条第1項)
「保有個人情報」とは、行政機関等の職員が職務上作成し、又は取得した個人情報であって、当該行政機関等の職員が組織的に利用するものとして、当該行政機関等が保有しているものをいう。
ただし、行政文書、法人文書又は地方公共団体等行政文書(「行政文書等」)に記録されているものに限る。
個人情報の保有の制限(個人情報保護法第61条)
行政機関等は、法令の定める所掌事務・業務を遂行するために必要な場合に限り、かつ、その利用目的をできるだけ特定して、個人情報を保有する必要がある(同条第1項)。
個人情報の保有自体に制限があることのほか、利用目的に加えて所掌事務・業務の必要性による制限が課されている点が個人情報取扱事業者(民間事業者)と異なる。
また、民間事業者は個人情報を取得した場合、あらかじめ利用目的を明示している場合を除き、速やかに、その利用目的を本人に通知するか公表しなければならないとされているが(個人情報保護法第21条第1項)、行政機関等に関してはこの義務が課されていない。
つまり、行政機関等は、個人情報の利用目的を通知又は公表する必要がない(なお、個人情報ファイルの場合は公表が必要となるのが原則である〔同法第75条第1項、第74条第1項第3号〕)。ただし、行政機関等は、保有個人情報の開示を行う場合、利用目的を開示請求者に通知しなければならない(同法第82条第1項)。
さらに、民間事業者は本人の同意なく要配慮個人情報を取得できないことになっているが(個人情報保護法第20条第2項)、行政機関等にはそのような制限がない点も異なる。
利用目的の明示(個人情報保護法第62条)
不適正利用の禁止(個人情報保護法第63条)
不適正取得の禁止(個人情報保護法第64条)
正確性の確保(個人情報保護法第65条)
保有個人情報の安全管理措置(個人情報保護法第66条)
従事者の義務(個人情報保護法第67条)
個人情報の取扱に従事する行政機関等の職員や職員であった者(派遣労働者等を含む)に対し、個人情報保護法が直接、その業務に関して知り得た個人情報の内容をみだりに第三者に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない義務を課している。民間事業者の場合は、当該事業者に対し従事者を監督する義務が課されているのとは異なる。
保有個人情報の漏えい等の報告(個人情報保護法第68条)
保有個人情報の利用・提供制限(個人情報保護法第69条)
保有個人情報の提供を受ける者に対する措置要求(個人情報保護法第70条)
行政機関の長等は、利用目的のために又は個人情報保護法第69条第2項第3号及び第4号の規定により本人の同意に基づかずに第三者に保有個人情報を提供する場合において、必要があると認めるときは、提供を受ける者に対し、提供に係る個人情報について、その利用の目的若しくは方法の制限その他必要な制限を付し、又はその漏えいの防止その他の個人情報の適切な管理のために必要な措置を講ずることを求めなければならない。
外国にある第三者への提供の制限(個人情報保護法第71条)
┃ 個人情報ファイルの取扱い
個人情報ファイル(個人情報保護法第60条第2項)
「個人情報ファイル」とは、保有個人情報を含む情報の集合物であって、次に掲げるものをいう。
① 一定の事務の目的を達成するために特定の保有個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの
② 前号に掲げるもののほか、一定の事務の目的を達成するために氏名、生年月日、その他の記述等により特定の保有個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成したもの
要するに個人情報データベースと同じ意味であるが、それを構成する情報が、単なる個人情報ではなく、保有個人情報である点が異なっている。
個人情報ファイルの保有等に関する事前通知(個人情報保護法第74条)
行政機関(会計検査院を除く)が個人情報ファイルを保有しようとするときは、当該行政機関の長は、あらかじめ、個人情報保護委員会に対し、個人情報ファイルの名称、利用目的、記録項目・記録範囲等法定の事項を通知しなければならない。
ただし、「犯罪の捜査、租税に関する法律の規定に基づく犯則事件の調査又は公訴の提起若しくは維持のために作成し、又は取得する個人情報ファイル」を含むいくつかの個人情報ファイルは事前通知が不要となる。
職務質問に関する本データが「犯罪の捜査」のために取得するものかどうかは難しいところがある点は上記同様である。
個人情報ファイル簿の作成・公表(個人情報保護法第75条)
行政機関の長等は、当該行政機関の長等の属する行政機関等が保有している個人情報ファイルについて、法定の事項を記載した帳簿(「個人情報ファイル簿」)を作成し、公表しなければならない。
ただし、個人情報ファイルの事前通知が不要なものについては適用除外される。
(3) 本データの取扱い
本データが個人情報ファイルに組み込まれるのかどうかは別として、いずれにせよ、本データを取得する警察庁や警察(本部長)は、個人情報や保有個人情報として、次の義務を果たさなければならない。
利用目的の特定
ウェアラブルビデオカメラにより撮影している旨の通知や表示
安全管理措置
なお、本データについては、仮に保有個人情報に該当する場合であっても、開示請求に対しては「不開示情報」として開示しない決定をすることになろうかと思われる(個人情報保護法第78条第1項第5号)。そのため、本データに関する利用目的が表に出ることはないものと思われる(同法第82条第1項参照)。
U.S.におけるBody-Worn Camera
例えばNew York City Police Department (NYPD)の説明によれば、Body-Worn Cameraはあくまで警察官の目と耳の役割と一致し、暗視機能などはないとのことである。
また、Body-Worn Cameraによる撮影が行われていることを、原則として、対象者に伝える必要があるものの、許可や同意を得る必要はないとのことである。
Body-Worn Cameraにより撮影された記録は、18か月間保管され、重要な事件の記録はそれ以上に保管されるとのことである。
Body-Worn Cameraを装着する目的は、次の3点と説明されている。
取締り・捜査・市民とのやり取りを撮影し、それにより客観的な記録を得ることができ、上司のレビューを容易にし、説明責任を促進し、警察と市民の間の適切な相互作用を促進する
民事・刑事手続における証拠とするため
市民からの苦情を解決するため
上記1と2は、本撮影行為の目的とも合致する。
上記3については、我が国でも警察への不信感は募っている傾向にあるのかもしれないが、結局のところ上記1と合流するものと思われる。つまり、警察側が自分の身の潔白を証明するために、職務執行中の活動を記録する。そのため、重要なのは、警察/検察の恣意的な運用により記録が消去されないことを担保することである。
なお、U.S.ではもはや効果検証が行われている(DOJウェブサイト)。
ワシントンDCやNYCをはじめとして、いくつかのプログラムでは"No effects"(効果なし)との評価も出ている。
この効果検証の内容に関しては、冒頭で紹介したこの論考に詳しいため、詳しくはそちらに譲る。
国立国会図書館・立法考査局行政法務課所属
小沢春希「警察官装着カメラをめぐる議論(資料)」
UKにおけるBody-Worn Video (BWV)
UK Metropolitan Policeの説明によれば、Body-Worn Video (BWV)はあらゆる事件において映像・音声の証拠を記録するために用いられ、その記録は裁判や他の手続において証拠として用いられる可能性がある。他方で、証拠として必要であると分類されていない記録は31日以内に自動的に削除される(UK Metropolitan Policeウェブサイト)。
保存された記録は、"Management of Police Information"に従って合法的な目的のために管理される。この保存された記録は「警察情報」として扱われ、データ保護法に基づきアクセス請求権を行使することで、警察情報に含まれる個人データにアクセス可能であるが、データ保護法で許容される適用除外に該当しアクセスを認めない可能性もある。
BWVで撮影している場合、BWVが赤く点滅し、また警察官が撮影していることを対象者に伝える運用となっているとのことである。他方で、警察官は対象者から撮影に対しての同意を得る必要はないとされている(UK Metropolitan Policeウェブサイト)。
BWVを用いるのは、典型的には次の3つの場面があるとも説明されている。
つまり、①犯罪又は犯罪の疑いの捜査において証拠とするため、②透明性を確保するため(例えば停止・捜索中、あるいは有形力の行使中)、そして③報告書や備忘録等を提出しなければならない警察官を支援するためである。
①②については、上記のとおり本撮影行為の目的とも合致する。
以上
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